特集 Rare tumorの最新知識
Ⅰ.卵巣腫瘍
1.低異型度漿液性癌
京 哲
1
S. Kyo
1
1島根大学医学部産科婦人科
pp.805-813
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001803
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低異型度漿液性癌(LGSC)は,上皮性卵巣癌の2%,漿液性癌の4〜5%と稀で,比較的若年者に多い。高異型度漿液性癌(HGSC)に比して予後は良好である。手術や化学療法などの基本的な治療指針はHGSCと同様であるが,HGSCに比べ抗がん剤感受性が低く,術後補助療法や維持療法としてのホルモン療法が選択肢に入ってくる。検出される遺伝子異常としては,KRASやBRAFの変異が主体で,MAPK経路の異常が示唆されるが,これらをターゲットとした分子標的治療は十分な成果が得られていない。Rare tumorゆえに情報が不足しており,統合的ゲノム解析などによる発癌分子機構の解明と有効な分子標的治療薬の開発が期待される。
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