皮膚科の臨床 60巻5号 (2018年5月)

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75歳,男性。落葉状天疱瘡に対し,プレドニゾロン40mg/日内服,免疫グロブリン大量静注療法による治療中に咽頭痛が出現した。口腔内や中下咽頭に多発するアフタ性病変を認め,硬口蓋からの病理組織では,表皮細胞に多核の腫大した細胞がみられ,抗単純ヘルペスウイルス(HSV)抗体染色陽性であった。臀裂部では有痛性潰瘍が出現し,血液検査でサイトメガロウイルス(CMV)抗原が陽性であった。アシクロビルとガンシクロビルの投与を開始し,粘膜および皮膚のびらん・潰瘍は改善,CMV抗原も陰転化した。自己免疫性水疱症に対するステロイド内服治療中に,咽頭部や陰部のびらん・潰瘍を認めた場合には,HSVやCMV感染を疑うことが重要である。

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74歳,男性。73歳時に口腔内びらんが出現し,抗デスモグレイン1/3抗体価が高値のため当科を紹介受診した。尋常性天疱瘡と診断し,ステロイド内服で症状改善していたが,漸減中に口腔内びらんの再燃と体幹・四肢のびらんおよび鼠径部に褐色疣贅様局面が出現した。病理組織所見と併せ,増殖性天疱瘡への移行と診断した。精査で多発胃潰瘍・胃癌が発覚したため,ステロイド増量はせず,免疫抑制剤を追加し,二重濾過血漿交換療法と免疫グロブリン大量静注療法を施行したところ,抗体価は著明に低下し皮疹・粘膜疹は消退した。増殖性天疱瘡の胃病変を合併した場合の治療方法の報告とともに,増殖性天疱瘡の病態について考察した。

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67歳,女性。3年7カ月前よりビルダグリプチンの内服を開始した。その後全身に瘙痒を伴う結節が出現し,結節性痒疹の診断で加療されていた。1カ月前より水疱を認め,当科を受診した。四肢・体幹に貨幣大までのびらん,結節,一部緊満性水疱を認めた。抗BP180NC16a抗体,抗BP230抗体は陰性,全長抗BP180抗体陽性であった。病理では表皮下水疱がみられ,真皮上層の炎症細胞浸潤を認めた。表皮基底膜部にIgG,C3の線状沈着がみられた。Split skinでは表皮側に陽性所見を認めた。ビルダグリプチンにより生じた結節性類天疱瘡と診断し,プレドニゾロン内服で加療した。糖尿病患者の難治性痒疹結節をみた際は,DPP-4阻害薬による結節性類天疱瘡の可能性を考える必要がある。

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痒疹結節が先行した後に水疱が出現し,結節性類天疱瘡と診断した3例を報告した。症例1:79歳,男性。症例2:83歳,男性。症例3:74歳,男性。いずれの症例も,慢性痒疹や結節性痒疹の診断で,ステロイド外用や抗アレルギー薬内服などで加療されていた。経過中に水疱の新生を認め,蛍光抗体法で表皮基底膜部にIgGとC3の線状沈着がみられた。抗BP180NC16a抗体は症例1と症例2では陽性であったが,症例3では陰性であり,抗BP230抗体も陰性であった。また,症例2と症例3ではDPP-4阻害薬を内服していた。結節性痒疹や慢性痒疹をみた際には,結節性類天疱瘡の可能性を考慮するべきである。

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症例1:68歳,女性。症例2:75歳,男性。2例とも歯肉や頰粘膜に難治性びらん性病変が出現した。症例2では四肢・体幹に紅斑やびらんが拡大した。病理所見は,症例1では頰粘膜より行った生検で粘膜上皮下に裂隙を形成し,症例2では背部の紅斑より行った生検で表皮下に裂隙を形成した。1M食塩水剝離ヒト健常皮膚を用いた蛍光抗体間接法で,症例1はIgG,IgA,症例2はIgGが表皮側に線状に沈着した。2例とも血中抗BP180NC16a抗体陽性であった。抗BP180型粘膜類天疱瘡と診断し,プレドニゾロン0.5~0.6mg/kg/日を開始し軽快した。難治性粘膜病変においては本症を念頭に置いて診療にあたる必要がある。

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30歳,女性。妊娠25週目頃より腹部に瘙痒の強い紅斑が出現した。妊娠30週目に四肢,足底に緊満性水疱が出現し当科を初診した。抗BP180抗体陽性で,病理組織学的に表皮直下に浮腫を認め,蛍光抗体直接法にてC3が基底膜部に線状に沈着していた。以上より妊娠性疱疹と診断しプレドニゾロン(PSL)15mg/日で治療を開始した。妊娠34週目,PSL内服中に尿糖を認め,出産後にHbA1cが上昇した。さらに児の発育過剰を認め,妊娠37週目に陣痛誘発分娩で出産した。産褥2週目,皮疹の再燃がないことを確認し,PSLは漸減中止した。抗BP180抗体は産後10カ月で陰転化した。児はheavy for dates児であった。PSLが有効ではあったが,糖尿病家族歴の有無,母体の管理,胎児の成長には十分な配慮が必要である。

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掌蹠膿疱症に皮膚症状を認めた場合,どのような皮膚症状を掌蹠外皮疹と考えるかについての記載は少ない。そこで今回,名古屋市立大学病院皮膚科において,膝から下の細かい落屑を伴う紅色局面や小膿疱を掌蹠外皮疹と定義し,当科で掌蹠外皮疹を有する掌蹠膿疱症12例を対象に,男女比,発症年齢,部位,骨・関節症状,喫煙歴,扁桃摘出歴,金属アレルギーの有無,治療法について解析を行った。解析の結果,掌蹠外皮疹は掌蹠膿疱症と同じく,女性に多い傾向にあり,下腿や膝などの外的刺激を受けやすい部位に出現していた。しかしいまだ掌蹠膿疱症に掌蹠外皮疹が生じる機序は明らかではなく,さらなる症例の蓄積が必要だと考える。

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61歳,男性。1カ月前に大腸腫瘍に対して腹腔鏡下に腫瘍切除術を行った。術後2週間で創の周囲に紅斑が出現し,急激に潰瘍化した。左下腹部に70×40mm大の壊死組織の付着する潰瘍があり,細菌・抗酸菌培養は陰性であった。臨床所見と病理組織所見より壊疽性膿皮症と診断した。ステロイドパルス,プレドニゾロン,シクロスポリンによる治療で徐々に潰瘍は上皮化した。自験例は胸腹部造影CT,MRIで強直性脊椎炎などの脊椎関節炎を疑う所見を認めた。本邦で外科手術創に生じた壊疽性膿皮症は,自験例を含め45例報告されていた。術後7日以内の発症が25例ともっとも多く発熱を伴う症例もあり,慎重に創部感染症と鑑別する必要がある。

巻頭言

皮膚病理のススメ 清原 隆宏
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“皮膚病理のススメ” なんていうと,皮膚科医であればそんなこと当たり前じゃないか,という声が聞こえてきそうである。しかしながら,意外にもそうとは限らないようで,病理診断については病理医にお任せという施設があちこちで多くみられるようである。多くの大学病院でもしかりと聞くから,事態は深刻である。

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現病歴 2014年4月より瘙痒を伴う結節が全身に出現した。結節性痒疹の診断で,近医にて加療されていた。2017年2月末頃より水疱が出現したため,当科を受診した。

臨床講義

HTLV-1と皮膚 天野 正宏
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Human T-cell leukemia virus type 1(以下HTLV-1)感染は世界のほとんどの地域で認められるが,特に本邦南西地域やカリブ海領域,中央アフリカ,南アメリカの一部,中東地域,メラネシアの一部はHTLV-1高浸淫地域である1)。HTLV-1キャリアは世界的には1000~2000万人存在するともいわれている2)3)。本邦における高浸淫地域では抗HTLV-1抗体陽性者はおよそ5%であるが,地域によっては30~40%とも推定されている4)~6)。HTLV-1感染者のほとんどが生涯,無症候性キャリアであるが3),HTLV-1は予後不良なT-cell malignancyである成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma,以下ATLL)や,また慢性進行性の痙性脊髄麻痺であるHTLV-1関連脊髄症(HTLV-1 associated myelopathy/tropical spastic paraparesis,以下HAM/TSP)などの原因ウイルスとしても有名である。ここではHTLV-1と皮膚に焦点を当て,HTLV-1のウイルスの伝播や腫瘍化のメカニズム,そしてHTLV-1が関連する皮膚疾患について概説する。

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近年,蜂窩織炎の起因菌としてβ溶血性連鎖球菌(BHS)を高率に認める報告が散見される。また,重症蜂窩織炎と壊死性筋膜炎の鑑別にlaboratory risk indicator for necrotizing fasciitis(LRINEC)scoreの有用性が報告されている。今回われわれは,2014~2016年に当院で入院治療した蜂窩織炎患者67例を抽出した。BHS陽性患者(18例)においてペニシリン系とセフェム系使用群の入院日数に差は認めなかった(p=0.5)が,長期抗菌薬投与が必要とされた。さらに,LRINEC scoreと入院日数の関係を検討し,LRINEC score 6点以上の群において入院日数が有意に長かった(p=0.037)。以上より,初診時にLRINEC scoreを用いて重症度を評価し治療を選択することが有用と考えられた。

ちょっと一息 医局ラウンジ

第5回 東邦大学
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良き医療人を育成し,患者に優しく安全で,質の高い地域医療の提供をするという東邦大学医療センター大森病院の理念に基づいて,臨床,研究,教育に励んでいます。最新の知識をもとにあらゆる皮膚疾患を正確に診断し,最善の対応をとることをモットーに診療を行っています。教育面ではカンファレンスやクルズス,地域の勉強会など,医局員のスキルアップに必要な教育体制の充実・地域連携の強化を心がけています。また,親しみやすさを磨くため,医局旅行やゴルフコンペ,飲み会,カラオケなど,イベントも一生懸命頑張っています!

Dr.斎田の皮膚科診断講座

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症例情報 58歳,女性。1カ月ほど前から熱発と多発性の関節痛が生じてきた。近医で非ステロイド性抗炎症薬を投与されたが,軽快しないため,当院整形外科を受診した。数日前から紅色の皮疹が出現してきたため皮膚科へ紹介された。顔面を除く体幹・四肢に浮腫性紅斑~紅色丘疹が多発し,一部で融合傾向が認められ,軽度の瘙痒を訴えた(図1)。連日,39°Cにまでスパイク状に上昇する高熱が生じ,皮疹は熱発時に顕著化するが,解熱時にも残存していた。図2は大腿部の紅斑から生検された組織像である。

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68歳,男性。歯科治療後,頰粘膜に浮腫が出現し,次第に口唇から顔面に拡大したため当科を受診した。10歳代より,しばしば同様の顔面浮腫を生じていた。家族歴で兄,娘に同症があった。血清C4値の低下と,血清C1-esterase inhibitor(C1-INH)活性および量の低下を認めた。以上より遺伝性血管性浮腫Ⅰ型と診断した。患者はその後も頰粘膜の小外傷,皮膚の打撲,圧迫,肉体労作などにより,口腔粘膜,顔面,体幹・四肢に浮腫を繰り返した。治療は,顔面浮腫の際にはヒトC1-INH製剤投与を行い,浮腫の速やかな消退が観察された。このように,自験例の遺伝性血管性浮腫は外傷・外的刺激が発作の誘因となっていた。

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29歳,女性。14日前より両足背,膝,手背に瘙痒を自覚した。10日前より四肢遠位端浮腫が出現し当科を受診した。平常時より2kg体重が増加していた。初診時,四肢遠位端に淡い紅斑を伴った指圧痕を残さない著明な浮腫があった。病理組織学的所見で表皮に著変なく,真皮全層に軽度の浮腫と,付属器周囲,脂肪組織周囲に好酸球の軽度浸潤を認め,脂肪組識周囲に多核巨細胞を有する肉芽腫を伴っていた。末梢血好酸球数が増多し,他臓器に異常はなく,non-episodic angioedema with eosinophiliaと診断した。プロテインS活性の低下も認め,血管透過性亢進作用が阻害されたことで血管浮腫をきたしやすい状態になったと考えた。

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79歳,女性。アログリプチン安息香酸塩/ピオグリタゾン塩酸塩配合剤の内服を開始した2週間後より,全身に瘙痒を伴う紅斑が出現し,当科を受診した。アログリプチン安息香酸塩/ピオグリタゾン塩酸塩配合剤の内服を中止し,ステロイド全身投与を行ったところ,皮疹は10日目には色素沈着を残して略治した。皮疹が消退して1カ月後のスクラッチパッチテストでは,アログリプチン安息香酸塩/ピオグリタゾン塩酸塩配合剤およびアログリプチン安息香酸塩の10%と20%希釈濃度で陽性であり,自験例をアログリプチン安息香酸塩/ピオグリタゾン塩酸塩配合剤による薬疹,原因成分はアログリプチン安息香酸塩と診断した。DPP-4阻害薬は配合剤を含め,今後処方の増加が見込まれているため,薬疹の報告が増えることが予測される。

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2007年6月1日~2016年5月31日の過去9年間に薬剤によるアナフィラキシーの疑いで当科にて精査を行った症例は14例であった。症例は17~78歳,男性6例,女性8例であった。原因薬を同定できた症例は8例で,内訳は第一世代セフェム系抗菌薬であるセファクロル3例,筋弛緩薬であるロクロニウム臭化物2例,キノロン系経口抗菌薬であるメシル酸ガレノキサシン1例のほか,セフォチアム塩酸塩による接触蕁麻疹,ラテックスアレルギーが1例ずつであった。原因薬同定が困難であった6例中2例は局所麻酔薬のアナフィラキシーの疑いで紹介されたが,心因反応であった。局所麻酔薬による全身性副反応・偶発症はほとんどが心因反応によるといわれている。

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8カ月,男児。生後1カ月頃から全身に紅色皮疹や膿疱が出現し,前医で生検を行い膿疱性乾癬と診断された。皮疹の増悪と発熱がみられたため,当科に入院した。シクロスポリン(CyA)3mg/kg/日 分2で内服を開始したが皮疹が残存したため,CyA 4.6mg/kg/日 分2に増量した。トラフ値,投与後2時間血中濃度(C2)ともに基準濃度に達し,増量2週後から皮疹,全身状態は改善した。多毛以外に副作用はなかった。退院後各種生ワクチン接種が必要であり,CyAは漸減中止したが再燃なく皮疹はコントロールされている。乳児・小児の汎発性膿疱性乾癬において,CyAはC2値をモニタリングし至適濃度を維持することで比較的安全に使用できるため,治療の第一選択肢になると考える。

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54歳,女性。関節リウマチに対してメトトレキサート(以下MTX)内服を継続中に,左上腕に皮下硬結が出現した。関節炎にエタネルセプト(ETN)が導入され軽快したが,硬結は増大した。初診時,左上腕に45×35mm大の皮下硬結を認め,生検像では皮下にリンパ濾胞を多数伴い,深在性エリテマトーデス(LEP)のほかMTX関連リンパ増殖性疾患を疑った。MTX中止とETN減量を行ったところ,陥凹を残して消退した。しかし,補体低値が遷延し,左上腕近位に類似の病変が出現し,lobular panniculitisを示した。経過を振りかえり,エリテマトーデスの要素があり,TNF-α阻害薬がLEPの顕在化に関与したと考えた。

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症例1:76歳,女性。症例2:90歳,女性。両者とも,顔面に多発する丘疹を主訴に当科を受診した。病理組織では,真皮内に単層から数層の扁平上皮からなる囊腫構造があり,囊腫壁には脂腺の付着を認め,steatocystoma multiplexと診断した。症例2ではeruptive vellus hair cystsを合併していた。一般にsteatocystoma multiplexは青少年期頃,体幹・上肢に好発するとされており,自験例とは異なる。過去の報告で顔面に発症したsteatocystoma multiplexの症例を検討したところ,自験例のように個疹が小さく丘疹と表現されるような症例は高齢者に多かった。自験例のような症例をsteatocystoma multiplexのfacial variantとして分類することを提案する。

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63歳,男性。数年前より左臀部に皮下膿瘍,瘻孔を繰り返しており,近医で切開排膿を頻回に行っていた。数カ月前より急激に増大する腫瘤が出現してきた。病理組織学的所見より有棘細胞癌と診断し,大臀筋を一部含めた腫瘍切除を行い,後に出現した左鼠径リンパ節転移に対してリンパ節郭清術を施行したが,肛門管や直腸,恥骨への転移が出現した。臀部化膿性汗腺炎は慢性炎症性疾患のひとつであるが,有棘細胞癌の発生母地となることが知られており,将来的な悪性腫瘍発生のリスクを念頭に置いて早期介入や慎重な経過観察が必要と考えられる。

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54歳,男性。悪性胸膜中皮腫に対し化学療法目的に当院呼吸器内科へ入院した際,右胸部の紅斑を自覚した。その後,約10日間で右前胸部から右側胸部に皮疹が拡大したため帯状疱疹が疑われ,当科を受診した。初診時,右前胸部から右側胸部に拇指頭大までの紅斑と紅色小結節がみられた。病理組織では真皮全層に大小さまざまな腫瘍塊が島状に増殖していた。腫瘍細胞はCalretinin染色に弱陽性,AE1/AE3染色陽性,Podoplanin染色陽性で,リンパ管内への腫瘍細胞の浸潤も確認された。リンパ行性転移による悪性胸膜中皮腫の皮膚転移と診断した。帯状疱疹様の分布を示した本症の皮膚転移の報告は,自験例が初めてである。

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81歳,女性。約1カ月前から右鼠径部に結節を自覚した。次第に増大したため,当科を紹介受診した。初診時,右鼠径部に15×10mm大の紅色結節を認めた。病理組織は真皮から皮下組織に異型性のある腫瘍細胞が胞巣状に浸潤増殖しており,一部に管腔構造を伴っていた。免疫染色ではAE1/AE3,34βE12,CK7,CA19-9,CEA,CK19が陽性,CK5/6,CK20は陰性であった。CTで胆囊壁の肥厚と肝右葉腫瘤を認めた。胆囊癌はCK7陽性,肝細胞癌はCK7陰性を呈することが多い。CK7は陽性であったため,CK7が陰性を呈する肝細胞癌は否定した。原発巣の推定に血液検査や画像診断だけでなく,CKの発現パターンが補助診断になると思われた。

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9歳,女児。生後半年頃から右大腿外側に紫色の皮疹が3カ所出現した。徐々に増大し,軽度の圧痛を伴うようになった。病理組織学的所見では,真皮内に不規則に拡張した血管が増生分布し,拡張した血管腔は1層の血管内皮細胞で裏打ちされ,その周囲に類円形の核と好酸性の明るい細胞質をもつ細胞(グロムス細胞)が取り囲むように2,3層配列していた。免疫組織化学的検索においては,腫瘍細胞はαSMAが陽性,desmin,EMA,S100,CD31は陰性であった。以上の結果から,局在型多発性グロムス腫瘍(glomangioma型)と診断した。本疾患は臨床所見では確定診断に至らないこともあり,病理組織学的検査,免疫組織学的検査が必要と考える。自験例のような小児の場合であっても,正確な診断のためには皮膚生検は可能な限り施行されるべきである。

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75歳,女性。2015年5月頃より胸腹部に可動性不良の皮下腫瘤が出現した。血清免疫電気泳動でIgG-λ型M蛋白,λ型Bence-Jones蛋白が検出され,皮膚生検でCD138(+)の腫瘍細胞塊を認め,多発性骨髄腫の皮膚浸潤と診断した。多発性骨髄腫の皮膚浸潤は骨髄腫の末期に出現することが多く全身状態悪化の前兆を示唆するが,まれに皮膚病変が先行することもあり,骨髄腫診断の契機につながることがあるので注意が必要である。

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34歳,男性。数年前に左足底の褐色斑に気づいた。特に変化はなかったが,2015年11月当科を紹介受診した。左足底に褐色,扁平,境界一部不明瞭,左右対称,4×2mm大の小色素斑を確認した。ダーモスコピーではparallel ridge patternを確認した。マージン5mmで全切除した。病理所見は基底層にメラニンが増加し,有棘細胞間と基底層に大型の細胞で核小体の明瞭な明るい異型色素細胞が多数みられた。明るい異型色素細胞は免疫染色でmelan A染色,HMB45染色,S100染色がいずれも陽性であり,悪性黒色腫と診断した。自験例は,肉眼所見では悪性黒色腫を疑う所見に乏しかったが,ダーモスコピーが診断に非常に有用であった。

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58歳,男性。咽頭癌術後,アルコール性肝硬変,2型糖尿病,末期腎不全,骨髄異形成症候群と複数の基礎疾患を有する免疫不全患者で,感染症を繰り返していた。4カ月前より化膿性手関節炎のため整形外科に入院,経過中透析導入となった。その後,右前腕創外固定抜去部に紫斑・疼痛が出現し,壊死性潰瘍が数日間で急速に拡大した。細菌培養で糸状菌,真菌培養でRhizopus sp.を検出し,組織学的に菌体を認め皮膚ムコール症と診断した。外科的切除は困難で,抗真菌薬を投与するも全身状態は急速に悪化し,発症15日後に死亡した。ムコール症は生前診断が困難であるといわれている。自験例は前腕の拡大する紫斑を呈した典型例であり,診断し得ても救命が困難であると再認識した。

憧鉄雑感

第74回 記憶力 安部 正敏
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元来記憶力が悪いのに,これだけ病名が山ほどある皮膚科学を何故選んだのであろうか。しかも,寄る年波でただでさえ少ない皮膚科学的知識が,どんどん忘却の彼方となり嘆かわしいことこのうえない。“この皮疹。何か読んだ気が…” などというのは調べればよいのでまだマシであり,気づかぬうちに流している疾患があると思うと空恐ろしく,そろそろ隠居せねばならぬ。過日,日本を代表する皮膚科学者の先生方とお話をさせて頂く機会を得た。驚くべきことに,物忘れについて話されており仰天した。筆者の何千倍も知識を持つ天才の先生方であるが,凡人の筆者はある意味ほっとしたのも事実である。

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現病歴 2016年春頃から,特に誘因なく全身の瘙痒と紅斑・丘疹が出現し,近医でステロイド外用および抗アレルギー薬内服による治療が開始された。皮疹に改善がなく,プレドニゾロン(30mg/日)内服を開始したところ,一時改善したが,減量により再燃を繰り返したため,精査治療を目的に当科を紹介受診した。

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現病歴 30年前より慢性頭痛があり,7年前から医療用医薬品のロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®)を,2年前から一般用医薬品のロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン® S)を,17日前から一般用医薬品のロキソプロフェンナトリウム(ハリー解熱鎮痛薬L,以下ハリー)を1日1錠内服していた。ハリー内服開始数日後より歯肉の腫脹疼痛を自覚,内服11日目より38°Cの発熱が生じた。内服13日目より全身の紅斑,喀痰増加があり,内服17日目に当科を初診し,中毒性表皮壊死融解症の診断で同日入院した。

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現病歴 1週間前より特に誘因なく顔面腫脹が出現した。同日より近医でプレドニゾロン(プレドニン®,以下PSL)30mg/日を内服するも改善しないため,当科を紹介受診した。3年前にも同様の症状が出現し,PSL内服治療を受け3週間で略治したとの申告があった。

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現病歴 2年前から右乳房の腫脹を自覚した。徐々に増大し,消化器内科でCTなどの精査をされ,皮膚腫瘍が疑われたため,当科を紹介受診した。

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現病歴 2週間前に右下腿伸側の2カ所の結節に気づいた。近医を受診したが改善しなかったため,当科を受診した。

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目次

英文目次

第14回 皮膚科の臨床 優秀論文賞発表

投稿規定

著作財産権譲渡同意書

次号予告

Information

編集後記

基本情報

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皮膚科の臨床
60巻5号 (2018年5月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0018-1404 金原出版

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