特集 「ADC時代」の到来―チソツマブ ベドチン,そしてその先へ
1.ADCとは何か?
安彦 郁
1
,
笠間 春輝
1
,
鏡 京介
1
K. Abiko
1
,
H. Kasama
1
,
K. Kagami
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系産科婦人科
pp.637-641
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003443
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抗体薬物複合体(ADC)とは,癌細胞の表面抗原に結合するモノクローナル抗体と,細胞傷害性の薬剤(ペイロード)をリンカーで結合させた医薬品である。ADCの抗体部分が癌細胞表面の抗原に特異的に結合し,エンドサイトーシスにより細胞内にADC-抗原複合体として取り込まれた後,リンカーが外れることでペイロードが細胞内に放出され,DNA傷害や微小管形成障害などの効果を発揮する。近接した細胞がたとえADC抗体の標的抗原を発現していなくても,ペイロードが細胞膜を越えて隣の癌細胞に移行して広がることができ,これをバイスタンダー効果という。現在種々のADCが開発されつつあり,今後さらに臨床応用が進むと予測されている。

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