特集 脳性まひのリハビリテーション
Ⅱ 脳性まひのとらえ方
乳幼児CPの運動発達
浅田 美江
1
1整肢療護園
pp.514-519
発行日 1972年12月9日
Published Date 1972/12/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104303
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はじめに
分娩の異常経過や,未熟産,黄疸などによる症状をのぞき運動機能という面のみで新生児をみるとき,正常児とCP児の差は明らかでない.新生児はしばしば中脳動物にたとえられるように,低位の中枢で統合される原始的な姿勢反射や,自動運動をその行動様式としているからである.脳の成育に伴い,より上位の中枢で支配される反射が代わって出現し,より進んだ運動様式を示すようになり,しだいに協調された随意活動が進展してくる.CP児では,脳の傷害により随意的な筋の収縮は困難であり,反射的成熟過程,筋トーヌス調節機構がそこなわれ,運動機能はそのパターンの歪みとともに,発達の遅れを示す.遅れの程度は症例によりさまざまであり,一般に重度のCPといわれるものほどいつまでも低い段階にとどまっている.正常児の運動発達を基準に,CP児の運動機能が正常児の何か月に相当するかをしらべ,評価の手段として用いるものが運動年齢テストMotor Age Testであり,その月齢を運動年齢Motor Age(以下M.A.と略)と表現し,現在ひろく用いられている.表1は考案者のJohonson,Zuckの運動年齢テストを,機能の低い幼少児にも適用出来るよう補足したもので我々が外来診療で用いているものである.この論文では,M.A.を参考にし,乳幼児CPの運動機能とその発達の経過,および呼来の機能予測の可能性について検討を加えた.
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