産婦人科の実際 68巻7号 (2019年6月)

特集 産婦人科診療decision makingのためのMRI・CT

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MRI,CT,PET-CTなどの画像診断の進歩によって,様々な疾患・病態を治療前に詳細に評価できるようになってきた。しかし,産婦人科医である読者諸氏は,画像診断に求めることと放射線診断医からの読影レポートに解離を感じたこともあるのではないだろうか。一方,産婦人科医によるオーダー方法に対する放射線診断医からの不満もしばしば伝え聞く。

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私が画像診断医を目指した頃はMR診断の指導者は少なかったが,それでも早くから興味を持ったのが婦人科領域のMR診断である。なぜ興味をもったのか? それは何よりも富樫かおり先生(京都大学医学部附属病院放射線診断科 現・教授)が執筆された「婦人科疾患のMRI診断(医学書院,1990年)」にある。この本を通して,婦人科領域の正常解剖から多くの疾患のMR所見を学び,私だけでなく,現在の婦人科領域の画像診断医の礎になったといっても過言ではない。その後,私はサブスペシャルティの道を選ばず,general radiologistという道を選んだが,現在も婦人科領域のMR診断はライフワークのひとつである。

Ⅰ.総論

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昨今の特定機能病院や中核病院で,CTやMRの画像診断による「癌疑い」の情報が共有されず,治療結果に影響をきたした原因としては,① 放射線診断専門医による診断,読影,画像診断報告書の作成が行われていない場合,② 放射線診断専門医による読影が施行されているが,依頼医(主治医)が画像診断報告書を閲覧,確認していない場合,③ 依頼医(主治医)が画像診断報告書を閲覧,確認したが,その内容が診療に反映されていない場合,がある。

2)単純MRI,造影MRI 髙橋 哲
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産婦人科領域におけるMRIの有用性は広く知られている。しかし,地域医療連携や電子オーダリングシステムの普及により,主治医の検査依頼がそのまま撮像担当技師に届き,検査が施行されて,画像診断医のもとに画像が届いた時点ではじめて,「なぜこの検査をしたのか?」,特に「なぜ造影したのか,あるいはしなかったのか」が問題となることは少なくない。MRIに対するアクセスが世界でも類をみないほど容易なわが国においては,MRIが高額な機器と医療費を費やし,侵襲やリスクをおかす検査であることはしばしば忘れられる。必要十分な撮像で最短コースにて臨床上の問題を解決する,という目的から外れる「念のため・とりあえず」MRIは費用対効果からも受け入れがたい。

3)単純CT,造影CT 桑原 遼 , 木戸 晶
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CTはコンピュータ断層撮像法(computed tomography)の略称で,被検者に360度方向からX線を照射し,X線の投影データを計算機上で再構成することで人体の断面像や三次元情報を得る撮像法である。CT画像はX線の透過しやすさを白黒の濃淡として画像化しており,生体組織の特徴を反映した画像が得られるMRIと比べると組織間コントラストは劣る。一方,① 短時間に広範囲の撮像が可能なこと,② 高い空間分解能を持つこと,は大きな長所であり,腹痛など諸症状の原因検索から悪性腫瘍の病期診断まで広く日常臨床に用いられている。

4)PET/CT 中谷 航也
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FDG PET/CTの保険適用対象は2010年以降,早期胃癌を除くすべての悪性腫瘍とされ,婦人科がん診療においても病期診断,転移・再発診断に活用されている。しかし実施可能施設が限られる,高額な検査である,さらにCTあるいはMRIなどの形態画像に対する付加情報とみなされることが多く,その有用性に対する認識の違いから実際の運用には施設間で相当な差がある。

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放射線検査の施行は,診療に必要な情報を得るメリットが放射線検査を受けるデメリットを明らかに上回る場合,と定義づけられている1)。妊婦に対する放射線検査もこの原則に基づいて産婦人科医が決定し,放射線科医と診療放射線技師が協力して実施する。メリットは診療方針に影響を与える情報を得ることであり,主たるデメリットは放射線・電磁界と電磁波の曝露による生体影響である。

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CTはX線の吸収値により画像の色が決定され,MRIは信号強度により画像の色が決定される。画像診断の基本は由来臓器や形態をみる “形” の診断が主体となるが,ときにこれらの “色” を用いた診断法は病変の質的診断を行うことが可能となる。脂肪を含む腫瘍となれば奇形腫などの腫瘍と診断可能であるし,石灰化を含む腫瘍となれば奇形腫やブレンナー腫瘍,漿液性腺癌など石灰化をきたしやすい腫瘍を考慮する必要がある。出血を伴う腫瘤としては内膜症性囊胞か内膜症性囊胞を発生母地とした腫瘍,あるいは顆粒膜細胞腫や悪性腫瘍など出血しやすい腫瘍を考える必要がある。

Ⅱ.卵巣の良性疾患および悪性腫瘍との鑑別診断

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患者設定 卵巣腫瘍にて手術予定。経腟エコーでは,充実部と囊胞部が混在する腫瘍に見える。まず卵巣腫瘍を摘出し,術中迅速診断に提出する方針とした。卵巣癌であれば,後腹膜リンパ郭清を含むステージング手術を予定しているが,そのほかの腫瘍であれば,リンパ郭清は行わない方針である。治療計画を立てる上で,術前の画像検査によって,卵巣腫瘍の良悪性,組織型診断をできるだけ行っておきたいが,どのように診断すればよいか?

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患者設定 50歳台。卵巣腫瘍にて手術予定。経腟超音波では,充実部と囊胞部が混在する腫瘍としてみられる。まず卵巣腫瘍を摘出し,術中迅速診断に提出することとした。卵巣癌であれば,後腹膜リンパ節郭清を含むステージング手術を予定しているが,そのほかの腫瘍であれば,リンパ節郭清は行わない方針である。治療計画を立てる上で,術前の画像検査によって,卵巣腫瘍の良悪性の鑑別,組織型の推定をできるだけ行っておきたいが,どのように診断すればよいか。

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患者設定 卵巣腫瘍で手術予定の30歳台。経腟エコーでは充実部と囊胞部が混在する腫瘍に見える。まず卵巣腫瘍を摘出し,術中迅速診断に提出する方針とした。卵巣癌であれば後腹膜リンパ節郭清を含むステージング手術を予定しているが,そのほかの腫瘍であればリンパ節郭清は行わない方針である。治療計画を立てる上で,術前の画像検査によって卵巣腫瘍の良悪性,組織型診断をできるだけ行っておきたいがどのように診断すればよいか。

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患者設定 卵巣腫瘍にて手術予定。経腟エコーでは,囊胞性腫瘤で,囊胞壁に充実部の存在が疑われる。卵巣癌であれば,後腹膜リンパ郭清を含むステージング手術を予定しているが,そのほかの腫瘍であれば,リンパ郭清は行わない方針である。まず卵巣腫瘍を摘出し,術中迅速診断に提出する方針とした。治療計画を立てる上で,術前の画像検査によって,卵巣腫瘍の良悪性,組織型診断をできるだけ行っておきたいが,どのように診断すればよいか。

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患者設定 55歳,卵巣腫瘍にて手術予定。経腟エコーでは,充実部と囊胞部が混在する腫瘍に見える。まず卵巣腫瘍を摘出し,術中迅速診断に提出する方針とした。卵巣癌であれば,後腹膜リンパ節郭清を含むステージング手術を予定しているが,そのほかの腫瘍であれば,リンパ節郭清は行わない方針である。治療計画を立てる上で,術前の画像検査によって卵巣腫瘍の良悪性,組織型診断をできるだけ行っておきたいが,どのように診断すればよいか。

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患者設定 30歳台。腹部腫瘤を自覚し,婦人科を受診した。腹部超音波検査で多房性囊胞性腫瘤を指摘された。腫瘍マーカーは,CEA 1.1ng/ml,CA19-9 10U/ml,CA125 15U/mlであった。MRI(図1)の撮影後,どのように評価すればよいか。

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患者設定 40歳台,不妊症で通院中。子宮筋腫核出術の方針となり,骨盤部単純MRI検査を行ったところ,右卵巣に血液を貯留する4cm大の囊胞を認めた(図1)。子宮筋腫核出時に,卵巣チョコレート囊胞であれば卵巣囊胞摘出も同時に行うが,出血性機能性囊胞であれば卵巣囊胞の摘出を行わない方針である。MRIの所見でどこまでそれらを鑑別できるだろうか?

3)子宮内膜症の部位 木戸 晶
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患者設定 33歳,不妊症の患者。月経困難症,排便時痛,性交時痛がある。卵巣チョコレート囊胞があり,腹腔鏡下に内膜症病巣除去術予定。内膜症病巣の部位をMR画像で確認しておきたいが,どのように画像を評価すればよいか?

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患者設定 30歳台,急な右下腹部痛にて21時に救急外来を受診。婦人科疾患が疑われ,産婦人科当直医が呼ばれて診察した。診察時には痛みは軽減している。エコーにて右卵巣に8cm大,左卵巣に4cm大の成熟奇形腫を疑わせる付属器腫瘍を認めた。当施設では,腹腔鏡手術は夜間・休日には行えない。茎捻転があれば緊急手術を行うが,茎捻転がなければ後日に手術を行う方針とした。画像でどのように茎捻転を診断できるか?

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患者設定 20歳台,未婚。下腹部膨満感にて受診。超音波検査で10cm超の奇形腫を疑う骨盤内腫瘤を認めた。成熟奇形腫であれば腹腔鏡下に卵巣腫瘍摘出術を行う方針であるが,未熟奇形腫であれば開腹下に付属器摘出術を行う方針である。画像診断でそれらをどのように鑑別できるか?

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患者設定 50歳台,下腹部腫瘤感にて受診。経腟超音波検査で10cm超の奇形腫を疑う骨盤内腫瘤を認めた。良性の成熟奇形腫であれば腹腔鏡下に患側付属器切除術を行う方針であるが,悪性転化を伴う成熟奇形腫であれば,開腹して子宮と両側付属器切除を行う方針である。画像診断でそれらをどのように鑑別できるか?

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患者設定 50歳台,無症状の患者。人間ドックで卵巣腫瘤を指摘され,精査目的にて当院紹介となった(図1)。卵巣腫瘍であれば手術を考慮する必要があるが,漿膜下筋腫であれば経過観察予定。MRIで鑑別可能か?

8)放線菌症の画像診断 田村 綾子
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患者設定 55歳。子宮内感染症にて入院加療中,CTで右卵巣腫瘍が疑われた。長期間(20年)IUDが挿入されており,放線菌症の可能性も考えられた。MRIで評価して,放線菌症の可能性が高ければ抗菌薬投与,腫瘍の可能性が高ければ手術を行う方針とした。MRIでどのように評価すればよいか。

Ⅲ.子宮の良性疾患および悪性腫瘍との鑑別診断

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患者設定 35歳の不妊症患者に,子宮筋腫核出術を予定している。術前精査目的に施行した単純MRIのT2強調像で子宮内膜の信号不均一を認めた。経腟超音波検査では異常所見を認めない。子宮内膜病変を疑って,子宮鏡検査を行うべきか?

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患者設定 37歳,不育症にて受診した。経腟超音波検査にて,中隔子宮が疑われる。MRI検査によって,不育症の原因となるような中隔子宮があるかを調べたい。どのように評価すればよいか?

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患者設定 37歳,未婚。過多月経,月経時の下腹部痛,貧血にて来院。エコーにて子宮筋層内に複数個の腫瘤を認めた。子宮筋腫は核出術を行う方針であるが,子宮腺筋症は摘出しない方針である。MRI検査で子宮筋腫と子宮腺筋症をどのように鑑別できるか?

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患者設定 83歳,不正出血などの症状なし。他疾患のためスクリーニング目的で撮影された単純CTで子宮内膜の肥厚を指摘され産婦人科受診。子宮がん検診の受診歴なし。エコーでは子宮内膜ポリープを疑う像を認めるが,子宮頸管は狭小化しており,外来では子宮内膜生検ができない。MRIの所見がどのようであれば,子宮内膜病変が良性であると診断することが可能か?

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患者設定 ① 58歳,ドック検診にて骨盤部単純MRI検査を受けた。子宮体部筋層内に5cm大の腫瘤を指摘され,婦人科疾患を専門としない放射線診断医の読影により子宮肉腫の疑いがあると診断されて来院した。特に症状を認めない。MRIにおいて,どのような所見ならばただちに手術を行うべきであり,どのような所見であれば経過観察でよいか? ② 41歳,経産婦。数カ月で増大する下腹部腫瘤を認め,他院受診。骨盤部単純MRIにて,子宮内膜間質肉腫の疑いありと診断され,手術目的で紹介受診した。手術の際,子宮内膜間質肉腫の疑いが強ければ両側付属器切除術,子宮筋腫であれば卵巣温存を予定している。どのような所見であれば,子宮内膜間質肉腫を疑うべきか?

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患者設定 30歳。挙児希望あり。検診を受けた際,子宮頸部に囊胞像が目立つとのことで紹介受診した。頸管粘液は透明でやや多い。子宮頸部細胞診でLSIL,MRI所見でLEGH(lobular endocervical glandular hyperplasia;分葉状頸管腺過形成)やMDA(minimal deviation adenocarcinoma;高分化型最小偏倚腺癌)が疑われれば円錐切除により精査する方針とした。どのような所見が認められれば精査が必要と考えられるか?

Ⅳ.悪性腫瘍の診療方針決定のための画像診断

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患者設定 ① 59歳,子宮頸癌(扁平上皮癌)。内診,経腟超音波検査で腫瘤の大きさは4cmを超える。内診上は子宮傍組織への明らかな浸潤を認めずⅠB2期と診断したが,腫瘤が大きいために内診指が届いていないと考えられる。術前化学療法後に広汎子宮全摘術を行う方針としたが,MRIにより子宮傍組織浸潤の所見が認められれば浸潤側は神経温存せず,子宮傍組織浸潤のない側のみで神経温存する方針とした。MRIによりどのように子宮傍組織浸潤の有無を診断すればよいか? ② 70歳,子宮頸癌(扁平上皮癌)ⅡB期。子宮傍組織浸潤を認めるが,骨盤壁に達しておらず,子宮頸部の可動性もある。膀胱鏡,直腸鏡では膀胱および直腸粘膜面への浸潤を認めない。膀胱筋層や直腸筋層に浸潤がなければ術前化学療法および広汎子宮全摘術,浸潤があればCCRTの方針とした。MRIでどのように診断できるか? ③ 46歳,子宮頸癌(腺癌)。内診,経腟超音波検査で腫瘤の大きさは4cmを超える。内診上,子宮傍組織浸潤が認められたが,骨盤壁までは達しないように思われた。子宮頸部腺癌の子宮傍組織浸潤の程度をMRIで評価した上で,広汎子宮全摘術を行うか,あるいはCCRTを行うかを決める方針とした。頸部腺癌の子宮傍組織浸潤の程度は,MRIによってどの程度正確に評価できるか?

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患者設定 ① 50歳台。3年前より月経不順あり。1年前より続く不正性器出血を主訴に来院。エコーにて子宮内腔に腫瘤を認め,子宮内膜生検を行ったところ,類内膜癌Grade 2を認めた。全腹部造影CTにて,リンパ節転移の所見を認めない。MRIを施行し,子宮頸部間質浸潤の所見があれば開腹して広汎子宮全摘術,筋層浸潤の深さが1/2以上であれば傍大動脈リンパ節郭清を含む開腹手術,筋層浸潤の深さが1/2未満であれば腹腔鏡下手術の予定である。MRIをどのようにオーダーし,どのように画像を評価して,手術術式を決めればよいか? ② 30歳台,未婚。1カ月前より続く不正出血にて来院。エコーにて子宮内膜肥厚を認め,子宮内膜生検を行ったところ,類内膜癌Grade 1(G1)を認めたが,妊孕性温存希望がある。全腹部造影CTにて,リンパ節転移の所見を認めない。MRIを施行し,筋層浸潤所見がなければ子宮内膜全面搔爬およびMPA投与による妊孕性温存治療を行う方針とした。MRIをどのようにオーダーし,どのように画像を評価して,手術術式を決めればよいか?

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患者設定 60歳台,既往歴に特記所見はない。不正性器出血と外陰部腫瘤を主訴に近医を受診。内診で子宮は腫大し,内腔に大きな腫瘤を認めた。子宮内膜細胞診が陽性(adenocarcinoma疑)と結果が出たため,子宮体癌疑いとして加療目的で当院紹介受診となった。MRI検査を追加することで,通常の子宮体癌ではなく,子宮癌肉腫の診断をサポートする所見が得られるだろうか?

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患者設定 57歳,子宮頸癌にて治療予定。腹部造影CTを撮影したところ,骨盤内に短径11mm大のリンパ節が認められた。リンパ節転移がなさそうであれば広汎子宮全摘術を行う方針であるが,リンパ節転移が強く疑われるようであれば,CCRTを行う方針とした。このリンパ節が転移である可能性が高いと予測するための所見は?

5)腹膜播種の画像診断 前田 哲雄
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患者設定 ① 70歳台。卵巣癌疑いにて手術予定。腹膜播種を正しく評価して完全切除したいと考えている。また,横隔膜や肝臓周囲に播種性転移があれば,術前に外科に切除を依頼しておく方針である。画像上,どのように診断すればよいか? ② 60歳台。卵巣癌にて手術予定。腹膜播種を認める。直腸低位前方切除を行うために砕石位として手術を開始すべきか否か,さらに人工肛門が必要となる可能性が高いことを説明しておくべきかを評価しておきたい。画像上,どのように診断すればよいか?

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患者設定 60歳,子宮頸癌ⅢB期(扁平上皮癌)にて,放射線化学療法を行った。放射線治療終了後2カ月の時点で,腟鏡診上は子宮頸部の腫瘍は縮小している。子宮頸部細胞診を行ったところ,異型細胞が認められるがviableな癌細胞であるか否かの判断は困難とのことであった。そこでMRIによって腫瘍の状態を評価することとした。残存病変があれば,骨盤除臓術も考慮している。MR画像により,治療が必要な残存病変があるか,あるいは治療効果を見ているだけであるかについて,どのように評価すればよいか?

Ⅴ.子宮・付属器以外の疾患

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患者設定 ① 30歳台。不妊治療目的で受診し,腹部超音波検査で右付属器に囊胞性病変を指摘された。既往歴に右卵管瘤膿腫にて腹腔鏡下右卵管部分切除施行。MRI(図1)が撮影され,どのように評価すればよいか。 ② 40歳台。検診時の腹部超音波検査で骨盤内に囊胞性病変を指摘された。既往歴に骨盤内炎症性疾患(PID)による癒着性小腸閉塞に対し,腹腔鏡下小腸切除術,癒着剝離術を施行。MRI(図2)が撮影され,どのように評価すればよいか。

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患者設定 40歳台。子宮頸癌にて,開腹して広汎子宮全摘術,両側付属器切除術,骨盤内リンパ節郭清術を施行した。開腹術既往があり,術中癒着が強く手術が困難であった。術後2週より38°C台の発熱を認め腹部単純CTが施行されたが,熱源は同定できなかった。抗菌薬投与により軽快し退院となった。術後4週の再診時,発熱,炎症反応高値,尿失禁を認めたため腹腔内膿瘍や膀胱腟瘻を疑い,CTを施行することとなった。どのようにCT撮影を行い,どのような所見に注意すべきか?

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患者設定 73歳。子宮頸癌ⅢB期にて,放射線化学療法を行った。治療終了して2年経過した時点で,強い腰痛と歩行困難を訴えて受診した。単純X線検査やCTでは異常を認めない。どのように画像評価して治療すればよいか?

Ⅵ.胎盤・妊娠関連

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患者設定 ① 30歳台,10週間の無月経。妊娠反応陽性,突然の下腹部痛で来院。超音波にて子宮内に胎囊を認めず,左卵管留血腫,ダグラス窩にエコーフリースペースを認める。卵管妊娠が画像上明らかであれば,緊急手術を行う方針とした。どのように画像診断するか? ② 30歳台,骨盤内感染症の既往あり。尿中hCG 23,000IU/l。経腟超音波にて右卵管角部付近に胎児心拍を伴う胎囊を認める。間質部妊娠であれば手術を行う方針とした。どのように画像診断するか?

2)癒着胎盤の画像診断 上野 嘉子
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患者設定 41歳,1妊1産。現在妊娠35週で前置胎盤を認める。前回の妊娠は骨盤位のため帝王切開。今回,妊娠36週で帝王切開予定であるが,MRIにて癒着胎盤の所見があれば,大量出血に備えて術前から内腸骨動脈にバルーンを留置しておく方針とした。MRIでどのように癒着胎盤を診断するか?

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患者設定 27歳,1妊0産。前回妊娠は2カ月前に妊娠10週で人工妊娠中絶術施行。少量の性器出血が続くため外来受診。内診にて,子宮内腔から少量の性器出血を認め,経腟超音波検査により子宮内に2cm大の腫瘤を認めた。造影MRIを撮像して子宮内容除去術を行ってよい状態であるかを調べられるか?

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患者設定 34歳。経腟分娩後に大量出血を認め,ショック状態で救急搬送された。経腹超音波検査では胎盤遺残や子宮内反は認めなかった。救急外来で大量輸血およびintra-aortic balloon occlusion(IABO)を行い,いったん血圧は安定した。しかし,大動脈内のバルーンを縮小させると子宮内から出血が噴出する状態である。子宮内バルーン挿入,子宮動脈塞栓術,緊急開腹術のいずれかを行う方針とした。どのような画像検査を行い,どのように評価すればよいか?

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患者設定 妊婦は35歳,1経産。家族内に甲状腺疾患の既往なし。妊娠28週に胎児甲状腺腫を疑われ当院へ紹介受診。今回の妊娠前に子宮卵管造影を施行されていた。超音波検査で胎児頸部前面に甲状腺腫を疑う像を認めた。母体に抗甲状腺抗体は検出されなかった。臍帯穿刺を行い胎児のTSH高値,fT4低値を確認し胎児甲状腺機能低下症による甲状腺腫と診断し,羊水腔へのレボチロキシン投与治療を行った。治療開始後,羊水過多は改善したが妊娠37週に胎児MRIを施行し上気道の評価,胎位の確認を行った(画像の症例は実際,出生後特別な蘇生を必要とせず,母体が使用した造影剤による甲状腺機能低下症と診断された)。

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患者設定 30歳,妊娠25週。超音波検査にて横隔膜ヘルニアを指摘され当院を紹介受診。児の重症度評価,妊婦,家族への説明のために妊娠27週で胎児MRIを撮影した。胎児MRIでは胸腔内への肝挙上,胃胞・腸管脱出を認めた。超音波検査ではo/e LHRが22%で心疾患などの合併症を認めなかった〔画像の症例は,実際に胎児治療(胎児鏡下気管閉塞術)が施行された〕。

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患者設定 36歳,妊娠12週。妊娠前より卵巣チョコレート囊胞と診断されていた。経腟超音波検査にて,卵巣囊胞内に充実部が認められ,卵巣癌が疑われて紹介受診した。卵巣癌であれば妊娠中絶をして卵巣癌根治術を行う方針であるが,卵巣チョコレート囊胞の脱落膜化ならば手術せずに経過観察する方針である。MRIによってそれらをどう見分ければよいか?

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患者設定 30歳台,他院で妊娠中に骨盤内の多房性囊胞性腫瘤を指摘されていた。産後3日目に左下腹部痛を自覚し搬送され,精査のためMRI検査が施行された。画像をいかに評価するか?

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患者設定 40歳台,妊娠18週。強い腹痛を認めるため来院。もともと多発子宮筋腫を指摘されていた。緊急手術の必要性の有無を評価したい。保存的治療が可能な,妊娠中に生じやすい子宮筋腫の変性であれば,MRIでどのような所見となるか?

9)胎盤血管腫の画像診断 扇谷 芳光
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患者設定 31歳,妊娠33週。胎児発育不全にて紹介受診となった。経腹超音波検査にて,胎盤に8cm大の球状の腫瘤を認めた。MRIで診断し,治療方針を決定することとした。経過観察可能な良性腫瘍であれば,MRI上,どのような所見となるか?

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目次

奥付

基本情報

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産婦人科の実際
68巻7号 (2019年6月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0558-4728 金原出版

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