総合リハビリテーション 39巻7号 (2011年7月)

特集 脊髄損傷―社会生活上の課題

今月のハイライト
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 救急医療の充実や脊髄損傷の治療・訓練の効率化は,脊髄損傷者の生命予後を大幅に向上させたが,一方で脊髄損傷者の重度化・高齢化をもたらしている.また,在院日数の短縮や病院機能分化などの医療環境の急激な変化で,彼らの在宅生活や職業生活にも大きな変化が押し寄せている.本特集では,変貌している脊髄損傷患者の在宅復帰後の社会生活にスポットをあて,それらに対応すべきリハビリテーションの考え方や技術に関して解説をいただいた.

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はじめに

 中部労災病院(以下,当院)は基幹労災病院の一つとして,脊髄損傷者(以下,脊損者)の治療とリハビリテーションを行っている.2000年の診療報酬改定に伴った当院の急性期病院化と入院期間の短縮は,退院後の生活設計までを熟考した完結型の治療を不可能にした.今後の復帰の見通しもつかないまま,患者は次の病院を探さなければならない状況にある.さらに脊損者の受け入れが可能な病院・施設は必ずしも多くはなく,患者の不安を募らせる要因の一つにもなっている.このようななかで,われわれが現状でできる退院後の生活情報提供の方法を模索したのが「社会生活講座」である.今回この講座を通して考えられたいくつかのテーマに沿って,脊損者の現状と課題を述べてみたい.

合併症管理 横山 修
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はじめに

 脊髄損傷者は褥瘡,膀胱直腸障害,痙縮,起立性低血圧,体温調節障害,自律神経過反射,異所性骨化症,深部静脈血栓症などさまざまな合併症を来し,合併症予防のための自己管理が必要とされる.本稿では,脊髄損傷者の合併症に関して褥瘡,泌尿器科的合併症,メタボリックシンドロームについて,社会生活上の注意点を中心に述べていく.

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はじめに

 現在,妊娠中の頸髄損傷女性に関わらせてもらっている.妊娠5か月目に入った頃から自己導尿や摘便に不便を感じ始め,「どうやって赤ちゃんの世話をすればいいか」という不安も現実的になってきた.筆者の知人の頸髄損傷者は,出産後にどちらかの親と同居をするか,親や兄弟が近くに住んでいることが多かった.また,親に一時的に地方から出てきてもらうなどしていた.しかし,今回の夫婦の場合,双方の家族は遠方に住んでいて,仕事もあるため手伝いに来てもらうことはできない.夫も週末以外は育児に協力することはかなり難しい.こうした状況は結婚前から予測がついていたので,住んでいた自治体に相談したところ,「自立支援法の育児支援を利用できるのではないか」というアドバイスを受けた.しかし,結婚を機に転居した居住区域の役所では,「育児支援は居宅介護の家事援助に含まれるため,家族と同居している場合は家事援助の支援対象に該当しない.よって育児支援は受けられない.」と回答され,この件については役所に再度相談することになっている.脊髄損傷女性の妊娠・出産に関する研究を始めた12年前に比べ,女性脊髄障害者が子どもを産み,育てることが受け入れられてきたように感じているが,現場レベルでのサポート体制は未だに十分とは言えない.

 本稿では,女性脊髄障害者61名(頸髄損傷11名,胸髄損傷31名,腰髄損傷2名,二分脊椎症17名)のデータから,妊娠,出産,育児に関する問題点や対策と,今現在,妊娠期にある頸髄損傷女性の現状について報告させていただく.

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はじめに

 脊髄損傷者の高齢化や新たな受傷者の重度化は,在宅生活や就業生活において,大きな問題となっている.しかし,本人の身体機能や生活方法に合った住宅改造を行うことで自立(律)できることがたくさんある.このことは,これまでに住宅改造の支援を行った1,450名を超える,脊髄損傷者をはじめとする重度の身体障害を抱えた方々から学んだことである.最も大切なことは,どのような身体機能でも人生や生活,あるいはリハビリテーションの考え方,そして彼らを支援する情報や技術の発展である.そのために,住宅内における人的要素と物理的要素の関係および脊髄損傷者にとって必要な情報の内容と流れについて整理した(図1).本稿では,加齢やライフスタイルの変化に対応した住宅改造のポイントに注目して記述する.

職業生活 池田 篤志 , 古澤 一成
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はじめに

 近年,世間一般へのノーマライゼーションの考え方の普及により障害者雇用促進などに関する法律も整備されている.また,情報処理機器や通信ネットワークの普及や進歩も目覚しく,身体障害者が職業復帰しやすい物理的環境は整ってきている.

 その反面,近年は長引く不況やグローバル化などのビジネス環境の大きな変化により,激化した競争社会のなかで企業は効率を重視するようになっている.さらに,企業は生産効率を高めるために,新卒採用の抑制と中高年者のリストラにより人員削減を進め,残った社員が多大な仕事量をこなさなければならなくなり,長時間労働を強いられている.このような社会では健常者でも健康を維持しながら働くには困難な職場環境になってきているのも事実である.

 また,厚生労働省が発表している2009年6月1日現在の障害者の雇用状況をみても,国の公的機関では97.4%が法定雇用率を達成(実雇用率2.17%)しているのに対して,法定雇用率を達成している民間企業は45.5%(実雇用率1.63%)と,公的機関と競争の激しい民間企業との障害者雇用の格差は大きい1). 2010年7月より短時間労働が障害者雇用率制度の対象となったものの,障害者雇用納付金制度の対象事業主が常時雇用労働者201人以上の中小企業まで拡大され,さらに除外率も下げられており,障害者が働きやすい制度になった反面,公的機関と民間企業の障害者雇用率の格差は広がっていくと思われる.

 このような障害者にとって非常に厳しい現状にあって,脊髄損傷(以下,脊損)者が職業復帰をし,定年まで働いていくためにはどのような点に注意すればよいのかを,本稿では具体的な事例を交えながら考察した.

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はじめに

 近年,多くの脊髄損傷者が社会復帰を果たしている.しかし,機能障害を含めた身体的な問題や生活環境の問題などにより,脊髄損傷者が社会生活を行っていくためには健常者とは異なる面があるのは事実である.脊髄損傷者が余暇活動を行う場合も,健常者との違いを認識することは重要である.ここでは,脊髄損傷者の余暇活動におけるスポーツ,運動,旅行に焦点を当てて述べる.

巻頭言

午前6時の飛行機雲 橋本 学
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 海岸へとまっすぐに続く道路のセンターラインの白さが眩しかった.午前6時.聞こえてくるのは遠くの潮騒だけだった.はるか遠くの蒼空に一筋の白い飛行機雲が見えた.近くのものが大きく見え,遠くのものが小さく見えるという遠近法を一時忘れさせるような蠱惑的な光景だった.

講座 リハビリテーションとNST・第3回

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はじめに

 近年,低栄養状態にあるリハビリテーション患者に対する栄養療法がリハビリテーション効果を向上させるとの報告が増えている.静脈経腸栄養ガイドライン(日本静脈経腸栄養学会編,2006)には,「脳血管障害後の嚥下障害患者に対して,低栄養によるリハビリテーションの遅れを避けるために早期の栄養介入が必要である(B-Ⅰ)」と記載されている.今回,リハビリテーション現場で利用価値の高いと思われるリハビリテーション栄養プランニングや介入,その周辺の知識についてまとめてみた.

実践講座 脳卒中急性期に活用可能な評価スケール・第3回

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はじめに

 日本人の死亡原因として,脳卒中は癌,心疾患についで第3位であり,寝たきりになる疾患の第1位である.当然わが国において脳卒中の予防と治療が重要であることは疑いのないところである.治療については2005年に遺伝子組み換え組織プラスミノゲンアクチベーター(recombinant tissue plasminogen activator;rt-PA)がわが国でも認可され,脳梗塞の治療が大きく変化した.またリハビリテーションの重要性に関して,「脳卒中治療ガイドライン2009」(脳卒中合同ガイドライン委員会・編)で,急性期早期からのリハビリテーションチームによる集中的なリハビリテーションが強く推奨されている.また脳卒中片麻痺の経過中に痙縮などを伴うことも多く,これに関しても2010年にA型ボツリヌス毒素製剤(botulinum toxin type A)の痙縮への適応が認可され,脳卒中のリハビリテーションを行ううえでもさらに機能評価が重要になってきている.

 また近年では,神経科学領域における運動学習理論の進歩は目覚ましいものがあり,脳卒中の下肢機能を正確に評価し,その症状に応じた運動の再学習をすることが,その後の移動・歩行機能の再獲得に非常に重要になってくる.

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要旨:〔目的〕人工股関節全置換術(THA)前後の健康関連QOL(HRQOL)を調査し,HRQOLの推移,および年齢層別の違いを明らかにすることである.〔対象・方法〕当院で行われた初回片側THA症例のうち,入院時と術後1年以内および3年以内に経過観察が可能であった113例を対象とした.調査表はSF-36 v2を用いた.対象者を40~49歳群,50~59歳群,60~69歳群,70~80歳群に分けて解析を行った.〔結果〕全体的にみるとTHAはHRQOLを有意に改善した.しかし,50~59歳群,60~69歳群は術後3年以内でも身体的健康度が国民標準値よりも低値を示し,70~80歳群は術後1年以内に身体的健康度・精神的健康度ともに国民標準値に達した.〔結語〕THA後の国民標準値と比べたHRQOLは年齢層別に異なることが示唆された.THA後は年齢層を考慮した関わりが必要であると推察される.

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要旨:障害をもつ子どもへのリハビリテーションがどれくらい家族を中心として実施されているか,家族の思いや考えを評価するThe Measure of Processes of Care(MPOC)は,カナダで開発された5領域56項目からなる評価尺度である.本研究ではその日本語版(MPOC-JP)を作成し,障害をもつ子どもの親167名を対象として,信頼性と妥当性を検証した.MPOC-JPの記述統計と年齢による差はカナダ版と同様であった.クロンバックのα係数は0.900以上あり,内的整合性は良好であった.子どもが受けているリハビリテーションに対する親の満足度評価とは高い正の相関,ストレス評価とは中等度の負の相関があり,併存的妥当性が確認された.因子分析で6因子が抽出され,全体の67.9%が説明可能であり,また領域内,領域間の検証的分析により,構成概念妥当性が確認された.以上より,MPOC-JPの信頼性・妥当性が検証され,今後,臨床や研究での活用が期待される.

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はじめに

 近年,欧米では小児例に対するconstraint-induced movement therapy(CI療法)の報告が多くなされており,多数のrandomized controlled trial(RCT)1-4)によりその有効性が報告されている.しかしTaubら2)は,小児例に対するCI療法について,成人例に対するCI療法に比べて,長期間の効果持続は困難と報告している.

 兵庫医科大学病院(以下,当院)では,欧米の研究を参考に,一部の課題に両手動作を導入したCI療法を小児例にも実施している.今回われわれは,過去にCI療法を実施した小児例に対し,19か月後,2度目のCI療法を行い,麻痺側上肢の機能と実生活における使用状況に改善を認めたので,その結果を若干の文献的考察を加えて報告する.

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はじめに

 外眼筋麻痺や複視は,日常生活や机上の作業療法の課題を行ううえで患者に大きな負担や不快感を与えるため,治療の内容や量に大きな制約を与える.これらに対する治療は,リハビリテーション開始時には自然回復を期待して複視による不快感軽減のための片眼遮蔽やプリズム眼鏡が用いられ,自然回復が期待できなくなった時期に外眼筋への外科手術,ボツリヌス毒素注射などが行われている.また,川口ら1)は輻輳を用いた訓練が有効であったMLF(medial longitudinal fasciculus)症候群の1例を報告し,川平ら2,3)は迷路性眼球反射を用いた迷路性眼球反射促通法の効果を報告している.

 今回,迷路性眼球反射促通法による外眼筋麻痺改善後も残存した両眼視機能障害に対して,視野遮蔽率可変装置や輻輳を用いた両眼注視訓練を行い,両眼視機能が改善した外傷性脳損傷の1例を経験したので報告する.

連載 新しいリハビリテーションの取り組み紹介

脳卒中に対する音楽療法 藤本 幹雄
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 脳卒中を含む脳損傷や神経系の障害に対する神経学的音楽療法(neurologic music therapy;NMT)は1990年代後半から体系化されてきた1).NMTは,感覚運動リハビリテーション,発話言語リハビリテーション,認知リハビリテーションの3分野に分かれており,その3分野のなかに19の技法があるとされる(表)1).これらのすべてが十分に確立されてはいないが,脳卒中やパーキンソン病の患者に対する一部のアプローチについてはエビデンスが蓄積されてきている.本邦においても運動失語に対して,音階を手掛かりとして表出を助けるメロディック・イントネーション療法(MIT)2-4)については詳しく報告されてきた.

 本稿では,脳卒中患者に対するMIT以外の実用的な音楽療法として,リズム刺激を用いて片麻痺の歩容を改善することを目的とした聴覚リズム刺激(RAS),動作の間の取り方のパターンを改善することを目的にメロディを用いて一連の動作を誘導するパターン的感覚強化(PSE)について解説する.

連載 高齢者のさまざまな居宅形態【新連載】

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居場所とケア提供のパターン

 住居といった場合には,一般的には持ち家と借家ということになるだろうが,ここでは広く「居住」を「居場所」ということで話を進めたい.というのも,高齢者施策においては,居場所に対する高齢者の権利と高齢者の受けるケアの提供のあり方がどのような関係に立っているかが問題となるからである.現在の高齢者の居場所ごとのこれらの関係を表1に示した.

 居場所に対する高齢者の権利は,療養病床などの利用権においてもっとも弱く,持ち家に対する所有権においてもっとも強い.また,同じ利用権のなかでもその権利性は利用契約に応じて異なっている.例えば,療養病床などの医療機関の場合は,病状が回復すれば退院するということが暗黙の前提となっている.

連載 印象に残ったリハビリテーション事例

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 高次脳機能障害に対してよろず支援相談を受けていると,なぜこの状態でこの生活ができるのだろう? と考えさせられる症例にしばしば遭遇する.そしてその多くは医療を含めた支援から途切れてしまった症例である.今回紹介するのは,交通事故の示談に際してかかわった弁護士が問題に気づき,当院に紹介された30歳代女性で,単身生活で接客業にて生計を立ててきた.その第一印象は,なぜ今までこれほどの問題を抱えながら一人暮らしができていたのだろうか? であった.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 鎌倉時代末期に成立したと考えられている『徒然草』(旺文社文庫)では,一般には否定的に捉えられがちな物事に肯定的な意味を見いだすという,障害受容的な考え方が目立つ.

 たとえば,『徒然草』の第7段には,「あだし野の露消ゆる時なく,鳥部山の煙立ち去らでのみ住み果つる習ひならば,いかにもののあはれもなからん.世は定めなきこそいみじけれ」とか,「住み果てぬ世にみにくき姿を待ち得て,何かはせん.命長ければ辱多し」など,常識的には望ましいものとされる長寿を否定して,死というものを受容する視点を打ち出している.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 韓国インディーズの傑作「息もできない」(監督・主演他/ヤン・イクチュン)は,父親の暴力やアルコール依存症に晒されながら育った男女二人に照準を合わせたものだ.

 男・サンフン(ヤン・イクチュン)は,凶暴性を売りにする取り立て屋だが,撤去対象の屋台や大学当局の不正を糾弾する学生集団を襲撃するなど,正義・不正義を思慮することなく,暴力を伴うものであればどんな仕事でも引き受け,冷徹にこなしていく.

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 第19回アメリカ嚥下学会年次総会〔Dysphagia Research Society(DRS)Meeting〕が2011年3月3~5日,イエール大学のSteven B Leder会長のもと,テキサス州サンアントニオのホテル,Omni La Mansión del Rioにて開催された.

 DRSは摂食・嚥下機能やその障害に関する学際的な国際学会で,学会誌の“Dysphagia”は摂食・嚥下の専門学術誌として,関連分野から多くの文献が引用されている.1992年にアメリカのウィスコンシン州で第1回総会が開催されて以来,北米を中心に毎年開催され,アメリカ大陸を始め,ヨーロッパ,アジアなど世界各国から参加者が集まる.今回の参加人数は350名ほどであった.

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1.SAH後,現職復帰を果たした記憶障害を主体とする高次脳機能障害症例

 横浜市立大学附属市民総合医療センター

  鈴木 康弘・鴻井 建三

  山岸  誠・伊藤 淳子

 〔症例〕50歳代,男性,管理職.SAH後,記憶・見当識障害,高次脳機能障害がみられ,他院にてクリッピング術が施行された.37病日目に退院し,外来訓練を継続した.121病日目,復職目的で当院入院,OTを実施した.183病日目,復職した.〔開始時〕麻痺は認めずADLは自立,礼節,身なり,会話などは良好であった.前頭葉病変による記憶・注意障害がみられ,多幸的で,病識の低下により,重篤な生活障害を認めた.〔経過〕認知機能・生活訓練と並行し,代償訓練を実施した.メモリーノートは記載が定着した.i-phoneは正確なスケジュールを入力できず,使用を断念した.職場調整は,社長に現状を説明し,会社との情報交換をもとに仕事内容を指導した.家族へは,ノート記載の促し,通勤付き添いを段階付けして行うよう指導した.〔考察〕認知機能に改善を認めなかったが,メモリーノートが一部利用可能となり,記憶障害に対する認識が高まった.

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 実に魅力的な題である.著者の藤井克徳氏は,自らの視力を踏まえて「見えないけれど」と謙遜しておられるが,「見えても観えていない」者としては,どうすれば観えるようになるのか,知りたくてついつい手にしてしまう.

 藤井氏は,現在きょうされん常務理事,日本障害者協議会常務理事,日本障害フォーラム幹事会議長などをなさっておられる日本の障害者運動のリーダーのお一人である.本書では,都立小平養護学校教諭時代に学校外での障害者の生活の諸問題を調査し,もっとも要望の強かった「働きたい」というニーズに応えるために作業所を作り,そして専従するようになられた経緯,その後のさまざまな運動の諸断面が,1990年代半ばから2000年代初頭の,主にきょうされんの月刊広報誌のコラム欄原稿を中心にまとめられている.

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 総医療費の大幅引き上げのマニフェストを掲げて政権の座についた民主党の,その後の医療政策を分析したのが本書である.具体的には,2009年7月から2010年12月までの20の発表論文を,2011年2月に書籍として発行したものである.

 著者の意見は,民主党の医療政策には,大きな二つのマイナス点があるというもの.一つは,民主主義的手続きの軽視,もう一つは,混合診療の解禁論の再燃である.一方,一般に政権交代の成果とされている2010年の診療報酬の引き上げは,実質的にはきわめてわずかであったことが示されている.総医療費の対GDP比をOECD加盟国平均値にというマニフェストは残念ながら実現されない見通しである.

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文献抄録

投稿規定

投稿および著作財産権譲渡承諾書

次号予告

編集後記
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 「同じ車いすでもこの子は脊髄なんです」私が初めて“脊髄損傷”という言葉を知ったのはこの台詞でした.山田太一のドラマ「男たちの旅路―車輪の一歩」の中の台詞です.車いすの仲間たちに励まされようやく表に出た車いすの少女が踏み切りで車輪をとられ,危機一髪健常者に助けられる.車いすの男性が6人もいたのに,結局少女を助けることはできなかった.その現実に打ちひしがれているなか,少女は皆の前で失禁してしまう.それを受けての少女の母親の台詞です.

 繰り返し再放送されているこの名作ドラマをご存知の方も多いと思います.バリアフリーやノーマライゼーションという言葉が耳慣れなかった30年以上も前に放映されたドラマですが,障害者問題が深く,鋭く描かれています.障害者の雇用問題,住居問題,さらに性の問題…….伝説の“トルコ”シーンは涙なしでは見られません.他にも名シーン,名台詞の宝庫です.まだ見たことのない方,ぜひ一度ご覧ください.

基本情報

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総合リハビリテーション
39巻7号 (2011年7月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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