特集 脳性まひのリハビリテーション
<随想>
沈め夕陽―ある脳性まひ者の日記より
二日市 安
pp.552
発行日 1972年12月9日
Published Date 1972/12/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104310
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某月某日
翻訳の仕事が大幅に遅れて顧客先からきつく文句を言われた夢で眼が覚める.何年か前までは,小学校の遠足に自分だけがとり残された夢とか,‘みっともないから外へ出るな’という母や兄と争って外へとび出した夢とか,とかく脳性まひ者としての自分の身体的条件に関りのある夢ばかりだった.そんな夢を‘卒業’して仕事に追い回される夢ばかり見るようになったのは,果たして‘進歩’なのか‘退歩’なのか.自分でもわからない.とにかくあと3週間ほどはよほどガツガツ働かねば,本当にさっきの夢のようになりかねない.
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