特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査
酵素および関連物質
ALPとそのアイソザイム
三好 秀征
1
1東京大学医学部附属病院消化器内科
pp.191-193
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101771
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
ALP(alkaline phosphatase)はアルカリ条件下でリン酸モノエステルを加水分解し,無機リン酸を生じる亜鉛酵素である.種々の臓器組織中に存在するが,血中に検出されるものは肝,胆道,骨,胎盤,小腸に由来する.ときに悪性腫瘍がALPを多量に産生することもある.
ALPにはアイソザイムが存在する(表1).ALPはセルロースアセテート膜またはアガロースゲルの電気泳動により6分画に分けられ,病態により1~4分画が出現する.ALP1は肝・胆管細胞膜と結合した高分子ALPであり,通常は胆汁中に排泄されているが,胆管内圧の上昇時に類洞へ逆流して血中に出現する.ALP2は肝性ALPであり,さまざまな肝・胆道疾患で合成が亢進して血中濃度が上昇する.ALP3は骨性ALPであり,代謝性疾患や骨破壊性病変に対する反応性の骨増殖が起こっているときにリン酸カルシウム沈着のために合成が亢進する.ALP4は胎盤性ALPであるが,稀に悪性腫瘍由来で出現することもある.ALP5は小腸性ALPであり,消化管での脂肪吸収時に,脂肪とともにリンパ管に入り,胸管を経て大循環に入る.ALP6は免疫グロブリンと結合したALPであり,潰瘍性大腸炎の活動性に伴い血中に出現することがあるが,総ALP値への影響は軽度である.また,ポリアクリルアミドゲル電気泳動では最陽極側にもう1分画出現することがあり,これは肝細胞癌が産生する異常アイソザイム(variant ALP)である.
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