Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
障害受容文学としての『徒然草』―わび・さびの文化と障害受容
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.710
発行日 2011年7月10日
Published Date 2011/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102147
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鎌倉時代末期に成立したと考えられている『徒然草』(旺文社文庫)では,一般には否定的に捉えられがちな物事に肯定的な意味を見いだすという,障害受容的な考え方が目立つ.
たとえば,『徒然草』の第7段には,「あだし野の露消ゆる時なく,鳥部山の煙立ち去らでのみ住み果つる習ひならば,いかにもののあはれもなからん.世は定めなきこそいみじけれ」とか,「住み果てぬ世にみにくき姿を待ち得て,何かはせん.命長ければ辱多し」など,常識的には望ましいものとされる長寿を否定して,死というものを受容する視点を打ち出している.
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