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食品添加物の問題点
谷村 顕雄
1
1国立衛生試験所食品添加物部
pp.1086-1088
発行日 1970年6月10日
Published Date 1970/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203241
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終戦後四半世紀も過ぎると,われわれの生活環境をかえりみる余裕ができるのであろうか,最近は身のまわりの問題が大きなテーマとして取り上げられている.交通問題公害など活発に論議されているが,やはり食品,食品添加物がわれわれの身近の問題であるため関心も深く,また比較的わかりやすいということもあって,昨年はまさに百花繚乱の感があった.どうやらほとんどの意見もでつくした様子であるので,この辺でふり返ってみたいと思う。
食品添加物については,水虫薬のサルチル酸,発ガン性のタール色素などと騒がれ,ついにチクロショックでピークに達した感がある.これに関して多くの記事が紙上を賑わせたが,正論は必ずしもマスコミの好みに合わず,興味本位なもの,煽動的なもののみが好まれて大きな活字で取り上げられたことは誠に遺憾なことであった.
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