medicina 7巻7号 (1970年6月)

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 交通違反の3悪は無免許運転・スピード違反・酔っぱらい運転である.このうち酩酊運転事故は約10%であるが,起これば大事故となる可能性が大きいので重視されている.

 同一条件で飲んだときの血中アルコール濃度曲線は,酒に強い者も,弱い者も,大きな相違がない.酩酊の差はそのときの脳アルコール感受性の相違による.アルコールによって大脳皮質表層の理性をつかさどる新皮質が麻痺され,大脳皮質深部の本能をつかさどる旧皮質が解放されて,乱暴な運転行動が起こるといわれる.

今月の主題

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 日本における肝臓病を成因的にみると,従来は非アルコール性肝臓病が大部分であった.しかし今後はアルコール性肝臓病が増加し,先進国並みのパターンを示すことが予想される.アルコールの代謝,アルコール性肝臓病の成立機序とその対策について.

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 従来,いろいろな臓器に対してアルコールの害がいわれているが,確固たる証拠となると未だに定説がない.アルコール以外の要素も複雑にからみあっていると思われるからである.今後,体系的に進歩させる必要があるものとしてアルコール医学がある.

日常検査とその限界

尿素窒素 奥田 稔
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検査の意義

 尿素は生体の蛋白代謝の主な終末産物である.健康正常人で血中の非蛋白性窒素(NPN)のほぼ50%を占め,尿中に尿の総Nの80-90%にあたる尿素が毎日排泄されている1)2)3)

 Krebs & Henseleit(1932)によって研究された肝の尿素サイクルは,今日ではその各代謝過程の機構が詳細に解明されている.図1に示されるようにアミノ酸の脱アミノによって生じたアンモニァは,CO2とともにカルバミルリン酸合成酵素の作用で(Mg++とN-acyl glutamateを助酵素とし,同時に2分子のATPが加水分解される)カルバミルリン酸にとり込まれ,サイクルに入る(NH2).尿素の他方のアミノ基(NH2)はアスパラギン酸よりシトルリンへ転移されたアミノ基に由来する.

診療手技

エア・ウェイの使い方 尾山 力
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エア・ウェイとは

 エア・ウェイ(airway)には大きく分けて2つの意味がある.空気の路空気の流れという意味と,それを確保するための器具である.本稿ではもちろん後者の意であり,その使用する部位によって口腔用(oropharyngeal airway)と鼻腔用(na-sopharyngeal airway)に分けられる.一般には口腔用が用いられる.材料も図1に示すように金属性,ゴム製,プラスチック製など種々あるが,プラスチック製が最も普及している.鼻腔用のものは柔かいゴム製である.

救急診療

急性アルコール中毒 名尾 良憲
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どこまでいけば救急診療を必要とするか

 アルコールは中枢神経に対して麻痺作用を示すものである.摂取されたアルコールは酸化されてアセトアルデヒドとなり,さらに酢酸となってTCAサイクルに入り,CO2とH2Oとに分解される.このアセトアルデヒドは悪酔いの原因となると考えられるが,この毒作用についての詳細は明らかでない.

 アルコールの代謝は肝で行なわれるが,その代謝能は1時間あたりアルコール7-10g(清酒0.3-0.5合)といわれる.それゆえ,この代謝能をこえる飲酒は血中アルコール濃度の上昇をもたらす.

略語の解説 30

RPF-SC 阿部 正和
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RPF

 renal plasma flow:腎血漿流量 腎糸球体に流入する1分間の血漿流量のこと.実際に測定するのにはダイオドラスト,あるいはパラアミノ馬尿酸ナトリウムのクリアランスを測定して決定する.これらの物質は体内で酸化破壊されることなく,1回の腎組織内の循環でほぼ完全に動脈血から排除され,そのまま尿中に速やかに排泄される.したがって,そのクリアランスの値は,ほぼ単位時間に腎臓を流れる血液量に相当すると考えてよい.正常値は600ml/minとされる.

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 病院報告は医療法施行規則第13条の規定に基づいて,毎月全国の病院の管理者から提出される報告の年間(開設者別と病床規模別は6月)分を集計し,解析を加えたものです.

目で見る臨床検査シリーズ

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臨床症状

 全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematodes)は自己免疫疾患の温床ともいわれ,最も多彩な臨床症状と免疫学的異常のみられる疾患である.

 本症は10-20歳の女性に圧倒的に多く,10歳以下50歳以上では著減し,男性はまれである点から性ホルモンとの関係を示唆する人もある.主な臨床症状は図1に示すとおりであるが,過半数の例で半カ月から数年におよぶ自然寛解を1-数回くり返すことが知られている.

カラーグラフ

LE細胞試験とSLE 寺田 秀夫
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 全身性エリテマトーデス(SLE)は自己免疫疾患の温床ともいわれ,もっとも多彩な免疫学的異常を呈する疾患である.本症の約80%にLE細胞現象がみられ診断上有用であるが,この現象は,患者血清中の7Sγグロブリンに属するLE因子が好中球の核に作用してLE体を形成し,これを貪食細胞(主として好中球)がとり込んでLE細胞が形成されるためにおこるものである.

 LE細胞の検出法としては,スライド上にゴム輪をおき,その中に1血液を滴下するSnapper法1)などがあるが,Zimmer-Hargraves2)の2時間凝血法"2-hour clot technique"が広く用いられ,かつ検出率も高い.

グラフ

経静脈性腎盂撮影法(IVP) 中村 宏
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IVP  静注された造影剤が腎から排泄されて尿路を描出する経静脈性腎盂撮影法は,もっとも生理的に近い状態で全尿路を造影することができる.施行前6時間は禁食禁水とし,前夜ヒマシ油30mlを投与する.造影剤静注前に腎尿管膀胱部の単純撮影を行ない,すぐ現像して至適線量を決めるとともに,体位を補正し,尿路結石の有無を知る.造影剤の量は造影剤の種類によって多少異なるが,クロールトリメトン5mgを混注静注すると副作用を防止あるいは軽減しうる.まず1mlを静注して1分間様子をみ,蕁麻疹・喘息などが起こらなければ,残りの造影剤を1分間かけて静注する.静注終了後5,15分後に仰臥位で撮影し,25分後に立位にしてただちに撮影する.近時造影剤が改良されたので,頭を低く下げたり,圧迫帯で尿管を圧迫したりする必要はない.高血圧の患者では19ゲージの太い針を用い,1分間のテスト後,造影剤をできるだけ急速に静注し,2分,3分の撮影を追加する(図1~4).

診断のポイント

周期性四肢麻痺 荒木 淑郎
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 周期性四肢麻痺(periodic paralysis:以下p.p.と略す)とは,四肢および躯幹筋群の弛緩性麻痺が,周期的に現われることを特徴とした1つの症候群である.麻痺発生の機序は不明であるが,現在,筋細胞膜の機能異常説が有力である.本症は,家族性に,あるいは散発性にみられるが,後者では甲状腺機能亢進症やアルドステロン症と合併する場合が知られている.

亜急性甲状腺炎 鈴木 秀郎
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 亜急性甲状腺炎は1904年スイスの外科医により始めて報告された疾患であるが,その後ながい間,この疾患の患者は臨床的にも病理組織学的にも,いろいろな他の疾患と誤られてきた。1948年Crileはこの疾患が亜急性に経過し,予後可良であることを強調する論文を書き,ようやくその正確な病像が広く世に知られるようになった.日本でこの疾患に始めて興味をもち,その正しい概念を世に普及するのに最も大きな貢献をしたのは東大第2外科の藤本で,1955年頃(昭 30)からのことである1-3)

 以上のように,この疾患は比較的古くから発見されているにもかかわらず,臨床レベルで正確に把握されるようになるまでに長い期間を要しているが,これはこの疾患が比較的まれで,他の疾患とまぎらわしいような臨床経過と病理組織像を有し,しかも予後可良で後遺症を残すことなく治癒してしまうためと考えられる.しかし,始めからこの疾患の存在を知って患者をみるならば,その病像はまことに特有で,実際に症例を経験したら忘れようとしても忘れられないものである.

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血液中のトリグリセライド値

 空腹時の血清または血漿中では,一般にトリグリセライドはSf 20-400までのリポ蛋白部分(pre‐βリポ蛋白,超低比重リポ蛋白)に含まれており,一部にSf O-20のリポ蛋白(β-リポ蛋白,低比重リポ蛋白)に存在する.また,わずかながら,高比重リポ蛋白(α‐リポ蛋白)にも存在する.これらのリポ蛋白に含まれるトリグリセライドは,主として肝臓で,糖,または脂肪酸を素材として合成されたものであり,一部,最近では,腸管での合成が確認されている.

 これに反して,食後,それも脂肪の多い食品の摂取がおこなわれたあとでの血清,または血漿では,Sf 400以上のリポ蛋白,一般にカイロマイクロンと呼ばれる,きわあてトリグリセライドを豊富にもった脂蛋白が増加する.食後の血清の白濁は,主としてこの大きな粒子による散乱光に由来するが,空腹時に採取した血液にも,時にこのような現象を認めることがある.いずれにせよ,ここに含まれるトリグリセライドは,体外から摂取した外因性のものであり,先に述べた肝,一部腸で合成された内因性トリグリセライドとは,その病的意義も代謝系路も異なっている.

治療のポイント

心臓病とアルコール 塩田 登志也
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 心臓病とアルコールというテーマでまず求められているのは何であろうか?それはタバコやコーヒーなどと同様に,アルコール飲料は心臓病に有害かどうかという点であろう.

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まず十分な面接から

 蕁麻疹,湿疹は精神的因子に影響されることの多いことはよく知られている.精神的因子をどうして見つけ出すことができるか,まず診断について述べると,これは一般的に心身症を見いだす方法と別に変わったことはない.

 第1に必要なことは十分な面接である.面接の焦点は,発病にふさわしい心理的動機があるか,症状の消長に平行して心理的な消長があるかどうか,をみることである.

痛風治療薬の使い分け 佐々木 智也
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 痛風は高血圧症と似て,いくつかの異なった原因により,結果的には同一の高尿酸血症と痛風発作として捉えられる症状になる.したがって,治療法も本来の代謝異常がどの型であるのかに従って変えられるべきではあるが,個々のケースについてそれを突きとめるのは決して容易ではない.そこで,一歩退いて,一応原発性痛風についてフォーマルな尿酸代謝と発病との因果関係を頭におき,現在している治療がそのどの部分にアプローチしているのか,次にはなにをなすべきなのか,無効であればどのように変えるべきであるのかを知っていることは最低限必要であろう.

Leading Article

食品添加物の問題点 谷村 顕雄
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 終戦後四半世紀も過ぎると,われわれの生活環境をかえりみる余裕ができるのであろうか,最近は身のまわりの問題が大きなテーマとして取り上げられている.交通問題公害など活発に論議されているが,やはり食品,食品添加物がわれわれの身近の問題であるため関心も深く,また比較的わかりやすいということもあって,昨年はまさに百花繚乱の感があった.どうやらほとんどの意見もでつくした様子であるので,この辺でふり返ってみたいと思う。

 食品添加物については,水虫薬のサルチル酸,発ガン性のタール色素などと騒がれ,ついにチクロショックでピークに達した感がある.これに関して多くの記事が紙上を賑わせたが,正論は必ずしもマスコミの好みに合わず,興味本位なもの,煽動的なもののみが好まれて大きな活字で取り上げられたことは誠に遺憾なことであった.

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 阿部達夫教授は昭和30年1月に国立大蔵病院より第2内科教室へ赴任されたが,その当時よりすでに15年の歳月が流れている.その間育てられた門下生は120名を越え,それぞれの場の第一線で活躍されている.

 教授の信念は大学での機能を完全に駆使するために必要な3本柱(臨床・研究.教育)を絶えず遂行できるように心がけられていることであろう.

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開業にふみきった動機

 本誌 先生は長い間,大病院(関東逓信病院)の内科部長をつとめられて,停年をまたずに開業にふみきられたわけですがその動機とでもいったことについて,なにかおありだったと思うのですが……

 菅 病院の部長時代の仕事というのは,医局員の指導と外来診療が主だったわけですけれど,病院に勤めている間から,1人の医師として,どうにもならないあきたらなさを感じていたわけです.外来は患者が多すぎるし,病気でない患者もたくさん来る,それから病室の患者とも間接的にしか接触できないということで,医者と病人とのコンタクトが非常に少ない,保険診療は医療を歪めるだけでなく,医学そのもののあり方まで歪めてしまう結果をみるにつけて,なんとか自分で納得のいく診療はできないものかと考えたわけです.

病理夜話

寄生虫 金子 仁
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 このごろ,東京で寄生虫はめったに見られなくなったが,私が医大を卒業した昭和22,3年ごろは戦争末期の家庭菜園のおかげで,剖検例の腸には全例,回虫がいた.なかには小腸の中で大きい糸玉を作って,そのためによるイレウスで死亡する患者さえいた.腸ばかりではなく,肝臓や胆嚢の中であばれている例もあったのである.忘れられない思い出は,食道癌の手術が非常にうまく成功したが,たった1匹のオスの回虫が食道の縫合部を食い破って,左胸腔内に落ち込み,化膿性肋膜炎を起こして亡くなった患者を解剖したことである.生前糞便中の虫卵は陰性で,なにが原因で死亡したかわからなかった例である.

 インターンのとき,条虫(サナダ虫)を出したことがある.綿馬エキスを飲ませてしばらくすると長い虫の尾部が患者の肛門から顔をのぞかせる.それを洗面器の中に入れたお湯の中にお尻をつけさせながら割箸で,サナダ虫の尾部を巻きつけ,ゆっくり,ゆっくり巻きながら出していくのである.なにしろ多数の節からできているので,うっかり力をいれると,すぐに切れてしまう.頭部が残ると,そこからまた体や尾っぼができるので,頭までうまく取らねばならない.これがなかなかむずかしかったことを覚えている.患者は主として兵隊さんだったが,戦地で牛や豚を生のまま食べると罹患するのである.この病気になると悪性貧血で死ぬこともある.

症例 全身性疾患と心臓・5

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 膠原病は,全身の結合織および血管の内膜にフィブリノイド変性をきたす疾患の総称である.各疾患によって心合併症に差異はあるが,組織像は心外膜炎,心筋炎,心内膜炎,血管内膜の肥厚増殖,血管周囲の細胞浸潤,心筋の萎縮変性などを主徴とする.膠原病の範疇にはいると思われるが,診断の困難であった症例についてその臨床所見を詳細に記述し,心,腎,皮膚の生検所見をもあわせて呈示する.

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 1958年Leslie Zieve1)は過去8年間にMineapolis Vete-rans Hospitalに入院した患者の中で,原因不明の肝疾患とされていた20例を集めみたところ,その経過中に,黄疸,脂血症,溶血性貧血の3徴候が出現していることに気づき,しかもこれらがアルコール性脂肪肝と密接な関係があることがわかり,新しい症候群として報告した.本邦では1962年の内藤・友野両氏2)の報告が最初で,本症候群の血中脂質分画の特異性を述べ,溶血性貧血は必発の徴候でないのではないかと指摘している.その後中沢ら3).福田ら4)の報告をはじめ,本症候群の報告は本邦でも10例をこえている.筆者らは過去8年余にわたって,肝硬変症,高血圧症,糖尿病として経過を観察し,その経過中に大量の飲酒を契機として,たびたび一過性の中等度の黄疸と肉眼的脂血症を呈した1例を経験したので報告する.

コメント 内藤 周幸
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 急性および慢性アルコール中毒のさいに高脂血症がみられることは半世紀以上も前から知られていたが,1958年にZieveが,アルコール性脂肪肝の患者のうちのあるもので黄疸,高脂血症,溶血性貧血を示すものに着目して1つの症候群として発表して以来,今日では世界的に通用する症候群の1つとなっている.私が8年前に本邦における第1例を発表して以来すでに本邦でも10例以上の報告が見られる由で,この方面に対する関心が高まってきた徴候と思われ,よろこばしいしだいである.

 今回,三宿病院の上野副院長を中心とする肝臓グループから,8年余にわたって経過を観察したZieve症候群の1例が発表されたが,きわめて興味ぶかく拝見した.というのは,肝硬変症が進展すると高脂血症はみられなくなり,もはやZieve症候群は呈しなくなると考えられているからである.したがって,この症例では,アルコールの多飲にもかかわらず,長期間にわたってZieve症候群がみられたということは,逆に,この間に肝硬変はあまり進展しなかったのではないかと考えさせるが,事実このことを頻回の肝生検によってみごとに実証されているからである.私の知るかぎりでは,Zieve症候群の患者をこれほど長期間経過を追って観察した報告は見られない.この症例はいわゆる"partielle Zieve"に相当するものであるが,上述の意味で非常に貴重な報告例であると思われる.

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はじめに

 膵疾患の診断の困難さは周知のことである.膵は腹腔深部に位置し,かつ扁平な臓器であるだけに触診がむずかしい.さらに自覚症の主要部分を占める腹痛その他の消化器症状についても,後述のように他の上腹部臓器疾患のそれと鑑別しにくい.最近,Pancreozymin-Secretin試験(以下P-S試験と略す)をはじめ数種の新しい検査法が考案されたものの,なお他臓器疾患の検査法に比べると十分とはいいがたい.

 近年,膵疾患への一般の関心がましてきて,多くの症例が集積されるにいたったことは喜ばしいが,たとえば慢性膵炎ひとつをとり上げてみても診断基準のとり方にも問題が残されており,今後の検討が必要である.

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 アセトアルデヒドは,アルコール代謝の中間代謝物として中毒学的・薬理学的意味をもつ.ここではアセトアルデヒドの毒性と薬理,およびアルコール中毒におけるその役割について,仮説的に言及したい(文末注).

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術前は過ビリルビン血,しかしトランスアミナーゼは正常

 上野 入院する時点までについてご質問はありませんか.

 兼高 職業上薬物に対する暴露があったかどうか,また寄生虫の居住地にいたか,肝炎の流行地にいたかどうかについてお教えください.

出題
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症例 細〇環,66歳,男子

 既往歴 特記すべきものなし.

診療相談室

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質問 1カに月数回,軽度の失神発作を伴うA-Vブロックについてお教えください.(久留米市・A生)

メディチーナ・ジャーナル=厚生省

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減少しない血清肝炎

 血清肝炎の本態はまだあきらかではない.したがってその治療方法も確立されていないし,予後も悪い.しかも,血清肝炎の発生状況は諸外国では数%以下であるというのに,わが国ではいまなお約20%の高率を保持しており,減少の傾向も認められない.わが国において血清肝炎対策が急務とされるゆえんである.

 もともと血清肝炎の問題は今に始まったわけではなく,数年まえすでに「黄色い血」として社会問題化し,政府は昭和39年に「売血から献血」への政策転換を行なうことにより大幅にその減少を期待していたのであるが,献血の推進にもかかわらず期待どおりの成果が得られないまま今日に及んでいる.したがって,さらにきめのこまかい発生防止の施策を展開することが当面の課題としていそがれるわけである.

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 今年の消化器病学会総会は3月1日より3日間にわたり,大阪厚生年金会館にて京都府立医大増田正典教授会長のもとに開催された.プログラムはシンポジウムとして「胃液分泌の基礎と臨床」と「膵炎の発生とその運命」の2つがあり,パネルディスカッションとして「胃を除く消化器の早期癌」,「腹部臓器の脈管撮影」および「膵胆系の臨床検査法」の3つが持たれた.また特別講演として,私に命ぜられていた「胃・食道癌の早期診断」と岡山大小坂淳夫教授の「慢性肝炎」の2つがあった.いずれも消化器病学会総会にふさわしく興味ある内容であったが,今回はこれらの中から「胃液分泌の基礎と臨床」と「胃を除く消化器の早期癌」の講演に対する私の印象を述べてみようと思う.

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 第12回日本内視鏡学会総会は2月27日,28日の両日にわたり,大阪厚生年金会館で開催された.シンポジウム5,パネル・ディスカッション1,特別講演1,招待講演1,一般演題97で,時節柄一般演題の数は例年より減少しているが,全体の内容は充実しているように思われた.以下紙数に制限があるので,シンポ,パネルについて簡単に感想を述べる.

 シンポⅠの食道病変と内視鏡では,1)早期癌,癌類似小病変の診断,2)食道ファイバースコープの現状と問題点,3)食道ファイバースコープによる食道胃接合部付近の病変の検討,4)食道炎の診断,5)内視鏡からみた食道憩室の診断と治療方針,6)食道静脈瘤の内視鏡診断の限界について論ぜられた.現在の食道ファイバースコープは機械の構造・機能になお若干の問題が残されているが,従来の直達鏡に比べ操作が容易で,しかも疾病の多い食道下部の検査にすぐれているから今後ますます普及することであろう.

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 ひとによって心臓は,生命そのものを意味している.心臓移植がその他の臓器移植とは格段に重大視されるのも,このゆえである.また心臓は,こころの座であるともいわれている.われわれの喜びも,悲しみも,怒りをも,心臓はまことに正直に反映する.移植された心臓は,宿主の自律神経の支配を受けるのだろうか.人工心臓は自律神経の支配を受けずに,どのような法則にしたがって働くのであろうか.心臓と自律神経の問題をめぐって,われわれの疑問は限りなく続く.

 これらの疑問に答えて,まず高安(京大・内科)は,心臓機能の調節を行なうものとして,自律神経を介して心拍数および心筋収縮力に作用する機序および,自律神経と無関係にカテコールアミン,ADHなどによったり,あるいはスターリングの法則などによる機序の2つをあげ,自律神経の支配を受けない移植心臓人工心臓の場合は主として後者の調節によるが,はたして自律神経支配なくして,完全な心臓機能が行なわれるか否かなどを,問題点として提起した.

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肥満と糖・蛋白・脂質代謝

 今回の内科学会総会では,特別講演およびシンポジウムには,糖・脂質代謝との関連でホルモンについて触れられたもの以外,内分泌学分野の講演はなかった.そこで一般演題講演の中からトピックをひろって紹介する.

 肥満は,従来体質と栄養の面からばくぜんと理解されていた.その間,脳幹部に異常を伴う疾患の一部に,著明な過食と体重増加が見られることや,同様の病態が実験的に視床下部を損傷することによりラットで再現されることなどから,肥満の病因として,食欲中枢異常のための過度の摂食,過栄養が重視され,したがって治療も食事の制限および薬物による食欲の抑制に重点がおかれていた.ところが,油谷博士ら(徳大・内科)の研究発表によると,このような実験的視床下部損傷ラットでは,その食事量を正常ラットのそれと同じ量に制限し体重増加を防止しても,体成分において蛋白の減少,脂肪の増加がみられ,また血中インシュリン値の上昇,血糖の低下,脂肪組織の脂肪酸組成の変化などがおこっている.この動物実験の成績が,そのまま臨床の肥満にあてはまるかどうかは即断できないが,私たちが肥満患者の治療にあたる場合,バランスのとれた食事を少量とるという消極的な治療方針以外に,その病態の一部に糖・蛋白・脂質代謝障害のある可能性を考え,より積極的に患者を管理し,治療していくことの必要性が示唆される.

臨床メモ

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 「夜尿症」を訴えて治療を求める母親は非常に多い.医師のほうもその原因を求めて,検尿を行ない,膀胱炎や尿道炎の所見を得ればその治療を行なうが,陰性の場合にははたと途方にくれてしまうことがしばしばである.

 もともと,排尿便の自主については,次の基準がよく知られていて,これをもとに指導を行なっているが,これはあくまで基準であり,この年齢を越えても不可能な小児がいることも事実である.

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Current Abstracts 浦田 卓
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アスピリンによる胃潰瘍

アスピリンを服用すると,そのために胃潰瘍が形成されることがある.アスピリンを経口的に服用すると,保護的作用をもつ粘液性の内張りを生産する胃内膜細胞の能力は,かなり障害されるのである.犬で研究したところ,胃の細胞と直接には接触しないが,しかし循環系に入るような方法で投与されても,アスピリンは,胃内膜からの細胞の喪失を増加させることが判明した.で,もし細胞増殖のスピードをあげて,その喪失の穴埋めをしないとすれば,細胞の喪失はけっきょくのところ胃潰瘍の形成にあずかることになろう.

(American College of Surgeons)

基本情報

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medicina
7巻7号 (1970年6月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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