メディチーナ・ジャーナル=厚生省
いそがれる血清肝炎対策
大谷 藤郎
pp.1085
発行日 1970年6月10日
Published Date 1970/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203240
- 有料閲覧
- 文献概要
減少しない血清肝炎
血清肝炎の本態はまだあきらかではない.したがってその治療方法も確立されていないし,予後も悪い.しかも,血清肝炎の発生状況は諸外国では数%以下であるというのに,わが国ではいまなお約20%の高率を保持しており,減少の傾向も認められない.わが国において血清肝炎対策が急務とされるゆえんである.
もともと血清肝炎の問題は今に始まったわけではなく,数年まえすでに「黄色い血」として社会問題化し,政府は昭和39年に「売血から献血」への政策転換を行なうことにより大幅にその減少を期待していたのであるが,献血の推進にもかかわらず期待どおりの成果が得られないまま今日に及んでいる.したがって,さらにきめのこまかい発生防止の施策を展開することが当面の課題としていそがれるわけである.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.