発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014391195
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73歳女。10年前に甲状腺両葉の結節性病変を指摘され、腺腫様甲状腺腫の診断で定期観察を受けていた。年1回の穿刺吸引細胞診(FNAC)で悪性所見は認めていなかったが、今回のFNACで甲状腺乳頭がんが疑われた。内分泌学的検索で抗Tg抗体陽性、慢性甲状腺炎の存在が示唆され、甲状腺ホルモン値は基準値内であった。頸部エコーで甲状腺両葉に多発する低エコー結節を認め、左葉には15×14mm大の境界不明瞭、不整形の低エコー結節が存在した。細胞診では乳頭がん疑いであった。甲状腺全摘術および左頸部リンパ節郭清を施行し、病理診断はpoorly differentiated papillary thyroid carcinoma、T2N0M0、stage IIであった。なお、右葉の結節は腺腫様甲状腺腫であった。術後約1年に左頸部皮膚に結節を認め、腫瘤摘出術を行い、病理診断は甲状腺乳頭がんの皮膚転移であった。左頸部皮膚に発生し、甲状腺全摘時に遠隔転移を認めなかったことから、皮膚のみに限局して転移する可能性は低いと考え、FNACによる播種と判断した。なお、術前CTを見返したところ、左頸部皮下に造影効果を示す結節の存在を認めた。
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