Klebsiella pneumoniae単独による右下肢壊死性軟部組織感染症の1例

Necrotizing soft tissue infection on the right leg caused by single infection with Klebsiella pneumoniae

59歳，男性。既往に糖尿病，肝硬変があった。初診2日前に右下腿腫脹を自覚し，体動困難となり救急搬送された。初診時，右足から下腿に発赤，腫脹，熱感があり，下腿前面は潰瘍化していた。足背のfingerテストは陽性で，壊死性軟部組織感染症と診断した。膿と組織の培養から過粘稠性試験陽性の肺炎桿菌を検出した。2回のデブリードマンを行い，その後，植皮し感染なく生着したが，肝硬変の悪化と本菌以外の敗血症で死亡した。本菌は過粘稠性の粘液を産生すると，治療抵抗性になり，広範なデブリードマンや四肢切断を要する。本菌による壊死性軟部組織感染症そのものも予後不良だが，感染が落ち着いても基礎疾患の悪化などそれ以外の要因で死亡する可能性がある。