特集 脳性まひのリハビリテーション
Ⅲ 乳幼児期の脳性まひ
親に対する育児指導―情緒的・知的発達と関連して
上田 礼子
1
1東東京大学医学部保健学科
pp.646-652
発行日 1972年12月9日
Published Date 1972/12/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104327
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はじめに
育児の問題を考えるときの出発点は,子どもの成長・発達というものが,両親からうけついだ生物学的な要因の力によってある程度左右されるけれども,一方生後にうける環境的な学習によっても影響されるという事実であろう.そして,パーソナリティの発達という観点から考えると,生後に家族や地域社会の人々から学習することの方がより大きな比重を占めるようである.すなわち,育児という過程を通して,親は子どもに社会人として身につけなければならない基本的な生活習慣を早期に教育するわけであるが,子どもは単に親や周囲の人達の行為をまねるだけではなく,ものの感じ方・考え方も同時にとり入れて自分自身のパーソナリティをしだいに形成していくと考えられる.
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