話題
—人工心臓と自律神経の問題をめぐって—第14回日本医学会シンポジウムから
石川 中
1
1東大第4内科
pp.1094
発行日 1970年6月10日
Published Date 1970/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203246
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ひとによって心臓は,生命そのものを意味している.心臓移植がその他の臓器移植とは格段に重大視されるのも,このゆえである.また心臓は,こころの座であるともいわれている.われわれの喜びも,悲しみも,怒りをも,心臓はまことに正直に反映する.移植された心臓は,宿主の自律神経の支配を受けるのだろうか.人工心臓は自律神経の支配を受けずに,どのような法則にしたがって働くのであろうか.心臓と自律神経の問題をめぐって,われわれの疑問は限りなく続く.
これらの疑問に答えて,まず高安(京大・内科)は,心臓機能の調節を行なうものとして,自律神経を介して心拍数および心筋収縮力に作用する機序および,自律神経と無関係にカテコールアミン,ADHなどによったり,あるいはスターリングの法則などによる機序の2つをあげ,自律神経の支配を受けない移植心臓人工心臓の場合は主として後者の調節によるが,はたして自律神経支配なくして,完全な心臓機能が行なわれるか否かなどを,問題点として提起した.
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