Japanese
English
特集 脊髄損傷―社会生活上の課題
女性脊髄障害者の妊娠・出産・育児
The pregnancy, delivery, child care of the woman spinal cord disorders.
道木 恭子
1
Kyoko Douki
1
1国立障害者リハビリテーションセンター
1National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities
キーワード:
脊髄障害
,
妊娠
,
出産
,
育児
Keyword:
脊髄障害
,
妊娠
,
出産
,
育児
pp.639-642
発行日 2011年7月10日
Published Date 2011/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102126
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はじめに
現在,妊娠中の頸髄損傷女性に関わらせてもらっている.妊娠5か月目に入った頃から自己導尿や摘便に不便を感じ始め,「どうやって赤ちゃんの世話をすればいいか」という不安も現実的になってきた.筆者の知人の頸髄損傷者は,出産後にどちらかの親と同居をするか,親や兄弟が近くに住んでいることが多かった.また,親に一時的に地方から出てきてもらうなどしていた.しかし,今回の夫婦の場合,双方の家族は遠方に住んでいて,仕事もあるため手伝いに来てもらうことはできない.夫も週末以外は育児に協力することはかなり難しい.こうした状況は結婚前から予測がついていたので,住んでいた自治体に相談したところ,「自立支援法の育児支援を利用できるのではないか」というアドバイスを受けた.しかし,結婚を機に転居した居住区域の役所では,「育児支援は居宅介護の家事援助に含まれるため,家族と同居している場合は家事援助の支援対象に該当しない.よって育児支援は受けられない.」と回答され,この件については役所に再度相談することになっている.脊髄損傷女性の妊娠・出産に関する研究を始めた12年前に比べ,女性脊髄障害者が子どもを産み,育てることが受け入れられてきたように感じているが,現場レベルでのサポート体制は未だに十分とは言えない.
本稿では,女性脊髄障害者61名(頸髄損傷11名,胸髄損傷31名,腰髄損傷2名,二分脊椎症17名)のデータから,妊娠,出産,育児に関する問題点や対策と,今現在,妊娠期にある頸髄損傷女性の現状について報告させていただく.
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