特集 脳性まひのリハビリテーション
Ⅱ 脳性まひのとらえ方
正常運動発達からみた脳性まひの運動障害
鈴木 義之
1
1東京大学医学部小児科
pp.509-513
発行日 1972年12月9日
Published Date 1972/12/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104302
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はじめに
動物の運動機能あるいは姿勢を規定する因子はいくつか考えられるが,その中で最も重要なものは勿論,中枢神経系の機能であろう.神経系の系統的発達とともに,動物の運動は複雑となり,大脳皮質の出現により最も高度の運動が可能となる.そして純粋に反射的な機能により支配されていた運動,姿勢がしだいに意志の力によりコントロールされるに至る.この系統発生の過程はそのまま人間の個体発生の中にその要約を認めることができ,もしその途中で何らかの因子により,以後の発達が阻害または変形されると,その個体の将来の運動その他の脳の機能は大きく修飾される.これが運動面に特に強く表現された場合,臨床的に脳性まひの形をとることはいうまでもない.したがって脳性まひの運動障害を眺めるとき,2つの大きな側面があることに気づかれよう.
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