理学療法と作業療法 6巻7号 (1972年12月)

特集 脳性まひのリハビリテーション

グラフ

Ⅰ リハビリテーション・プログラムをめぐって

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 脳性まひのリハビリテーションがどうあるべきかについての考え方は,現在大きな変動期にさしかかっている.それはいうまでもなく,0歳児で脳性まひを診断し,ただちに,治療・訓練・養育を開始しようとする「超早期療育」の考え方である.これが,古くて新らしい脳性まひのリハビリテーションの課題を,奇蹟のように解くことのできる「魔法の杖」であるのかどうかは別として,わが国の脳性まひ療育の事業も,戦後の四分の一世紀を経た今日,大きな曲り角にきていることだけはたしかである.

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まえがき

 私が整形外科医として脳性まひ児(以下CPという)を初めて診たのは,たしか昭和21年伊藤京逸先生のお手伝いとして光明学校(肢体不自由児養護学校)を訪れたときである.その後昭和24年東大整形外科外来にCP特別診を設け,患者の整形外科的診療を続け,痙性尖足の病態生理学的究明に興味を感じていた.筋電図学的方法で痙性尖足の病態をとらえ,恩師故高木憲次先生に自説を得意になって説明したところ,先生はだまって聞いておられて,‘君はCPの足を研究しているようだがCP児は,子ども全体として把握しなければだめだね’といわれた.まさに天の声というか大きな啓示を受けた.それ以来CP児を一人の子どもとしてとらえるよう試行錯誤の途を歩んできた.

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はじめに―歴史的変遷の概観―

 脳性まひ(以下CPと略称する)のリハビリテーションに関する考え方が歴史的にどのように移り変ってきたか,というのが私に与えられた課題である.

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 脳性まひのリハビリテーション・プログラムは,まだ未完成の状態で,考え方自体がどんどん変わってきています.とくに最近では超早期療育が叫ばれるようになってきましたが,これがどういう影響を与えるか,施設の指導的地位にある方々にお集まり願って,通園,母子入園の問題,また米国の事情なども含めて話し合っていただきました.

Ⅱ 脳性まひのとらえ方

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 超早期療育の思想は必然的にできるだけ早期に正しい診断をつけることを要求する(諸岡論文),それはまた脳性まひ児のもつさまざまな障害のあり方を早期から深く正しく理解することでもある.そのためには脳の病理学的変化の知識(高屋論文)と脳性まひの運動障害の基本的知識(鈴木・浅田論文)とをふまえ,言語発達(田口論文),てんかん(丸山論文),視覚障害(丸尾論文)など多面的に脳性まひ児とはどういう存在かを知ろうとすることが必要である.それらに加え,人間としての脳性まひ児を知るためには,その心理(高瀬論文)と最近注目されはじめた知覚・認知の側面(鎌倉論文)をとらえることが不可欠である.

脳性まひの早期診断 諸岡 啓一
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 脳性まひについての関心はかなり強くなってきているが,まだ早期発見が十分になされているとはいいがたい.最近はBobathらの乳児早期からの治療が普及しつつあり,このことからも早期発見が必要になってくる.早期診断のために必要な,脳性まひの成因,正常乳児の姿勢の発達,脳性まひ児の症状の特徴,診察法,鑑別すべき疾患などについて述べることにする.

脳性まひの病理 高屋 豪瑩
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 脳性まひとは単一の原因による疾患ではなく,中枢性機能障害であり,疾患は非進行性で,かつ,その原因が発育期にある状態像の総称である.これは臨床的立場から定義づけられたものであり,病理解剖学的立場から一括することはむずかしい.脳性まひの病理をより理解しやすくするために,まず脳の正常発達について簡単にふれる.

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はじめに

 動物の運動機能あるいは姿勢を規定する因子はいくつか考えられるが,その中で最も重要なものは勿論,中枢神経系の機能であろう.神経系の系統的発達とともに,動物の運動は複雑となり,大脳皮質の出現により最も高度の運動が可能となる.そして純粋に反射的な機能により支配されていた運動,姿勢がしだいに意志の力によりコントロールされるに至る.この系統発生の過程はそのまま人間の個体発生の中にその要約を認めることができ,もしその途中で何らかの因子により,以後の発達が阻害または変形されると,その個体の将来の運動その他の脳の機能は大きく修飾される.これが運動面に特に強く表現された場合,臨床的に脳性まひの形をとることはいうまでもない.したがって脳性まひの運動障害を眺めるとき,2つの大きな側面があることに気づかれよう.

乳幼児CPの運動発達 浅田 美江
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はじめに

 分娩の異常経過や,未熟産,黄疸などによる症状をのぞき運動機能という面のみで新生児をみるとき,正常児とCP児の差は明らかでない.新生児はしばしば中脳動物にたとえられるように,低位の中枢で統合される原始的な姿勢反射や,自動運動をその行動様式としているからである.脳の成育に伴い,より上位の中枢で支配される反射が代わって出現し,より進んだ運動様式を示すようになり,しだいに協調された随意活動が進展してくる.CP児では,脳の傷害により随意的な筋の収縮は困難であり,反射的成熟過程,筋トーヌス調節機構がそこなわれ,運動機能はそのパターンの歪みとともに,発達の遅れを示す.遅れの程度は症例によりさまざまであり,一般に重度のCPといわれるものほどいつまでも低い段階にとどまっている.正常児の運動発達を基準に,CP児の運動機能が正常児の何か月に相当するかをしらべ,評価の手段として用いるものが運動年齢テストMotor Age Testであり,その月齢を運動年齢Motor Age(以下M.A.と略)と表現し,現在ひろく用いられている.表1は考案者のJohonson,Zuckの運動年齢テストを,機能の低い幼少児にも適用出来るよう補足したもので我々が外来診療で用いているものである.この論文では,M.A.を参考にし,乳幼児CPの運動機能とその発達の経過,および呼来の機能予測の可能性について検討を加えた.

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 子どもは,日々変化成長しつつある人である.子どもの言語行動は,その子どもの,人としての発達の一面の現われである.

 われわれ言語臨床家の仕事は,その発達に役立つ状況を用意し,働きかけをくふうし,発達保障の努力をすることである.

脳性まひとてんかん 丸山 博
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はじめに

 脳性まひの小児にてんかん発作を伴うことがあり,その治療が必要なことは,近頃になって,ようやく理解されるようになってきたが,まだ本当に理解されたとは言えない.

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 はじのに

 視覚には種々のものがあるが,脳性まひ児にとって重要な視覚の障害としては,視覚のうち,とくに,視力と両眼視の障害をとりあげることができよう.

脳性まひ児の心理 高瀬 安貞
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 精神発達段階の把握

 発達にはすべての面で,一定の順序にしたがって行なわれるという大原則がある.ゲゼルは乳幼児の積木遊びの発達が,(1)凝視,(2)腕をのばす,(3)手でつかむ,(4)指でつまむ,(5)つまんで離す,(6)積む,という順序で行なわれるものであって,これはどこの国の子どもでも共通であり,順序の逆行や飛躍はない.もちろん個人によって発達の速さにはちがいはあるけれども,発達の順序には変わりはない.

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はじめに

 リハビリテーション医療の中で,脳性まひや脳卒中など中枢神経系疾患の知覚障害の問題がクローズァップされるようになったのは比較的最近のことである.これは,身障者のリハビリテーション(医学的)のおもな関心が,ようやく身体機能の枠を越えて行動能力全体へと移ってきた,あるいはそうなる必然を示すものといえよう.

Ⅲ 乳幼児期の脳性まひ

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 ゼロ歳児の時から脳性まひ児を治療するということは,単なる運動機能の訓練だけにとどまらない多くの課題をPT・OTになげかける.PT・OTは本来の(?)仕事のほかに母親への育児の指導もしなければならず(高島・石原・上田論文),むし歯の予防も教えなければならない(一色論文).ADLについても食事・用便・C.S.S.(噛むこと,吸うこと,呑みこむこと)と云った,生命の維持にもっとも深い関係があるような動作がまず優先される(早川・谷合・石川論文).それらのものをひとつひとつ確実に押えたうえで理学療法の(紀伊・大塚論文),また作業療法の(古川・福田・佐藤論文)訓練が行なわれる.これらの総体が(せまい意味の「治療訓練」だけでなく)実は本来のPTであり,OTなのである(大内・寺山論文).座談会はこれらの問題点を「超早期療育をめぐって」というかたちで多面的に論じている.

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はじめに

 脳性まひ児を育てる時,脳性まひ児に問題となりやすいいくつかの状態がある.これら問題点を理解して児童に接することは,理解していないで接するのに比べ,たとえみかけは同じ方法で接していても,内容的には雲泥の違いであり,長い間には大きな差をもたらすかも知れない.

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はじめに

 赤ん坊の1日は母親との接触で始まわ,終わる.朝起きてねまきを着換え,食事をし,おしめを換えてもらい,あやされて遊び,散歩をし,夜になれば寝るまでの1日で,寝ている時と1人遊びの時を除けば,すべて母親の手をわずらわせる.

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 脳性まひ児治療へのアプローチ

 脳性まひであると診断されたならば,理解のあるリハビリテーションドクター(小児科医,整形外科医)にっよて治療と指導がおしすすめられるべきである(その治療の内容として理学療法が重要になるかもしれないけれど).現在少しずつではあるが,脳性まひ児の治療へのアプローチがなされてはいるものの,このことが両親や一般社会に理解されていなかったために,あるいはよい方向づけへの指導が遅れていたために,ただ診察のみに,病院をいくつもさまよっていて,リハビリテーションへのプログラムにのせる時期を遅らせてしまった例を知る時,われわれの努力の不足を痛感する.脳性まひ児の取扱いにおいては,健康児と同じようにしても,さしつかえないところまで過保護にしてしまっていたり,運動能力にのみ神経質になりすぎて,総合的な能力を見失ってしまうことなどがある.脳性まひは病気ではなく,漠然とした症候群であるから,それぞれに慎重な態度で接するべきであり,理学療法についても同様のことが言い得る.

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はじめに

 最近はCPを扱うどこの施設でも重度化,重複化,幼少化の傾向にあるらしい.この原因としては色々考えられようが,障害児通園センターが地区毎にできてきたこと,保育園や幼稚園などで軽いCP児なら預かってくれる所が増えたこと,病院の小児科クリニックのレベルで,定期的チェックおよび訓練指導まで行なう所が増えたことなどで,従来trainableとされた3歳以上で,身体的精神的障害の軽度から中等度のCP児は,こうした形で分散していったことが大きな要因ではなかろうか.残ったいわゆる“むずかしいCP児”(重度児,盲ろう,てんかんなどの重複児,0歳,1歳の幼少児)がCPの専門スタッフをそろえた施設を訪れるというわけである.リハビリテーションサービスは地域性の高いものであるべきであり,気軽に近くの施設でサービスを受けられることが理想であるので,このCP児の地域分散は大いに結構なことである.が現実には手放しで喜んでばかりはいられないらしい.

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はじめに

 脳性まひ児の治療が,次第に早い時期から行なわれるようになってきたが,それは神経生理学的根拠に基づいて発展せねばならない.中枢神経系メカニズムが完成される前に,あるいはそれの成熟過程にうけた脳細胞へのダメージは子どもの発達を阻害する重大な要因となる,刺激と反応の反復によって正常な子どもの中枢神経系は器質的にも機能的にもどんどん発達していく.脳細胞にダメージをうけた子どもの中枢神経系が異常な機構へと発展するのをできるだけ阻止し,その歪みを是正していく作業が治療の正当な手段であろう.脳性まひ児に神経生理学的治療を実施していくには,生後9か月までの早い時期に開始すべきである.次のようなことでその意義を説明することができる.

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 昭和45年5月に開設された聖母整肢園は‘脳性まひ児の治療は0歳から’というキャッチフレーズのもとに超早期治療を実施している.外来通園・母子入園を主体にして超早期治療を行なっている患者はこれまで約200名で,当園での脳性まひ児訓練の約20%である.

 そのうちのいくつか症例をあげて詳しく紹介してみたい.

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 CP児の呼吸の問題点

 呼吸を言語の表出過程あるいは効果過程でみるときは‘共鳴・構音とくに発声とは実際上分離できないものである.この面から幼少CPとくにアテトイドの呼吸が,吸啜や咀しゃく・嚥下などとともに,話し言葉のもっとも基本的な生理的レディネスの問題とされてきた.一方,幼少アテトイドにおける胸郭の変形や呼吸筋の機能的な異常が,呼吸循環の生理面でも複雑な問題をもっており,呼吸訓練は全身的な運動機能の成熟の一部としてなされなければならないことも強調されてきた.

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はじめに

 脳性まひ児の訓練の要点の1つは,発達段階に沿って中枢から末梢へと行なうことであると言われている.上肢の発達においても,近位部から手指へと行なわれると考えられてきた.

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 脳性まひの手指の訓練はできるだけ早く始めたほうが効果が期待できる.ここでは,一応近位部のコントロールがかなりよくなった状態における手指の訓練について述べる.

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はじめに

 おもちゃとは―‘遊び道具’‘玩具’―その語源は‘もち遊び’で語頭の‘もつ’に接頭語‘お’がつき,‘おもちや’‘おもちゃ’へと変化したものといわれている.

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はじめに

 私達にとって食事は生きるうえで必要であり,なくてはならないものである.しかしこの大切なことについて,考えたり悩んだりすることは,ほとんどないであろう.このことについて私達が考え直すのはどんな時があろうか.

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はじめに

 古今東西を問わず,日常生活の中で子どものおもらしは最も重要な意味を持つ問題の1つであるといえる.このことは脳性まひ児についても同様であるが,その考え方はさらに複雑でむずかしい.用便を考える前に,膀胱・直腸障害について種々な要因を整理してみよう.

 とくに膀胱では,その内容が流体であるため身体の状態をすみやかに示し解りやすいので,これを主眼として検討を試みる.

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はじめに

 子どものことばが発達していくためには,いろいろな条件があるが,話をしていることを人に認めてもらえるということは,重要なものの1つである.

 脳性まひの子どもの中には,構音器官の運動機能が極端に低いために,話をしているにもかかわらず,人にわかってもらえるような発音がなされず,家族の者にさえも認めてもらっていない者が多い.

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はじめに

 むし歯は文明病といわれているように,年々増加の一途をたどり,近年では低年齢のやっと乳歯が生えそろった3歳頃に,すでに多数歯のむし歯がみられる.歯科医師不足のこともあって,正常児ですらそのむし歯の治療となると思うにまかせない.

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はじめに

 育児の問題を考えるときの出発点は,子どもの成長・発達というものが,両親からうけついだ生物学的な要因の力によってある程度左右されるけれども,一方生後にうける環境的な学習によっても影響されるという事実であろう.そして,パーソナリティの発達という観点から考えると,生後に家族や地域社会の人々から学習することの方がより大きな比重を占めるようである.すなわち,育児という過程を通して,親は子どもに社会人として身につけなければならない基本的な生活習慣を早期に教育するわけであるが,子どもは単に親や周囲の人達の行為をまねるだけではなく,ものの感じ方・考え方も同時にとり入れて自分自身のパーソナリティをしだいに形成していくと考えられる.

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 超早期療育という言葉は,まだ耳新らしく,いろいろ論議があるところである.この問題について,実際に脳性まひ児の超早期療育にたずさわっている医師,PT,OT,STの方方にお集まり願って,施設の現況,チームワークの問題について話合っていただき,また両親への忠告の数々も述べていただいた.

Ⅳ 学童期・青年期の脳性まひ

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 超早期療育の強調が,逆に「学童期以後になったらもう何をやっても手遅れだ」という悲観的なムードをひき起すことになってしまっては大変であるし,そのような考えほどリハビリテーションの真の理念に反する思想もない.従来つみ重ねられた臨床経験の中には今後とも生き続け,発展していくものも少なくないし,また全人的にみての教育・職業・社会生活上の諸問題の解決にむけてのこれまで多くの先人たちの努力にも学ぶべきものが多い.他の障害の場合と同様,脳性まひにおいても,「障害者の人間としての権利の回復」を意味するリハビリテーションの最終的な成否は実はこれらの分野での努力のいかんにかかっていることが多いのである.このセクションではこの意味で学童期・青年期の脳性まひ児(者)のもつさまざまな問題を医学(深瀬論文),PT(堀論文),OT(森山論文),教育(青柳論文),職業(高木論文),社会生活(手塚論文)のそれぞれの面から考え,論じている.

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はじめに

 近年脳性まひに対する認識も深まり,その早期発見・早期治療の充実により,学齢期に達するまでに医学的rehabilitationをおえるための努力がなされているが,現実には学齢期に達しても,なお施設などで治療を中心とした療育が必要であったり,重度化・施設化を示す養護学校において,変形の増強・歩容の悪化などのため治療を必要とするものが,きわめて多いのが現状である.さらに脳性まひでは,複合障害が圧倒的に多く,その療育を一層困難にしている面もある.今回は主として学齢期以後における手術を中心として述べる.

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はじめに

 脳性まひ(以下CPと略す)の治療については,暦年齢と運動発達の関係が重要なポイントとなる.学童期以後となると肉体的,年齢的な面から既に自然発達の速度は,一段とゆるやかになり潟在能力も乏しくなってきた年代のCP児で,症状は中度・重度で,身体移動の目標が松葉杖歩行および車椅子移動が大部分である.

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はじめに

 脳性まひのリハビリテーションを考える時,最も特長的なことは,機能障害に対する治療過程のほかに,生まれたばかりの1人の人間として・これから身体的・精神的・社会的に成長していく発達過程があることであろう.すなわち,機能の回復という考え方ではなく,これから治療教育することにより,障害者 なるのを防止する過程であり,ハビリテーションといわれる所以であろう.その子どものニードは様々であり,年齢によっても変化していく.その時に即した各方面からの適切なアプローチが,オーバーラップして与えられることが重要である.多様な症状を複雑に合わせもっている脳性まひに対しては,総合的な療育プログラムが必要であり,さらに自分の担当する治療プログラムだけを考えるのではなくて,関係する職員全体で立てた総合計画を常に頭におき,自分の担当する治療が全体の中で,どう位置づけられるかを考えていく態度が大切である.さらに,他のチームメンバーとの十分な重なりあいと意志の疎通が重要であり,相互の連絡を密にとり情報を交換しあい,協力しあっていくことが大切である.

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 脳性まひ児の実態

 1.養護学校における脳性まひ児の推移

 昭和46年度の特殊教育資料1)によれば,肢体不自由養護学校は分校も含めて98校をかぞえ,これに沖縄を2校を加えると100校になる.また,そこに在籍する幼児児童生徒数は1万4千人余りとなる(表1).このように,近年の養護学校の飛躍的な増大によって肢体不自由児の特殊学校への在学率は,56.4%2)と推定されるが,一方肢体不自山児の中には,一般の普通小中学校に在学している者もおり,やや在学率は前述よりも上まわると考えてもよい.

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 最近私ども身体障害者の職業更生の施設を経営する者の協議会の総会,研究会を大分県別府市にある太陽の家を会場にして,3日にわたって行なった.

脳性まひ者の社会生活 手塚 直樹
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 脳性まひ者のうち,たとえどのようなささやかな内職であれ,自分の働きによって収入のある者はおおよそ30%にすぎず,残り70%は,障害が重くて働きたくても働けない人たちが大部分である.

<随想>

脳性まひ(CP)雑感 保田 良彦
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 1.通園ホームを捜し求める親,養護学校の窓口を転々とする親,私達の周辺には障害児を抱えた家族の苦悩が常に渦巻いていて,現実は高度福祉国家の夢とは程遠いものがある.

脳性まひと職業 原田 豊治
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 つい先日,20歳になるCPの青年が,私の職業センターへ電話をかけてきた.用件は,どうしても職業適を検査をしてくれとのことで,応接にでた所員が,‘職業適性検査’にはCPの人は,その時間的制約や筆記式その他で,のらないことが多いので……といっても,どうしても……というので,来所を約した.

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 某月某日

 翻訳の仕事が大幅に遅れて顧客先からきつく文句を言われた夢で眼が覚める.何年か前までは,小学校の遠足に自分だけがとり残された夢とか,‘みっともないから外へ出るな’という母や兄と争って外へとび出した夢とか,とかく脳性まひ者としての自分の身体的条件に関りのある夢ばかりだった.そんな夢を‘卒業’して仕事に追い回される夢ばかり見るようになったのは,果たして‘進歩’なのか‘退歩’なのか.自分でもわからない.とにかくあと3週間ほどはよほどガツガツ働かねば,本当にさっきの夢のようになりかねない.

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 職業前評価は一般的には作業療法士の領分とされているのを承知していながら,なお発生理由からみてそれが必ずしも作業療法士だけのものでなければならないことはないという少数意見の方を支持する.なぜならば,職業前評価はオリエンテーション,ガイダンス,カウンセリング,訓練および評価などの一連の職業前活動の一部であり,そこで要求される内容は高度に専門的で広範囲にわたっているからである.

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 ひかり学園を訪れる脳性まひ児童は近年とくに年少化してきたようだ,脳性まひの早期治療・超早期治療の必要性を少しずつではあるが地域社会にも認識されてきつつあるのだろうか?

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 都立心身障害者福祉センターでなされている結婚相談の70%は,肢体不自由の人達であるが,ここでめでたく結婚にゴールインした人達の中で脳性まひの人達の占める割合をみると意外にその数が少ないのに気づくのである.

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 創刊以来,木誌「理学療法と作業療法」に掲載された”脳性まひ”関係の文献を編集室でまとめました.ご利用下さい,( )は号を示す.

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編集後記
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 臨増特集号「脳性まひのリハビリテーション」をお送りいたします.本特集は脳性まひというリハビリテーションの領域において脳卒中にも優るとも劣らないテーマを平常号の特集では扱いきれないトータルな視点から企画,編集いたしております.

基本情報

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理学療法と作業療法
6巻7号 (1972年12月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0386-9849 医学書院

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