看護管理 31巻9号 (2021年9月)

特集 東京女子医科大学の3医療施設と看護学部のコラボレーション プリセプターシップの再構築 熟達者の実践と新人の豊かな感性から学び合う教育体制

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東京女子医科大学の3医療施設では,2017年から,「熟達者の実践と新人看護師の豊かな感性から学び合う」ことをコンセプトにした新たなプリセプターシップ制度を導入しました。

正統的周辺参加理論を背景とする3か月のプリセプターシップは,新人看護師と熟達者が看護の喜びを分かち合うことを目的とし,新人看護師が熟達者のシャドウイングを行うことが柱になっています。

熟達者の看護実践の観察を通じて,新人看護師は主体的に学ぶとともに自分の居場所を見いだします。また,熟達者は,新人看護師との対話を通じて,自己の看護実践について内省するとともに他者からの承認の機会を得ることができます。

3医療施設では,この新たなプリセプターシップ制度の構築に,看護部門と看護学部の教員によるプロジェクトとして取り組みました。

本特集では,新たなプリセプターシップ制度の全体像とともに,教育システムを再構築するまでのプロジェクトマネジメント,研究に基づく新たな教育体制のアウトカムを紹介します。

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東京女子医科大学の3医療施設が2017年から導入した新たなプリセプターシップ制度は,「熟達者の実践と新人の豊かな感性から学び合う教育体制」の構築をコンセプトとしている。

ここでは,次稿以降で共有する開発・導入のプロセスや,組織全体にもたらした教育的効果を,企画・推進者の視点から振り返る。新たなプリセプターシップ制度の導入は,新人看護師が主体的に学ぶための高い効果をもたらすとともに,学習共同体としての組織全体の成長につながった。

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東京女子医科大学の3医療施設では,2017年から新たなプリセプターシップ制度を導入した。「熟達者の実践と新人の豊かな感性から学び合う教育体制」をコンセプトに,看護の「熟達者」であるベテラン看護師がプリセプターを担い,新人看護師が1か月のシャドウイングを行うことが特色である。また,指導する側,される側という枠組みを外し,全ての看護職員が相互に学び合える環境づくりを目指した。

本稿では,新たなプリセプターシップ制度の概要を解説する。

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東京女子医科大学の3医療施設では,「熟達者の実践と新人の豊かな感性から学び合う教育体制」をコンセプトに,2017年から新たなプリセプターシップ制度を導入した。指導する側,される側という枠組みを外し,全ての看護職員が相互に学び合える環境づくりを目指した。

本稿では,開発・導入の基盤となった3医療施設と大学の11名のメンバーで構成された会議体「看護でつながるプロジェクト」の4回にわたる会議録の内容から,検討のプロセスを振り返る。

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筆者らは看護部の教育担当として,東京女子医科大学の3医療施設における新たなプリセプターシップ制度の導入と定着を推進してきた。本稿では推進の基盤として筆者らが企画・運営してきたプリセプターシップ研修,キャリアラダーレベルⅡの看護師(キャリアラダーレベルⅢを目指す看護師)への支援方法の再構築について詳しく述べる。

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前稿で紹介された東京女子医科大学の3医療施設の「熟達者の実践と豊かな感性から学び合う教育体制(プリセプターシップ)」の実際として,ここでは新人看護師の学びの成果について,フォーカスグループインタビューの分析から抽出された6つのカテゴリーを中心に解説する。また,コラムではプリセプターシップを経験した新人看護師の声も紹介する。

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東京女子医科大学の3医療施設が2017年から導入した新たなプリセプターシップ制度の大きな特徴は,プリセプターをキャリアラダーレベルⅢ以上の熟達者が担うことにある。

筆者らは,3医療施設に所属する熟達者に対して,新人と共に行った看護実践や,プリセプターの役割から学んだことなどについて,半構成的なフォーカス・グループ・インタビューを実施し,その分析結果をもとに熟達者の学びを研究的に明らかにした。本稿ではこの研究成果を共有するとともに,プリセプターを務めた熟達者のコラムを併載する。

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本特集で紹介してきた東京女子医科大学の3医療施設の新たなプリセプターシップ制度「熟達者の実践と豊かな感性から学び合う教育体制」において,各部署の看護師長はどのような役割を担い,そこから何を学んでいるのだろうか。本稿では,看護師長へのフォーカスグループインタビューの分析から得られた6つのカテゴリーを基に考察する。また,コラムでは集中治療室看護師長の視点から,新たなプリセプターシップの意義を振り返る。

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東京女子医科大学の3医療施設が2017年に導入した新たなプリセプターシップ制度は,「熟達者の実践と新人の豊かな感性から学び合う教育体制」の構築をコンセプトとしており,レイヴらによる「正統的周辺参加理論」を基盤としている。

本稿では,「プリセプターシップの実際」の稿(p.774〜p.788)で述べられた新人看護師,熟達した看護師(熟達者),看護管理者(看護師長)の学びの結果から,新人看護師を迎え入れた共同体の学び合いを支える要素を整理する。

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東京女子医科大学の3医療施設における新たなプリセプターシップ制度の開発においては,大学と協働して成果を見える化するための研究を進めてきた。本稿では研究者の立場から,同院におけるプリセプターシップの意義を述べるとともに,研究活動の実際を紹介する。

なお,本特集はこの研究成果をもとに構成されている。

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筆者は東京女子医科大学看護学部において,東京女子医科大学の3医療施設のプリセプターシップの変革に,アイデア段階から関わり看護部と協働して支援してきた。その歩みを振り返り,学生から看護師への「移行期」支援の意義と今後の課題について述べる。

巻頭シリーズ 【石垣靖子氏 対話シリーズ】看護と倫理 尊厳を護るケアの担い手として・19

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第15回からこの企画のセカンドシリーズとして,主にがん看護/緩和ケアの臨床で看護管理者あるいは実践家・教育者として,質の高い倫理的な看護・ケアを牽引されてきた皆さまにその哲学を伺っています。

今回は,一般企業から看護界に入り,その“異種”としての経験を病院看護部のマネジメントに活かして,スタッフと共に倫理的な組織,学習する組織をつくられた勝原裕美子さんにお話を伺います。看護部のトップマネジメントから個人事業主としての現在の活動に至るまで,看護管理者が,より豊かに生きるためのアン・ラーニング,学びほぐしの支援がキーワードになっていました。(石垣靖子)

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筆者は「特定行為に係る看護師の研修制度」の研究を継続する中で,2021年3月に研究論文「特定行為研修を修了した看護師が認識する看護実践の変化」を公表した。本稿では,その研究について紹介するとともに,特定行為研修制度をめぐる課題について考察する。

連載 潜在能力を最大限に発揮する「学習する組織」 個人・チーム・組織が変わる戦略と実践・5

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 「学習する組織」では,チームの中核的学習能力として「志を育成する力」「複雑性を理解する力」「共創的に対話する力」という3つの力と,「自己マスタリー」「システム思考」「メンタル・モデル」「チーム学習」「共有ビジョン」という5つのディシプリン(実践するための学び,習得しなければならない理論と手法の体系)を紹介しています(図1)。今回は「チーム学習」について詳しく解説していきます。

連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・24

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 留学生活を振り返る上で,欠かせない人がいる。一般的にアメリカの大学院では「アカデミック・アドバイザー」と呼ばれる,在学中の履修登録や学業全般の相談に乗ってくれる人がいる。私のプログラムでは贅沢にも,学生1人につき教授が1人割り当てられ,卒業プロジェクトの指導教官も併せて引き受けてくれる。私のアドバイザーは,学科長であるビクトリア・マーシック先生に決まった。

 実は,マーシック先生に初めて会ったのは,大学院に合格する1年以上前である。当時,看護師として臨床現場で働きながら出願を準備していたとき,留学カウンセラーから「ニューヨークに行って大学院を直接確かめてきなさい」と言われた。無謀すぎる提案に面食らいながらも,なんとか日本人の卒業生にコンタクトをとることができ,つなげてもらったのがマーシック先生だった。そして奇跡に奇跡が重なり,はるばる日本から訪ねてくる私を歓迎し面談の時間を設けてくれたのだ。1週間の休暇で,3泊5日の弾丸旅。緊張に飲み込まれそうな私を,先生は研究室で温かく迎え入れてくれた。「私は看護師が学び続けられる環境を日本でつくりたいんです!」と思いの丈をぶつけたところ,「ここにはあなたが学びたいものがそろっていると思う」と言ってもらい,帰国した私は単願受験に切り替えるほど,マーシック先生の虜になった。その出会いから1年後,偶然だったのかは分からないが,憧れの教授が自分のアドバイザーに決まった。

連載 脳に不具合をかかえた患者への看護 「支援困難」「個別性が高い」という思い込みからの脱却・2

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 前回は,脳の情報処理機能の低下を一次障害,そこに環境要因を受けて起きるお困りごとを二次障害と捉え直してほしいという提言をした。複雑な環境要因によって極めて個別性が高い二次障害を見て,「難しい」「全てには対応できない」のように思考放棄してしまうのではなく,一次障害のほうに注目することで,当事者の苦しみをシンプルに捉え直し,その上で二次障害化を防ぐ,つまり「痛いところに触らない」ケアをしてほしいと締めくくった。

 ということで,今回はまずこの「痛いところに触られる」というのが当事者にとってどんな感覚のことなのか,といったところから,お伝えさせていただきたい。

連載 読んでおきたいビジネス書・6

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企業経営にとどまらず人材育成にも熱心に関わり続けた

 この連載は,読者の皆さまの仕事に役立つビジネス書を選書していますが,今回は少し違った観点で本を選びました。いわば夏休み企画のようなものですが,選んだのは『渋沢栄一 社会企業家の先駆者』です。

 2024年度から導入される新1万円札の肖像として採用が決まっている渋沢栄一。その波乱に満ちた生涯は,現在放映中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」でも描かれています。

連載 次世代を担う看護管理者の育成 看護管理者研修から見える未来・3

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「学習する看護組織」を目指して

 看護の現場では今日さまざまな問題が起こっています。それは,複雑な問題を抱えた患者への対応,治療内容の高度化,病院経営を踏まえた病棟管理,働き方改革への取り組み,そして昨今ではCOVID-19への対応などであり,取り組むべき課題は常に多くあります。

 このように変化の多い看護の現場においては,情報を集めて自らの部署のニーズを把握し,課題を分析し,行動につなげるスピード感と実行力が必要です。そこで,従来型の「上が決めたことを下がまずは実行する」という上意下達型の組織ではなかなか対応が追いつかなくなっているのではないかと考えます。

連載 新人看護師とプリセプターの視点から考えるよりよい新人看護師教育 誰もが働きやすい職場を目指すために・8

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 今回は,新人看護師Lさん,プリセプターMさんの事例を取り上げます。新人看護師Lさんは,新卒で入職して2年目の看護師です。2年目の初めに,最初の所属部署から現在の部署への異動を経験しています。

 一方,プリセプターのMさんは看護師経験5年目で,Lさんの入職1年目の担当プリセプターでした。Mさんにとって初めてのプリセプター経験でした。インタビューでは,入職1年目のMさんについて振り返ってもらいました。

連載 ニガテ意識払拭! ナースのための数字の読み方・3

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 最初に,今回の学習内容に関連した問題を解いてみましょう。

 自信を持って答えられましたか? グラフにはいくつか種類がありますが,データの特徴や分析の目的に応じて適切にグラフを選択することが大切です。

連載 ワークブック形式で学ぶ! ファシリテーションのための企画とプログラムデザイン・8

主語を参加者にして考える 森 雅浩
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 「新人看護師にはもっと自信を持ってもらいたい」という思いからスタートした企画は,7W3Hの骨子確認シートで「入職3か月—自身を持って現場に臨むために」という90分×3回シリーズの研修という形になりました(第7回の表を参照)。

 研修の目的は「不安を取り除き,自身を持たせる」ことにありますが,ここで注目してほしいのは,この文章の主語が誰になっているかです。企画を立てる主体は企画者ですから,研修の目的は,企画者が主語の文章になることが多いのは当然です。

連載 グローバル時代の医療英会話Lesson 外来や病棟で出会う外国人をサポートするために・8

What is culture? ウイリアムソン 彰子
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 この原稿を書いている7月は,19年前に私が国際結婚をした記念月です。これまで,「ウイリアムソンです」と自己紹介すると,100人が100人とも「お国はどちらですか?」と質問されます。「アメリカです」と答えると,次の質問は決まって「アメリカのどちらですか?」。「シアトルです」と答えると,日本人にはなじみのある都市ですので,その次には「イチロー」か「スターバックス」の話題へと発展していきます。

 3人の子どもたちも,小学校,中学校,高校と進学する度に,あるいはクラス替えの度に似たようなやり取りをしてきたようです。子どもの場合は,「アメリカです」と答えた後は決まって「英語しゃべってー」という展開になるそうです。私が「何てお返事するの?」と聞くと,面倒くさそうに「Hello!って言っとく」だそうです。「そんなに同じ質問に答えるのが面倒だったら,Tシャツか帽子に『アメリカ・シアトル出身』って書いておく?」と笑い話をしました。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・181

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 日常の次元を超えた深い深い感動に全身が包まれると,心のなかから何かが溢れ出ているのだけれど,何が溢れ出ているのか,自分でも捉えることができなくなることがある。

 カナダの詩人と画家による絵本『ぼくは川のように話す』を読んだ時,まさにそういう感動の波動からしばらく抜け出せないほどの経験をした。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
31巻9号 (2021年9月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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