特集 看護管理者のためのEBP入門 質改善の組織文化を加速させるリーダーシップ
看護管理者にとってのEBP
酒井 郁子
1,2,3
1千葉大学大学院 看護学研究院先端実践看護学研究部門 高度実践看護学講座
2千葉大学大学院 専門職連携教育研究センター
3千葉大学医学部附属病院 総合医療教育研修センター
pp.634-639
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550350080634
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看護管理者の多岐にわたる業務の核は,患者・家族の健康アウトカム向上を目指し,ケア提供プロセスを組織的に改善することである。医療を取り巻く環境が激変する中,日々の現場の「ファインプレー」を確かな医療の質向上につなげるには,エビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice:EBP)が不可欠である。
EBPは,科学的根拠に加え,ケア提供者の専門的判断,患者の価値観を統合し,個別性の高いケアを保証する仕組みである。本稿では,オピニオンに基づくPDCAサイクルと,その結果としての慣習に基づくケアから脱却し,エビデンスに基づく実践改善へと舵を切る重要性を論じる。
また,このEBPを組織的なプロジェクトとして推進するには,看護管理者の強力なリーダーシップと,それを育む文化の醸成,適切な人材育成が求められる。EBPを導入することで,組織は「達成可能な最善」を認識し,医療の質を持続的に高めるとともに,スタッフの職務満足度向上にもつながるだろう。

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