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「内科学教科書」について
吉利 和
1
1東京大学・内科
pp.134-135
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200251
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古き時代
私たちが内科学の初歩を勉強した時代は,おもにドイツ語の本で勉強した。英語の本もぜんぜんなかつたわけではないが,主として読んだのはドイツ語の本であつた.日本語の本としては,はじめて呉建,坂本恒雄先生の本ができて,当時としてはセンセーショナルなものであつた。
さてそのドイツ語の本としては,Meringの本,Strümpellの本,Bergmannの本,この3つがほとんどすべての人が名前を上げる有名な本であつた。中のどれが一番いいかということになれば,人によつて非常にちがつてくると思うが,わかりやすいという点ではなんと言つてもMeringの本がわかりやすかつたかと思う。だが,今から考えて見て,内科学というものに体系を与えようというような立場からは,Bergmannがよかったと思う。しかし,これはあくまでドイツ流のシステムであつて,英米流のシステムなどについては,われわれはほとんど知らなかつたような状態であつた。呉,坂本両先生の内科書は,日本で書かれた唯一の本と言つてよいものだと思うが,この本もまた,ドイツ流の考え方にのつとつて書かれた本であつたと言えよう。
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