64歳,女性。肺腺癌に対してニボルマブの投与を開始した。投与4カ月後,掌蹠に紅斑が出現し四肢に拡大した。臨床像・病理所見より,ニボルマブによる扁平苔癬型薬疹と診断した。その後,口腔内にびらんも出現し,摂食障害を生じた。プレドニゾロン30mg/日より開始し,皮疹・粘膜疹の軽快とともに漸減中止した。ニボルマブ投与を再開したが,皮疹・粘膜疹は再燃しなかった。ニボルマブによる扁平苔癬型薬疹は,通常はステロイド外用のみで軽快する。しかし,自験例のように口腔内病変が出現した場合,ステロイド全身投与が必要になる場合もある。ステロイド外用,内服を駆使し,可能な限り苦痛を減らして癌治療を継続することが大切である。