増刊号 総合力で対応するEmergency/Intensive Care Medicine
第4章 内科医が一般病棟・ERで出合いうる疾患
51 アルコール離脱—離脱予防と離脱の対処
湯本 洋介
1
1国立病院機構久里浜医療センター精神科
キーワード:
アルコール離脱
,
手指振戦
,
痙攣発作
,
振戦せん妄
,
アルコール依存症
Keyword:
アルコール離脱
,
手指振戦
,
痙攣発作
,
振戦せん妄
,
アルコール依存症
pp.323-327
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620040323
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
POINT
●アルコール離脱症状は慢性的な多量飲酒者が突然断酒したり,飲酒量を減らしたりしたときにGABA神経系の抑制作用が低下し,中枢神経や自律神経の過剰な興奮を生じることで発症する.
●アルコール離脱の典型的な徴候は手指振戦である.振戦は断酒後6〜8時間で出現し,8〜12時間で妄想や幻覚などの知覚症状,12〜24時間で痙攣発作,また72時間以内に振戦せん妄(DT)が出現する.
●アルコール離脱の治療の第一選択薬はベンゾジアゼピン系薬である.ベンゾジアゼピンは,アルコール離脱に伴う発作,せん妄,不安,頻脈,高血圧,発汗や振戦を抑制する効果がある.
●アルコール離脱の治療に続いてアルコール依存症の治療につなげることが重要である.AUDITなどの評価尺度を用いて評価を行い,アルコール専門医療機関への紹介を行うことが望ましい.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.