臨床雑誌内科 114巻2号 (2014年8月)

一般内科外来でみる出血傾向 「ぶつけてないのにアザ!」にあわてない

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血栓・止血機構には,血小板,凝固系,血管壁,血流,線溶系などが関与する.凝固系は内因系と外因系より構成され,上流から下流に凝固因子の活性化が増幅される.リン脂質上で凝固因子が濃縮され,飛躍的にFXやFIIを活性化する.少量のトロンビン生成は上流のFXI,FV,FVIIIなどを活性化する.トロンビン,活性化FVIII(FVIIIa),FXaの活性化の連関は,血栓形成機序に重要である.血栓形成機序と止血機序は種々の点で異なる.

出血傾向の鑑別診断 冨山 佳昭
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紫斑の大きさ,種類や部位により,その異常が血小板に起因するのか,凝固系に起因するのかをある程度鑑別できる.紫斑と鑑別すべきものとして,紅斑や毛細血管の拡張や血管腫などがあげられる.紅斑や毛細血管拡張は硝子圧により褪色するが,点状出血は圧迫によっても褪色することはない.日常診療における成人の出血傾向は薬剤に起因することが圧倒的であるため,服用薬剤の詳細をまず聴取する.日常生活において出血傾向が明らかになるのは,血小板数が5万/μL未満に減少した場合である.広範な皮下および筋肉内出血を認める場合は,凝固因子異常の可能性がきわめて高い.血管性紫斑病の場合は,血小板系,凝固系検査に異常がなく,Rumpel-Leede試験が陽性の場合に強く疑われる.出血傾向が明らかな場合には,出血時間検査を行う意義はほとんどなく,またその必要もない.

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血小板数減少の場合,まず再検をする.EDTA惹起性血小板減少症を常に念頭に置く.血小板減少症では,末梢血塗抹標本をみる.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は除外診断である.血小板数が増加していても,出血傾向を認めることがある.

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止血のメカニズムは,血小板が関与する一次止血と,凝固系が関与する二次止血に分けられる.出血時間とは,止血機能に関与する血小板の異常や血管壁の状態を調べる検査のことである.血小板凝集能検査は,血小板機能異常症の診断に重要である.凝固機能亢進評価検査に含まれる検査としては,可溶性フィブリン(SF),プロトロンビンフラグメント(F1+2),トロンビン-アンチトロンビン(TAT),フィブリン分解産物(FDPおよびDダイマー)などがあげられる.凝固機能低下評価検査に含まれる検査は,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)とプロトロンビン時間(PT)である.血小板の活性化の指標として,血小板のα顆粒に蓄積されているβトロンボグロブリン(βTG)や血小板第4因子(PF-4)の測定が行われてきたが,最近はCD62Pの検出が利用されつつある.新しい凝固系のマーカーとしては,マイクロパーティクル(MP)が注目されている.

特発性血小板減少性紫斑病 宮川 義隆
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「ぶつけていないのにアザ!」を外来でみかけた場合,血小板減少をまず疑う.血小板減少として,一般臨床でもっとも多く遭遇するのは,薬剤性血小板減少とウイルス感染症である.ほかには,がん,血液疾患,膠原病,凝固異常症などがある.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の病態は,自己抗体による血小板破壊と巨核球の造血不全である.治療は巨核球造血因子トロンボポエチンの受容体を刺激する新しい薬剤の登場により,大きく進歩した.欧米で約10年前から広く使われている抗体薬rituximabの適応拡大に向けた国内開発が進められている.

医原性血小板減少症 大森 司
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薬剤性,医原性の血小板減少症は,原因不明の血小板減少症に遭遇した際に必ず鑑別にあげる必要がある.薬剤性血小板減少症の成因として,薬剤により血小板に対する抗体が産生されることで,そのクリアランスが増加する病態,いわゆる薬剤惹起免疫性血小板減少症(drug-induced immune thrombocytopenia:DITP)が多い.他の原因として,化学療法に代表される骨髄機能の抑制によることもある.診断は再投与試験が確実であるが一般的には行われていない.特異的な治療は一般的に必要ではなく,通常は薬剤の中止により血小板数が回復する.

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へパリン起因性血小板減少症(HIT)はへパリンによる重篤な副作用で,医原病として認識する.HITの診断には,4 T'sスコア方式を用いて,そのスコアから3段階の評価を行いHITの可能性を検証する.血小板減少の原因をHITに特定することに苦慮することが多いので,4 T'sスコア方式(表1)を活用する.医療保険承認の抗血小板第4因子/へパリン複合体抗体(HIT抗体)測定法による結果を過信してはならない.陰性結果であればHITは除外できるが,陽性でもHITとして診断してはならない.HITを診断するためには,HIT抗体活性を測定する機能検査が必要となる.

血栓性微小血管障害症 松本 雅則
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血栓性微小血管障害症(TMA)は,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)や溶血性尿毒症症候群(HUS)を含む疾患概念である.TMAは,原因不明の血小板減少と溶血性貧血で疑うことが重要であり,早期に診断し,治療を開始することが予後改善につながる.TTPはADAMTS13活性著減で診断される場合がある.TTPで有効性が明らかな治療法は血漿交換のみであるが,最近抗CD20モノクローナル抗体rituximabが有効であることが報告されている.志賀毒素産生大腸菌感染に伴うHUSは保存的な治療であるが,それ以外のaHUSで補体制御因子の異常が報告され,補体C5に対するモノクローナル抗体eculizumabが日本でも保険適用となった.

播種性血管内凝固症候群 朝倉 英策
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敗血症に代表される線溶抑制型DICでは臓器障害がみられやすいのに対して,急性白血病に代表される線溶亢進型DICでは出血症状がみられやすいが臓器障害はみられにくい.旧厚生省DIC診断基準がもっとも優れているが,基礎疾患によって変動しやすいマーカーは異なっている.DICの治療は,基礎疾患の治療に加えて,病態ごとにもっとも適した抗凝固療法を行う.外来では,動脈瘤に合併した線溶亢進型DICの診療経験が多い.患者負担の軽減に配慮した治療が望まれる.

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血小板減少症の成因は,(1)血小板産生低下,(2)破壊・消費の亢進,(3)分布異常,(4)その他(とくに偽性)の4つに大別できる.再生不良性貧血の早期では,血小板1系統だけが減少することがある.急性HIV感染症でも血小板減少をきたしうるが,非常に見逃しやすい.急性白血病では,正常造血の抑制と播種性血管内凝固症候群(DIC)によって血小板減少をきたす.骨髄異形成症候群(MDS)では血小板だけの減少はまれであり,多くは貧血を伴うか汎血球減少症を呈する.May-Hegglin異常などの先天性血小板減少症は,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と誤診されやすい.肝硬変による血小板減少症は,血液生化学検査が一見正常だと画像診断をしないとITPと誤診される.EDTA依存性偽性血小板減少症は頻度の高い病態で,ITPと誤診されやすい.

膠原病に伴う血小板減少症 桑名 正隆
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膠原病のなかで血小板減少症の頻度がもっとも高い疾患は全身性エリテマトーデス(SLE)である.膠原病でみられる血小板減少症の機序は多彩であるが,免疫性血小板減少症の頻度がもっとも高い.血小板減少症や紫斑を主訴に受診した例では,膠原病の存在を疑って詳細な問診,身体所見をとることが必要である.

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妊娠中に観察される血小板数の減少は妊娠性血小板減少症がもっとも多く,臨床的には特別な治療を要さない.ただし妊娠中の鑑別は除外診断となる.産科合併症として血小板減少症に対し,特別な周産期管理を要するものとしては免疫性血小板減少症,骨髄疾患,HELLP症候群,血栓性血小板減少性紫斑病などがある.妊娠自体による血小板数減少には非妊娠時とは異なる機序があり,疾患の診断にはその特殊性を理解したうえであたることが必要である.母体胎児に及ぼす影響に配慮しながら特別な周産期対応を要する場合があり,治療にあたっても同様の注意が必要である.

血友病 武山 雅博
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血友病はもっとも代表的な先天性凝固異常症である.血友病A(B)では第VIII(IX)因子の活性が低下~欠乏するために,幼少時からさまざまな出血症状をきたす.血漿由来第VIII(IX)因子製剤や遺伝子組換え型第VIII(IX)因子製剤の投与により,血友病患者は重篤な出血症状を回避することができるようになった.以前は出血時に凝固第VIII(IX)因子製剤を投与すること(出血時補充療法)が一般的であったが,最近では,出血を予防するために定期的に製剤を投与する定期補充療法が普及してきており,関節出血の頻度が減少し,血友病患者のQOLは高くなってきている.しかし,製剤投与のための小児,とくに乳児における静脈注射の困難さや,インヒビターの発生など克服すべき課題も多いのが現実である.

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後天性血友病は凝固第VIII因子に対する自己抗体が出現し,出血症状をきたす疾患である.症状は皮下出血と筋肉内出血の頻度が高く,ときに致死的な出血をきたす.凝固検査でPT正常,APTT延長,第VIII因子活性低下,VWF活性正常,第VIII因子インヒビターが陽性の場合,後天性血友病と診断する.止血治療は,遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤または活性型プロトロンビン複合体製剤によるバイパス止血療法が主体である.それに加え,インヒビター除去のための免疫抑制療法を診断後ただちに開始する.免疫抑制療法により大部分は寛解にいたるが,一部の症例は出血症状あるいは免疫抑制療法に伴う感染症によって死亡する.

von Willebrand病 山下 敦己 , 瀧 正志
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von Willebrand病(VWD)はvon Willebrand因子(VWF)の量的・質的異常に起因する遺伝性出血性疾患である.VWDの病因・病態はきわめて多様で,VWFの量的減少症の1型,質的異常症の2型,完全欠損型の3型に分類され,2型にはさらに2A,2B,2M,2Nの4亜型が存在する.止血治療はVWF/第VIII因子濃縮製剤の補充療法およびdesmopressin投与が中心となり,病型,出血の種類や重症度に応じて適切な治療法を選択する.

ビタミンK欠乏性出血症 白幡 聡
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ビタミンKは4種類の血液凝固因子の産生に必要不可欠な微量栄養素であり,その欠乏により止血困難が引き起こされる.腸内細菌が産生したビタミンKが供給されるので,摂取量の減少だけではビタミンKの欠乏は起こらない.したがって,ビタミンK欠乏のリスク因子のない成人にビタミンK欠乏性出血症をみることはない.一般外来で遭遇する機会があるのは,幼若乳児のビタミンK欠乏性出血症で,高率に頭蓋内出血を起こしているので早期治療が重要である.ビタミンK欠乏による頭蓋内出血を防ぐため,わが国ではビタミンK製剤の予防投与が普及し,本症はまれな疾患になった.

血小板機能異常症 横山 健次
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先天性血小板機能異常症でみられる止血異常は一次止血の異常であり,重症の出血をきたすことはまれである.診断を進めるためには血小板凝集能検査が有用である.血小板受容体GPIb/IX/V複合体の異常であるBernard Soulier症候群,αIIbβ3の異常である血小板無力症は,出血症状が比較的高度である.先天性血小板機能異常症はまれな疾患であるが,出血傾向をきたす他の疾患と間違われて不必要な治療が行われることがあり,注意が必要である.

血管性紫斑病 早川 潤 , 伊藤 保彦
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血管性紫斑病は慢性炎症性病変を基盤とする全身性疾患であるが,その侵される部位や臓器の違いからさまざまな病型に分類できる.本稿では2012年のChapel Hill会議で名称が改訂され,小児に好発であるIgA血管炎(旧名:Henoch-Schonlein紫斑病)を中心に解説する.IgA血管炎は紫斑,腹痛,関節腫脹・関節痛を主要徴候とし,ときに腎炎を併発する.腎合併症を伴わない場合は疼痛管理と安静のみで治癒するが,腎病変を認める場合は抗凝固療法あるいはアンジオテンシン変換酵素阻害薬を使用することもある.

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出血傾向は血小板の数的・質的異常と,凝固因子活性の低下により生じる.診断時には両者の評価が必須である.出血は,血管損傷によるbleedingと血管内皮細胞機能的低下によるoozingに分類され,輸血はoozingの予防に有効である.血小板輸血は,血小板>5万/μLでは原則不要で,慢性的な血小板減少患者では1~2万/μLで十分である.治療的血小板輸血時には,成人で10~20単位製剤をまず投与する.凝固異常には原則,相当する凝固因子製剤を使用するが,複合凝固因子補充や全血漿交換には新鮮凍結血漿(FFP)を使用する.凝固補正の初期投与量は10mL/kg程度とし,効果判定後追加する.

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生体でもっとも小さく核を有さない血小板は,一方で,多彩な生理作用をもつ.しかし,従来の手法では,単一血小板は生体内で可視化することができず,生体での機能にも不明な点が多かった.われわれは,一光子共焦点・二光子レーザー顕微鏡を用いた「生体分子イメージング手法」を独自に開発し,血栓症をはじめとする生活習慣病にアプローチしてきた.本手法を用いて生体内の血栓形成過程の詳細も明らかになり,iPS由来の人工血小板の機能解析も可能となっている.つまり,生体内の血小板機能を生体外で再構築し,in vivo,in vitro両面から解析することが可能になっている.本稿では,生体内での血小板の活性化機構と血栓止血機能,さらに多彩な生命生理現象との関わりに対する新規のアプローチを中心に紹介する.

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非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は,志賀毒素によるHUSとADAMTS13活性著減による血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)以外の血栓性微小血管障害症(TMA)であり,微小血管症性溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害を3主徴とする疾患である.aHUSの約半数は,CFH,CFI,MCPなどの補体調節因子の遺伝子異常により発症する.本症の予後は不良で,発症1年後死亡率が25%であり,半数が透析を要する高度の腎機能障害にいたる.最近,補体因子C5に対するモノクローナル抗体(eculizumab)がaHUSの希少疾病薬として認可された.現在,実地臨床の場でTMA症状の改善,寛解例が蓄積しつつある.

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同種移植後の生着不全(GF)を認めた3例を対象に、fludarabine・cyclophosphamide・全身放射線照射2Gyによる治療強度を減弱させたshort-term conditioning regimenを利用して臍帯血再移植を行い、臨床経過を後方視的に解析した。対象の原疾患は急性骨髄性白血病2例、急性リンパ性白血病1例であった。初回移植の幹細胞源は全例が臍帯血(CB)であった。GFの形式は一次性2例、二次性1例であった。GF前の合併感染症は敗血症1例、サイトメガロウイルス抗原血症1例であった。GFの診断日は初回移植後20~35日であった。初回移植から再移植までの期間は40~48日で、再移植の幹細胞源も全例CBであった。全例で生着が得られ、再移植生着に要した期間は21~25日であった。再移植後の合併感染症は、非重篤であったが、サイトメガロウイルス抗原血症を全例、BKウイルスによる出血性膀胱炎を2例に認めた。抗生物質や抗真菌薬の投与により、再移植後に明らかな急性GVHDは認めなかった。

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75歳男。慢性便秘の増悪、食思不振があり、体動困難にて救急搬送された。意識清明で麻痺はなかったが、発語や動作が緩慢で、顔面・四肢に浮腫、また難聴を認めた。貧血(Hb7.8g/dL)があったが、頻脈ではなく、クレアチンホスホキナーゼ値および総コレステロール値が上昇しており、血液検査・甲状腺エコー所見より慢性甲状腺炎と診断した。なお、5年前に大腸腺腫内腺癌の既往があり、入院時のCEA値が22.6ng/mLと高値であったことから消化器悪性腫瘍が疑われたが、頸動脈エコー・冠動脈造影で両側内頸動脈および冠動脈の高度狭窄が判明し、消化管精査は行わなかった。levothyroxineによる甲状腺ホルモン補充療法を開始したところ、症状は軽快し、CEA値は徐々に低下して3ヵ月後に正常化し、更に甲状腺機能やクレアチンホスホキナーゼ値、総コレステロール値も正常化した。

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73歳女。10年前に甲状腺両葉の結節性病変を指摘され、腺腫様甲状腺腫の診断で定期観察を受けていた。年1回の穿刺吸引細胞診(FNAC)で悪性所見は認めていなかったが、今回のFNACで甲状腺乳頭がんが疑われた。内分泌学的検索で抗Tg抗体陽性、慢性甲状腺炎の存在が示唆され、甲状腺ホルモン値は基準値内であった。頸部エコーで甲状腺両葉に多発する低エコー結節を認め、左葉には15×14mm大の境界不明瞭、不整形の低エコー結節が存在した。細胞診では乳頭がん疑いであった。甲状腺全摘術および左頸部リンパ節郭清を施行し、病理診断はpoorly differentiated papillary thyroid carcinoma、T2N0M0、stage IIであった。なお、右葉の結節は腺腫様甲状腺腫であった。術後約1年に左頸部皮膚に結節を認め、腫瘤摘出術を行い、病理診断は甲状腺乳頭がんの皮膚転移であった。左頸部皮膚に発生し、甲状腺全摘時に遠隔転移を認めなかったことから、皮膚のみに限局して転移する可能性は低いと考え、FNACによる播種と判断した。なお、術前CTを見返したところ、左頸部皮下に造影効果を示す結節の存在を認めた。

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37歳男。肥満を指摘されており、仕事中に頻回の眠気を自覚したため受診し、睡眠ポリグラフ検査にて重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と診断された。血液生化学検査では肝機能異常、脂質異常、高尿酸血症を認め、腹部CTでは内臓脂肪型肥満の所見であった。生活習慣の改善、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)による治療を開始したが、アドヒアランスは低く、CPAPの1日平均使用時間は2時間程度で、生活習慣の是正も行われなかった。治療開始後6ヵ月にA型インフルエンザに罹患し、内服治療を受けたが突然死を来たし、死因不明なため法医解剖となった。剖検、ウイルス学・中毒学的検査、肉眼的・組織学的検査の結果、動脈硬化リスクを有したOSASを背景とした虚血性心疾患が死因と判明した。

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症例1:50歳女。慢性C型肝炎に対しインターフェロン(INF)治療を開始し、約4ヵ月後より労作時動悸、体重減少を自覚した。血液検査で甲状腺ホルモン値の高値を認め紹介となり、眼球突出はなく、甲状腺は両葉母指頭大、弾性軟で、結節や圧痛はなかった。無治療で甲状腺ホルモン値は正常化し、治療開始後6ヵ月にINF治療が終了した以後は経過観察していたが、動悸の症状が強くなり、FT4の上昇を認め、血液検査よりBasedow病と診断してthiamazoleを投与した。症例2:48歳男。慢性C型肝炎に対しINF治療を開始し、約3ヵ月後より動悸、体重減少、全身倦怠を自覚した。血液検査で甲状腺ホルモン値の高値を認め紹介となり、眼球突出はなく、甲状腺は両葉母指頭大、弾性軟で、結節や圧痛はなかった。血液検査の結果、Basedow病と診断しthiamazoleの投与を開始したが、1年半後に甲状腺機能低下、TSBAb陽性を認め、levothyroxineを補充した。IFN治療は終了したが、甲状腺機能低下は回復していない。

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37歳男。両眼窩部痛、複視および眼球運動障害を主訴とした。初診時より強い眼窩部痛があり、眼瞼腫脹や眼球結膜充血、複視も認めたが、眼球突出は僅かであった。眼窩部MRIでは、右外側直筋と左内側直筋の筋腹が高度に腫大している所見を認めた。初診時の甲状腺機能は正常であったが、TSAbが200%と異常高値を示し、当初はeuthyroid Graves' ophthalmopathyと考えた。しかし、入院時にTSAbを再検したところ168%と正常であり、臨床症状および眼窩MRI所見より特発性外眼筋炎と診断した。ステロイドパルス療法を3クール施行し、経過中に生じた眼窩部痛や眼球結膜浮腫、眼瞼腫脹の増悪に対してprednisolone内服を開始し、眼窩部へ放射線療法も行った。3クール施行後はPSLにmethotrexateの内服を併用した。治療開始4ヵ月後にmethotrexateを中止、26ヵ月後にprednisoloneを中止し、再燃なく経過している。

基本情報

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臨床雑誌内科
114巻2号 (2014年8月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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