臨床雑誌内科 96巻3号 (2005年9月)

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われわれ現代人は,飢餓,怪我,感染に対して,強靱な生体防御機構を獲得しているが,その裏返しにある飽食,病的血栓,免疫に対する制御機構の調整は十分ではない.世界に類をみない高齢化社会に突入したわが国では,今後,心血管緊急症(急性冠症候群,急性虚血性脳卒中,急性肺塞栓,急性大動脈解離,心不全など)が増加していく.心血管緊急症の今後の課題は,心原性ショックに陥った,または発症早期心停止(主に心室細動)に陥った患者に対する,救急医療体制の構築である

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救急医療を担う医師の使命は,あらゆる救急患者を受け入れ,質の高いプライマリーケアを実践することにある.現在の救急医療は,各診療科の医師が片手間で処理できるレベルをはるかに超えており,ERに常駐して救急患者の初期診療を行うER physicianが必要である.ER physicianの役割は,チームの一員として診断および初期治療戦略を立て,必要に応じて各科専門医の協力を求め,その専門知識や技術を患者治療に活用することにある

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今回救急救命士の役割について,救急救命士制度の誕生から現在までを述べ,以下の内容について事例をふまえ簡単に紹介する.救急救命士の行う処置.特定行為とその変化.各病態における病院前救護.奏効事例.今後の展望

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全院外心停止のうち43%は不搬送例である.不搬送例を加えた大阪府における心原性心停止の粗発生数は10万人当たり年間46.6と推定された.目撃された心原性心停止の発生場所は家がもっとも多くを占めた.しかし,心室細動(VF)を確認する割合の高いのは職場であった.心原性心停止VF例の1年生存率は,心停止から除細動実施までの時間が18分から14分へ短縮することにより7.3%から13.7%へと改善する傾向にあった.虚脱するところを目撃された心原性心停止で心肺蘇生を受けVFの状態にある患者がもっとも救命しやすい.2005年1月から消防庁は病院前救急医療の科学的検証にウツタイン様式に準拠した活動記録を全国的に導入した

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ショックでは血圧低下と末梢循環不全徴候を認める.ショックにおける初期治療の遅れは生命予後を著しく低下させるため急性期診断は正確であるとともに迅速でなければならず,同時に種々の検査を治療と並行して行う必要がある.病歴聴取と全身状態を観察しつつ,呼吸状態が悪化すればいつでも気管内挿管ができる準備をする.血圧は大腿動脈あるいは頸動脈の拍動を触知すれば収縮期血圧が40~70mmHg以上あると判断する.静脈はエラスター針などを用いて確実に確保し,まずdopamine 5~20μg/kg/minの持続静注を開始する.これらに並行して,心電図,心エコーなどを用いてショックの病態と重症度の評価ならびに原因疾患の検索を行う

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早期に原因を特定することが,ショック患者の診療で重要である.頸静脈は,怒張を認め,右心系圧上昇の指標となる.右室梗塞は,心電図上急性下壁梗塞の所見と右側胸部誘導V3R~V4Rでの0.1mV以上のST上昇を認める.初期治療として容量負荷を行う.急性肺血栓塞栓症では,心電図上V1~V3のST上昇,S I Q IIIや右脚ブロックの出現およびV1~V3の陰性T波を認める.はじめにheparinの投与が施行される.心タンポナーデでは,心膜液の貯留を証明する.心膜穿刺が考慮されるが,大動脈解離の可能性を念頭に置く.緊張性気胸では,胸部X線写真上縦隔の移動と気胸が認められ,速やかな胸腔ドレナージを要する

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心室細動(VF),無脈性心室頻拍(pulseless VT),無脈性電気活動(PEA),心静止(asystole)が代表的なショックを起こす不整脈で,治療の対応が遅れることで脳などの重要臓器に致命的な障害を残す.救命される機会は,心停止で発見されたときにasystoleでなくVT/VFのときが多い.VF/VT時には原因がなんであれ迅速な除細動を実施することにつきる.徐脈によるショックの患者には,atropineの反応をみる一方で経静脈ペーシングの準備をしながら,経皮ペーシングのパットを患者に貼り,速やかにペーシングを開始する.不整脈によるショックが可逆的で治療可能な原因によって生じているならば,この原因への治療が最優先される.BLS,ACLSを広くトレーニングする必要がある

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ST上昇型,脚ブロック型急性心筋梗塞の早期認識は,救命するうえでの第一歩である.ST上昇型,脚ブロック型急性心筋梗塞は,標準12誘導心電図による診断が基本となる.血栓溶解療法であれ,経皮的冠動脈形成術であれ,閉塞した責任冠動脈を早期に再開通させることが,ST上昇型,脚ブロック型急性心筋梗塞のもっとも重要な治療戦略であり,主要な予後決定因子である.経皮的冠動脈形成術を実施するにあたり,熟練した施設でなかったり,経皮的冠動脈形成術施行までに時間がかかる場合は,躊躇なく血栓溶解療法を選択すべきである

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非ST上昇型急性冠症候群は,典型的な狭心痛を有する例や心電図変化の明らかな場合は入院加療が必須である.来院時に胸痛が消失し心電図変化もないような例では血中生化学的指標としてCPKやCPK-MBの上昇の有無,それらの上昇がなくとも血清トロポニンTもしくはI,ミオグロビン,心臓脂肪酸結合蛋白を測定し,上昇があれば疑わしいとして入院加療が必要である.初期治療の基本は,安静の保持と酸素投与,血管拡張薬と抗血栓治療である.治療方針を決定するためには,冠動脈造影は欠かすことのできない検査である.虚血発作ごく早期では非ST上昇型急性冠症候群は診断が困難なことも少なくなく,見逃せば突然死にいたることもある病態なので,早期診断と初期治療が大切である

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急性大動脈解離は,急性冠症候群および急性肺塞栓症とともに,胸痛の鑑別診断として重要である.急性期には,心タンポナーデ,大動脈弁閉鎖不全症,分枝灌流障害(心筋梗塞,脳梗塞,腸管虚血,腎梗塞,下肢虚血など),といった特有の解離合併症による生命危険度が高い.急性大動脈解離の早期診断の鍵は,まず解離を疑うことにある.スクリーニングとしては超音波検査がもっとも有用であり,また客観的に死角なく大動脈を検索するには造影CTが有用な手段である.解離においては全身スキャンが必要である.初療の要点は降圧・安静・鎮痛であり,Stanford分類と解離合併症により手術適応を考慮する

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呼吸困難を示す原因疾患の中で,循環器系疾患は多くを占め,迅速な診断と治療が要求される.急性左心不全は血行動態により 1)急性心原性肺水腫, 2)心原性ショック, 3)慢性心不全の急性増悪に分けられ,病態に応じた治療が必要である.呼吸困難を主訴に来院する心不全の患者は多いが,初期に原疾患の診断や病態の把握は困難な場合が多い.まず,患者の重症度・緊急度を把握したうえで,初期治療を行いそれに伴う反応を評価し(血圧,尿量,症状),フィードバックさせることが大事である

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急性期に意識障害で来院する患者に対しては,低血糖などの全身性疾患の除外をまず行う.同時に,神経局所徴候の有無に留意すべきである.意識障害を呈する急性期脳卒中は,出血性のものが大部分である.一方,代謝性脳症,精神疾患との鑑別が困難な虚血性脳卒中もときに存在する.急性期意識障害患者の初期治療として,気道確保および呼吸・循環管理が重要である.虚血性脳卒中においては,血栓溶解療法の適応がある症例が存在する.治療可能時間(therapeutic time window)は短いため(3~6時間以内),迅速な診断を行い,速やかに専門施設へ紹介・搬送する必要がある

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心電図を判読する前には,まず電極の位置,記録スケールを確かめる.一見,明らかな心電図異常がないようでも必ず以前の心電図がある場合には比較し,また経過を追って心電図を記録し比較する.症状から急性心筋梗塞が疑われるが心電図異常が明らかでない場合,とくに見落としやすい側壁誘導を中心に心電図を見直すことや背側部誘導を記録してみることでST上昇が捉えられることがある.胸痛とともにQRS幅の増大を認めた場合は,広範な心筋虚血が生じ重篤な病態を呈していることが予想され,ST偏位だけでなくQRSにも注意を払う.発熱,胸痛,呼吸困難などを主訴とし,心電図でlow voltageを認める場合は原因疾患として心筋炎も考慮する

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緊急の現場において心エコー・ドプラ法の果たす役割は大きい.正確かつ迅速な診断により最適の治療に移行することができる.携帯型心エコーはこの目的のためには最適の装置である.循環器領域の緊急事態にショックがある.その診断プロセスは心エコー・ドプラ法を用いることにより大幅に短縮することができる.ショックを生じる病態の典型的な画像と所見を覚えておくとよい.心エコーを用いたショックの診断プロセスにショック・ツリーがある.チェックポイントをおさえていくことにより,短時間で診断を得ることができる

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トロポニンTは高い心筋特異性と異常値を示す期間が長いため,微小心筋傷害を診断できる.心筋型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)はトロポニンTより急性心筋梗塞(AMI)早期診断の感度は高いが,心筋特異性は劣る.トロポニンが上昇している急性冠症候群(ACS)の突然死やAMI発症のリスクは高い.新しい診断基準ではトロポニンが上昇しているACSはAMIに分類される.発症から6時間以内ではトロポニンTが,3時間以内ではH-FABPが陰性でもAMIを除外できない.トロポニンTは心不全,慢性透析や肺血栓塞栓症などの心筋傷害により異常値を示す

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ERでの胸部単純X線写真は救急患者の生理学的ならびに解剖学的評価に不可欠の検査である.救急患者では理想的な体位,撮影条件で撮影が困難な場合も多く,過小評価,過大評価に注意する.あくまで補助診断法である.臥位ポータブル胸部X線写真の修飾因子を理解する.急性の呼吸困難,胸痛例では胸部X線写真の臨床的役割はきわめて大きい.肺水腫,過膨張肺,肺塞栓症,急性大動脈解離,特発性食道破裂例の胸部X線写真を提示した

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心臓突然死に対して,意識と呼吸がなければすぐさま「迅速な119番通報」をし,救急車またはAEDが到着するまで心肺蘇生法を行うことがもっとも有効な救命手段である.2004年7月より,日本においても一般市民が心臓突然死に対してAEDを使用することができるようになった.しかしながら,意識がなければ命が危ないと即座に判断できる「命の教育」を受けていない日本人にとってAEDの使用はむずかしい.今後のAEDを用いたパブリックアクセス除細動の普及は「お互いの命を守る社会づくり」の根幹をなす啓発活動である

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心臓突然死の大部分は心室細動によるが,それを治すには電気的除細動しかない.それも1分経つごとに7~10%ずつ助かる可能性が低下する.しかし院外で発生した心停止に対して,救急救命士が現場に除細動器をもって駆けつける方法では3%しか救えない.この絶望的状況から脱出するための画期的アプローチとして,除細動を現場の市民が行うことによって時間を短縮する方法が注目されている.この目撃者による除細動は,心電図を読めなくても電気ショックをかけるべきか否かを音声で教えてくれる小型自動体外式除細動器(AED)の出現によって,2004年7月より可能となり,すでに救命実績をあげている

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蘇生の質を高めるため,リーダーを立て,チームによる蘇生を実践する.心臓マッサージと換気は絶え間なく続ける.心停止時の心電図波形診断は心室細動(VF),無脈性心室頻拍(pulseless VT),心静止(asystole),それ以外の脈を触れない電気的活動(PEA)の4つである.VFまたはpulseless VTであるか,それ以外の波形であるか,で治療の流れは大きく2つに分かれる.前者は,ただちに電気的除細動の適応となる.心停止発生時,救命率向上のためには「The Chain of Survival」ではじめの3つの輪との『連携』をしっかり考えつつ,4番目の輪を実践することが肝要である

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地域のCCUネットワーク構築は急性心筋梗塞をはじめ,現在は大動脈瘤,肺塞栓症なども含む急性心血管疾患のEmergency Cardiovascular Care Unit Networkとして機能している.東京都CCUネットワークはすでに25年を超えて組織を運営し,専門施設集団から東京都全体を包括する組織へと発展してきた.医療分野にとどまらない組織作りが根幹であり,密接な東京消防庁救急隊との協力体制,東京都医師会を介しての実地開業医との緊密な連携,そして東京都福祉保健局による救急医療行政と診療の現場をつなぎ,さまざまな課題に応じた地域全体での診療方針の転換や新課題への組織全体の迅速な対応を可能としている.運営方針のコンセプトは専門施設への患者搬送収容の迅速化,急性期の適切な治療の普及,地域救急医療システムの連携強化であり,さらに患者家族・医療従事者への教育活動の推進をとおし残る最大の課題である心臓突然死への対策がはじまっている

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胸痛センターは胸部症状を有するすべての救急患者を対象に,急性冠症候群の早期診断・早期治療を目的としている.胸痛センターは,救急隊から直接三次救急に搬送することによりprehospital careを短縮でき,あらゆる患者の重症度に対応できる合理的な施設である.救急隊から胸痛センターに搬送された急性冠症候群を疑う患者は,心電図・心エコー・血液検査により一次的なリスクの層別化を施行し,重症度を判別する.その結果,不必要な入院を減少し,医療経済面でも役立っている.胸痛センターにより,急性心筋梗塞は早期の再灌流療法が可能となり,その結果,心ポンプ機能の改善をもたらし,死亡率を減少させる

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心肺蘇生法に関する臨床試験によるエビデンスに基づき作成された2000年のガイドラインは,わが国の心肺蘇生法教育を統一するうえで非常に有用であった.国際ガイドラインは,国際蘇生法連絡委員会(ILCOR)により作成されたが,2005年に勧告が改訂される予定である.新しい勧告に基づき,各国にてガイドライン作成が行われる予定であり,わが国においても真に独自のガイドライン策定が期待される

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重症心不全に対する機械的循環補助法のうち,経皮的に装着可能な経皮的心肺補助(PCPS)法は簡便かつ強力な循環補助として,内科・外科を問わず広く臨床応用されている.とくにPCPSは新しいカニューレや装置の開発とともに急速に普及し,循環器内科・外科のみならず救急医療での救命処置や開心術補助手段として今後の展開が期待される.その成績も,年々向上し,おおむね満足できるものであるが,まだ合併症も多く,heparinコーティングを含め抗血栓症など装置面で改良すべき点も多い.また,適応や補助期間,倫理的な問題についても今後の課題と考えられる.今後,装着の改良がさらに進めば,PCPSは左室補助装置(LVAS)との連携で一層発展するものと思われる

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心室細動に対する抗不整脈薬の位置付けで有効とされているのはamiodaroneであるが,実際入手は困難であり,nifekalant(NF)がその期待を背負う薬剤となっている.心不全やショックにも使用が可能であり,実際では除細動閾値を下げるとする報告もある.NFの副作用としてQT時間の延長によるTdPに注意が必要で,心電図での解析が重要である.NFでの臨床論文は数編であり,院外VFにおけるNFの除細動成功率は59~82%であることから院内発症も含めたVFに対する効果の期待度は高い.今後,日本での前向き臨床研究を多施設で行うことでその有用性が示される

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脳温の上昇は損傷脳に対して悪影響をきたすことは多数報告されており,脳損傷患者の体温を管理することの重要性が報告されてきた.脳低温療法では,重症脳損傷患者で発生している過大生体侵襲と低温化に伴う生体反応を加味したうえで,脳低温療法を計画する必要がある.近年,脳低温療法で強調されているのは,発症から短時間での脳低温療法の導入・目標温度への到達と緩徐な復温である.心原性心肺停止蘇生後患者の脳低温療法の有効性だけでなく,重症頭部外傷患者や虚血性脳血管障害患者でも目標温度への到達時間や復温速度により転帰に差を認める報告が多い.本論文では,脳低温療法の適応病態と管理上の注意点について報告する

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急性冠症候群の責任病変の内視鏡所見は黄色プラークと血小板を主体とした白色血栓が特徴である.内視鏡でプラークの破綻に伴う血栓量の多い場合には,distal protection deviceを用いることで梗塞量を縮小できることから,内視鏡ガイド下の再灌流療法が今後期待される

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急性冠症候群症例のIVUSの特徴は, 1)低輝度主体の偏心性plaque, 2)石灰化は軽度, 3)plaque内に脂質コアを有する場合といわれている.また代償性拡大(positive remodeling)した多量なplaqueが破綻したことによる血栓形成が,その発症の進展,増悪に重要な役割を果たしている.しかし,すべての急性冠症候群症例はIVUS上,上記の特徴を有するとは限らず,高周波信号解析などを用いたplaqueの質的診断によるvulnerable plaqueの検出が今後期待される

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マルチスライスCT(MSCT)は冠動脈狭窄の判定のみならず,冠動脈プラークの検出およびその性状評価に有用である.急性心筋梗塞症や不安定狭心症などの急性冠症候群(ACS)は脆弱性プラークの破綻に引き続く血栓形成が原因であることから,脆弱性プラークを検出することがACSの診断のみならず,ACSの予防に寄与すると考えられる.本稿ではACS診断におけるMSCTの有用性,冠動脈プラークのCT値および冠動脈リモデリングの評価による脆弱性プラーク同定の可能性を述べる

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56歳男性.患者は四肢のしびれ,両下肢の筋力低下を主訴に近医を受診,頸髄MRIにてC4~C5レベルのT2高信号域を指摘され,著者らの施設へ入院となった.入院時,一般理学所見,皮膚所見,神経学的所見に異常はみられず,両下肢の筋力低下および筋萎縮を認めた.全血・生化学・甲状腺機能に異常はなく,抗カルジオリピン抗体と抗RNP抗体は血清で陽性であったが,髄液中では陰性であった.再発性髄膜炎と診断し,ステロイドパルス療法を行ったところ,症状および画像所見の軽快がみられた.症状軽快時の血清中の抗カルジオリピン抗体,抗RNP抗体は変化なく陽性で,更に髄液では抗カルジオリピン抗体が陽性化した

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74歳男性.患者は発熱,左鼠径部痛を主訴に,精査加療目的で著者らの施設へ入院となった.当初,何らかのウイルス感染と考え,levofloxacin投与にて経過観察を行ったところ,第2病日目の血液・生化学所見にて炎症所見の上昇を認めた.CTでは左腎に径5×4cmの嚢胞と左腸腰筋の腫大を認め,化膿性腸腰筋炎と診断し,meropenem trihydrate投与を開始したところ,解熱が得られた.以後,第5病日目の股関節MRIでは左腸腰筋の炎症性腫大を認められたものの,血液培養は陰性で,心エコー上も異常所見はみられなかった.第6病日目には鼠径部痛も消失し,cefcapene pivoxil hydrochlorideを5日分処方し退院となった

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53歳男性.患者は腹痛,腰背部痛を主訴とした.血液生化学検査では軽度の炎症所見,可溶性IL-2受容体と免疫グロブリンの上昇を認めた.CTでは下行大動脈を取り巻くように腫瘤陰影を認め,MRIで腫瘤はT1にて低信号,T2にて低信号と内部にまだら状の高信号域を示した.Gaシンチでは同部に一致して異常集積を認めた.開腹生検術の結果,特発性後腹膜線維症と診断し,ステロイド投与を開始したところ,腫瘍の縮小が得られた

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41歳男性.患者は繰り返す左下腹部痛と血便を主訴に,精査目的に著者らの施設へ入院となった.入院時,炎症所見の亢進を認め,下部内視鏡・注腸造影ではS状結腸および下行結腸に憩室が散見され,S状結腸の途中で著明な狭窄がみられたが,生検にて悪性所見は認めなかった.以上より,S状結腸憩室炎の繰り返しによる狭窄と診断し,保存的治療が無効であったため,S状結腸部分切除術を施行した.病理組織学的に腸管壁は著明に肥厚し,腸管内腔は狭窄していたが,悪性所見はみられず,術後経過は良好であった

基本情報

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臨床雑誌内科
96巻3号 (2005年9月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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