総合診療 28巻4号 (2018年4月)

特集 感染症外来診療「賢医の選択」—検査・経口薬・ワクチンをどう使えばいいんですか?

徳田 安春
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発熱や悪寒などで感染症が疑われる外来患者さんは数多くいます。そのようななかで、どのような検査をし、どのような治療を行うかの判断は、大変重要です。もちろん、敗血症や髄膜炎、壊死性軟部組織感染症などでは、迅速な検査と治療が求められます。一方で、過剰な検査は、時に診断をミスリードし、そして過剰な抗菌薬の使用は、薬剤耐性菌を蔓延させます。

本特集では、感染症を専門とはしないプライマリ・ケア医や総合診療医、さらには薬剤師・検査技師・看護師などが賢い判断「Choosing Wisely」ができるよう、第一線の感染症医に、臨床的に重要な検査と内服薬について、また感染症の予防に重要なワクチンについても、その適用を中心に、「賢医がどのような選択をするのか」という視点でまとめていただきました。

【感染症関連検査のChoosing Wisely—白血球とCRPを越えて】

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Pitfall Case

患者:48歳、女性。

2月初旬。救急外来はインフルエンザの患者さんでごった返し、数時間待ちの状態が続いている。本日からの発熱・悪寒を主訴に来院された患者さん。午後から悪寒があり、ベッドがガタガタ揺れて止まらなかったとのこと。その後39℃の発熱が続くため、救急外来に歩いて受診となった。気道症状なし。消化器症状は軽度嘔気のみ。

研修医の身体診察所見:体温38.8℃。貧血・黄疸なし。咽頭発赤・扁桃腺腫脹なし。心・肺雑音なし。

●インフルエンザ迅速抗原検査を行ったところ、「陰性」という結果だった。しかし、熱が出た初日であったため、検査は偽陰性と考え、抗インフルエンザ薬を処方し、帰宅とした。

●3日後に敗血症性ショックで、救急車で再受診となった。

●ウロセプシス(尿路感染症を原因とする敗血症)の診断で入院となった。

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Pitfall Case

咽頭の溶連菌迅速抗原検査が陰性の急性扁桃炎の1例

患者:24歳、男性。

既往歴:幼少時から咽頭扁桃腫大があり、成人後も年2〜3回扁桃炎をきたしている。

現病歴:3日前から急激な咽頭痛と発熱をきたし、以前処方されて家に残っていた経口第三世代セフェム系薬とNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を内服したが、嚥下痛が強くなり発熱も続くため、内科外来を受診した。

 NSAIDs内服下で体温37.2℃、強い嚥下痛を訴える。咽頭扁桃は両側とも腫大し、発赤と白苔の付着を認める。また、両側性に前頸部から顎下のリンパ節腫脹と圧痛を認める。

 両側の扁桃から白苔を採取して溶連菌迅速抗原検査を行ったが、陰性であった。しかし嚥下痛が強いため、耳鼻科にも診察を依頼したところ、両側とも扁桃周囲膿瘍となっていた。入院のうえで切開排膿およびペニシリンG点滴による加療を行い、回復した。膿瘍内容のグラム染色では、多数のグラム陽性レンサ球菌を認めたが、培養では発育しなかった。

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Pitfall Case

急性の嘔吐、下痢で発症したステロイド使用中の女性

患者:重症筋無力症に対してプレドニゾロン50mg/日を内服している、不妊治療中の30歳、女性。

現病歴:冬のある日、来院前日の夕方から全身倦怠感と食欲低下あり。来院当日の深夜0時、急に悪心が出現して胃液様の嘔吐が4回あり、その後悪寒と下痢が出現したため、救命救急センターを受診した。同居している配偶者に症状はない。来院時、血圧96/58mmHg、脈拍数110回/分、呼吸数24回/分、体温37.7℃、体重49kg(通常51kg)。呼吸が荒く、嘔吐を続けている。腹部は平坦軟だが、全体に軽度の圧痛を認めた。血液検査ではNa 138mEq/L、K 3.0mEq/L、Cr 0.80mg/dL、WBC 12,800/μL、Hb 14.7g/dL、CRP 0.19mg/dL。インフルエンザ迅速抗原検査およびHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)定性検査は陰性であった。

臨床経過:来院後に排便なく、嘔気は改善したが水分摂取量が十分でないので、「急性胃腸炎疑い」として補液しながら病棟入院となった。病棟ではインフルエンザ流行のため個室調整が難しく、大部屋に入院となった。翌朝軟便があり、検体提出したところ、ノロウイルス便迅速抗原検査陽性となった(注:来院後嘔吐はあったが排便がなかったので、ノロウイルス便迅速抗原検査は提出されていなかった)。水分摂取可能で嘔気も消失し、電解質も正常化していたので退院。患者には、自宅内でのトイレ使用方法の注意と清掃方法を説明し、同居者にも同症状が出現しうることを説明した。患者が使用した病室およびトイレの環境清掃は、次亜塩素酸で速やかに行った。また、病棟内の患者に嘔吐・下痢症状の出現がないか、1週間は注意しておくように、感染対策担当者から指示を受けた。

血清プロカルシトニン 矢野 晴美
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Pitfall Case

意思疎通困難で来院し敗血症の診断となった1例

患者:89歳、女性。高血圧、糖尿病、透析中で、自宅で息子夫婦と暮らしている。ADLは自立。

現病歴:昨日から元気がなく、意思疎通が困難となったため救急来院した。

来院時の身体所見:血圧110/70mmHg、脈拍数100回/分、呼吸数28回/分、体温37.4℃(平熱35.8℃程度)、閉眼し、呼びかけには応じない。身体所見は、特になし。左前腕に透析のシャントがあり、シャント雑音は正常で発赤・熱感はなし。入院時の血液検査で、WBC 5,600(Neut 80%)、CRP 0.5mg/dL、血清プロカルシトニンは<0.25μg/mLであった。血液培養2セットを採取していたところ、翌日の入院2日目に2セットともグラム陽性のレンサ球菌が陽性となり、G群レンサ球菌と判明した。

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Pitfall Case1

患者:61歳、男性。

既病歴:コントロール不良の糖尿病がある。

現病歴:3カ月前に靴擦れが生じ、その部位の皮膚が治らないということで受診。すでに潰瘍化している状況で、創部には壊死組織を伴っていた。本人のバイタルサインは問題なく、発熱はなく、血圧・脈拍数・呼吸数も安定している。主治医は創部からの培養を採取し、ピペラシリン・タゾバクタムの抗菌薬治療を開始した。

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Pitfall Case

患者:1カ月の乳児。

現病歴:発熱・咳嗽・鼻汁で受診し、RSウイルス(respiratory syncytial virus)の迅速検査を施行したところ、陽性であった。呼吸状態も悪くなく、入院適応がないために帰宅とした。しかし夜間、ぐったりしてきたため、救急センターを受診して緊急入院となった。最終診断は「大腸菌による尿路感染症」であった。

【感染症に対する経口薬のChoosing Wisely—適正使用のコツ】

抗インフルエンザ薬 成田 雅
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Pitfall Case

患者:34週の妊婦。

現病歴:同居の長男(5歳)がインフルエンザA型に罹患。その2日目に患者は全身倦怠感と40℃の発熱を訴えて、救急室を受診した。全身状態が良好であり、ラニナミビル(イナビル®)1回投与を行った。吸入後は問題なかったが、帰宅後に喘鳴が出現し、呼吸困難感が増悪。腹部の張りを訴えたため、再び救急室を受診、産科医がコールされた。診療録を見直すと、喘息の既往があった。

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Pitfall Case1

患者:30代、男性。

現病歴:特に基礎疾患はない。4カ月前からう歯の治療をしている。3カ月前から微熱と倦怠感が出現するようになり、2カ月前に近医を受診した。風邪との診断で抗菌薬(セフカペンピボキシル)を処方され、様子を見ていた。抗菌薬を内服すると数日で解熱が得られるが、内服を止めてしばらくするとまた微熱と倦怠感が出現するため、近医を受診して抗菌薬(セフカペンピボキシル)を処方してもらうことを繰り返していた。徐々に倦怠感が増強し、労作時呼吸苦も出現してきたため、救急車を要請して当院に救急搬送された。

来院後の経過:来院時38℃台の発熱があり、聴診上心雑音が聴取された。歯科治療歴と併せて、感染性心内膜炎が疑われたため、経胸壁心臓超音波検査を行ったところ、僧帽弁に疣贅を認めた。来院時に採取された血液培養からは細菌は検出されなかったが、3日後に改めて採取した血液培養からは、緑色レンサ球菌(viridans Streptococcus)が検出され、感染性心内膜炎と診断された。

マクロライド 藤友 結実子 , 具 芳明
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Pitfall Case

患者:21歳、男性(大学生)。

既往歴:特になし。

現病歴:1週間ほど前から鼻汁、咽頭違和感、咳嗽が出現。5日前に悪寒があり、39℃台の発熱があった。2日前の朝に解熱したため、大学に行って授業を受けたところ、夜間より再度発熱。昨夜も発熱したが、今朝は解熱していた。咳が3日前からひどくなっているが、痰はあまり絡まない。受診日も日中は大学の授業に出ていたが、咳が続くため、夕方病院を受診。

身体所見:体温38.7℃。SpO2 97%(room air)。咽頭発赤あり、後鼻漏なし。両側肺野の呼吸音はやや減弱しているが、ラ音は聴取しない。呼吸数18回/分。胸部X線写真で右側優位に両側に浸潤影を認めた。咽頭ぬぐい液LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法を用いた迅速診断で、マイコプラズマ陽性であった。

フルオロキノロン 山本 舜悟
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Pitfall Case

尿路感染症にはキノロンでしょ?

患者:6週間前に大腸菌による膀胱炎の既往がある(レボフロキサシンで治療)、39歳、女性。

現病歴:受診前日から排尿時痛と右腰背部痛があった。翌日になり、急に寒気があり身体が震えた後に、39℃の発熱が出てきた。A診療所を受診し、急性腎盂腎炎の診断でレボフロキサシンを処方された。2日経っても熱が下がらず、フラフラして歩けなくなったので救急搬送された。救急外来受診時、血圧80/50mmHg、脈拍数120回/分、体温38.5℃、呼吸数24回/分だった。膿尿があり、尿グラム染色ではグラム陰性桿菌が見えた。血液培養採取後にセフメタゾールで治療を開始した。造影CTでは右腎膿瘍を疑う所見が見られた。血液培養と、尿培養から、レボフロキサシンのみに耐性の大腸菌が検出された。

【感染症予防ワクチンのChoosing Wisely—予防医療のエキスパートになる】

小児のワクチン 笠井 正志
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Case

熱性けいれんを起こしたのですが、ワクチンは大丈夫でしょうか?

患者:生後1歳、女児。

現病歴:生後10カ月時、熱を出してけいれんし、近くの総合病院に入院した。今回は定期接種としてMR(麻疹風疹)ワクチンが予定されているが、打っても大丈夫なのか心配で受診。

発育発達:健診では異常を指摘されたことはない。

予防接種歴:やるべきものはすべて接種した。

家族歴:父と姉(2歳6カ月、保育園児)に熱性けいれんの既往がある。

生活歴:両親・姉の4人家族。

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Case

インフルエンザワクチンは、本当に効果があるの?

患者:10歳男児と、その保護者(35歳)。

家族:保護者の母親(同居、59歳)が肺がんで化学療法中(卵アレルギーあり)。

現病歴:生来健康な男児。昨年は周囲に勧められてインフルエンザワクチンを接種した。しかしインフルエンザにかかり、小学校のクラスでは学級閉鎖になった。保護者は、「ワクチンを打ったにもかかわらずインフルエンザにかかったうえに、2回も接種するので、児の負担になるのではないか」と思っている。自身は去年ワクチンを接種していないが、インフルエンザにかからなかったので不要と思っている。今年もかかりつけ小児科医に児の接種を勧められ、疑問に思っている。保護者の母親の内科受診時に、あなたは保護者から「ワクチンは本当に必要か?」と聞かれた。

肺炎球菌ワクチン 南宮 湖
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Case

生物学的製剤の治療を受けている関節リウマチ患者の肺炎球菌ワクチン接種に関して、相談を受けた1例

患者:69歳、女性。

現病歴:10年前に関節リウマチと診断され、2年前から生物学的製剤の治療を開始している。毎年インフルエンザワクチンは接種していたが、肺炎球菌ワクチンは接種したことがなかった。テレビで放映されていた肺炎球菌ワクチンのCMが気になり、高血圧・脂質異常症をフォローしているかかりつけ医に相談が来た。

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Case

患者:65歳、女性。

現病歴:夕食準備のため、包丁で白菜を切っていたところ、左示指先端に幅1cm、深さ0.5cm大の裂傷を受傷。すぐに流水で洗浄し、受傷から約2時間後に救急外来を受診した。これまでに外傷などで病院受診歴なし。小児期のワクチン接種歴は不明。

渡航前ワクチン 和足 孝之
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 海外実習予定の医学生がクリニックを受診した。

Case

患者:特に既往はない23歳、男性(北海道出身)。

 交換留学でタイ・バンコクの大学病院で実習することが決まっている。期間は2カ月間を予定。今のところ、現地での旅行などは考えていない。調べたところ、タイへ渡航する際に推奨されるワクチンとして、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、日本脳炎、腸チフス、マラリアが挙げられていた。教科書通りに、これらすべての接種と予防を勧めたところ、「自費で多額の費用がかかるため、どうしても必要最小限にして欲しい」と懇願された。また留学開始は2週間後だと判明した。医師はどうしたらよいか、困ってしまった。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

Editorial

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 発熱や悪寒などで感染症が疑われる外来患者さんは多い。そのようななかで、どのような検査をオーダーし、どのような治療を行うかの判断は大変重要である。

 もちろん、敗血症や髄膜炎、壊死性軟部組織感染症などでは、迅速な検査と治療が求められる。一方で、過剰な検査は、時に診断をミスリードする。そして過剰な抗菌薬の使用は、薬剤耐性菌を蔓延させることにつながる。不必要な抗菌薬治療は、副作用のリスクを高めるだけで、医療の価値を低くしてしまう。最近話題の抗菌薬の副作用には、フルオロキノロン抗菌薬による大動脈解離のリスク上昇がある。

もやもや処方の処方箋・1【新連載】

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今月の処方箋

Aクリニックより

〔常用薬〕

•アムロジピン®(アムロジピン)5mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

〔追加薬〕

•ペリアクチン®(シプロヘプタジン)4mg

 1回1錠 1日3回 毎食後

•ミヤBM®細粒(酪酸菌)1g/包

 1回1包 1日3回 毎食後

•ツムラ葛根湯エキス顆粒 2.5g/包

 1回1包 1日3回 毎食前

•ムコソルバン®(アンブロキソール)45mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•クラビット®(レボフロキサシン)100mg

 1回1錠 1日3回 毎食後

B診療所より

•ジスロマック®(アジスロマイシン)250mg

 1回2錠 1日1回 朝食後

•メジコン®(合剤:デキストロメトルファン+クレゾールスルホン酸カリウム)15mg

 1回2錠 1日3回 毎食後

•ホクナリン®テープ(ツロブテロール)2mg/枚

 1回1枚 1日1回 眠前

•アドエア® 250ディスカス(合剤:サルメテロール+フルチカゾンプロピオン酸エステル)

 1回2吸入 1日2回 朝夕

GM Group Dynamics・3

野獣クラブ
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医学・医療技術は日々アップデートされ、的確で質の高い医療を提供するには「勉強」し続けることが求められる。しかし、現場は日々忙しい。臨床はもちろん、管理業務もある。研修の機会の少ない地方やソロプラクティスの現場では、なおさら勉強し続けるのは難しい……。

 そんな“勉強の壁”を打破するのが、Facebookグループ「野獣クラブ」だ。基本的に“オンライン”の会だから、いつでもどこでも参加できるし、タイムリーに臨床の疑問を相談できる。活発な投稿と飛び交うアドバイスに刺激を受けて、勉強意欲も継続できる。2014年2月、山中克郎氏(p.559)、小野正博氏(都立松沢病院 内科)、継仁氏(継醫院)、田村謙太郎氏(ナショナルメディカルクリニック)が旗上げし、「“野獣”のように貪欲に学び続けよう」と名づけた。すでにメンバーは1,700人を超えている。

What's your diagnosis?[184]

お安い秘孔術 八百 脩平 , 高岸 勝繁
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病歴

患者:67歳、男性。

主訴:嚥下困難、両耳閉塞感。

現病歴:来院1カ月前頃、車を運転している際に、左から来た車が見えにくかったというエピソードがあった。来院2週間前より、徐々に飲水や食事摂取時にむせ、嚥下困難が出現し、ゼリーなどの栄養補助食品のみを摂取するようになった。症状が持続するため、当院受診。

ROS(review of systems):

(+);体重減少(2〜3カ月で5kg)、喀痰、両耳閉塞感。

(−);悪寒戦慄、微熱、寝汗、頭痛、胸痛、消化器症状、関節痛、四肢のしびれ、皮疹。

既往歴:慢性滲出性中耳炎(64歳時、来院3カ月前、来院1週間前に鼓膜切開、抗菌薬加療歴あり)。

内服薬:なし。

アレルギー歴:なし。

生活歴:飲酒は缶ビール1本/日、喫煙は来院半年前まで20本/日、現在禁煙。

ジェネラリスト漢方Basics|東西2つの視点でアプローチ・4

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 ある治療が「良かった」と噂になると、それを聞きつけて別の患者さんが訪れる。そこに受験が絡んだりすると、さらに患者さんの真剣味が増す。そのような患者さんのなかには、一見さんも少なくはないのだが。

 前回は「実証には攻める薬、虚証には補う薬」という漢方基本原則をもとに、漢方マニュアルの使い方をお示ししたが、今回は花粉症を例に考えてみたい。

診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・13

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はじめに

2点エコーは素早く施行できます!

 深部静脈血栓症(deep venous thrombosis、以下DVT)は、筋膜より深い部位にある静脈に生じた血栓症を指します。急性肺塞栓症の約90%は下肢のDVTに起因するとされています1)。下肢DVTの画像診断において、超音波は第一選択に位置づけられており、検査室で専門技師によって行われることが多いと思います。下肢DVTの標準的超音波診断法に基づき、通常は下肢全体の深部静脈、表在静脈の一部、場合により腸骨静脈と下大静脈まで評価が行われます2)。全下肢エコー(whole leg ultrasonography、図1a)とも呼ばれるこの手法は最も確実ですが、十分な経験のある検者が高性能装置を用いて行うべきであり、相応の検査時間を要します。診察を行う医師がベッドサイドで行うことは現実的ではありません。

 Point-of-Care超音波については、総大腿静脈と膝窩静脈のみを素早く評価する2点エコー(2-point ultrasonography、図1b)の有用性が、多くの臨床研究を通じて示され、急性期診療で積極的に利用されるようになりました3)。大腿静脈(浅大腿静脈)、大腿深静脈(深大腿静脈)も加え、鼠径部から膝窩部までの深部静脈を評価する近位下肢エコー(proximal ultrasonography、図1c)も提唱されています4)

 本稿では、point of careとして施行可能な2点エコーと、近位下肢エコーについて解説します。

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年3月31日まで)。

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 “国試の向こう側”を30年あまり経験した私たちが、今あらためて医師国家試験を眺めてみたら、どうなるんだろう? この好奇心が、すべての始まりでした。

 学生や研修医に講義をする時、国試を題材にすると受けがよく、いつも国試には目を通していました。そのうち、本誌で山中先生が本連載を開始されました。思わず、「国試を題材にした症候学セミナーを、『21世紀 適々斎塾』でしませんか?」とメールしていました。二つ返事で即決、一流講師陣による特別セミナー「国家試験をぶっ飛ばせ!!!」の開催が決まったのです(詳細は本誌3月号p.305)。

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年3月31日まで)。

みるトレ Special・16

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患者:78歳、男性。

主訴:発熱、意識障害。

生活歴・既往歴:ADL部分介助。糖尿病(神経障害・網膜症・腎症合併)および認知症で当院に通院中。10年前に前立腺肥大の手術、半年前に腹部大動脈瘤に対しステント留置。海外渡航歴・ペット飼育歴・動物曝露歴などなし。

薬剤歴:クロピドグレル、アスピリン、ランソプラゾール、ロスバスタチン、アムロジピン、オルメサルタン、リナグリプチン。

現病歴:2日前まで元気。1日前から38℃の発熱とぼーっとした感じが出現したため近医を受診し、セフカペンピボキシルとアセトアミノフェンを処方されて帰宅した。いったん解熱し症状も消失したが、入院当日に悪寒戦慄が出現したため、ご家族が救急要請した。

身体所見:血圧110/52mmHg、脈拍数110回/分、体温39.3℃、呼吸数20回/分、SpO2 99%(室内気)、GCS(Glasgow Coma Scale)E3V3M4=11点。頭頸部に明らかな所見なし、項部硬直なし、Kernig徴候/Brudzinski徴候ともに陰性、胸腹部に明らかな異常所見なく、CVA(肋骨脊柱角)叩打痛は両側陰性。前立腺触診にて圧痛を認める。神経学的所見は従命できないため正確な把握は困難だが、瞳孔4mm/4mmで左右差なく対光反射も正常、腱反射亢進・減弱なく病的反射も認めない。

検査所見:血液;WBC 18,400/μL、Hb 11.9g/dL、Plt 15×104/μL、TP 6.0g/dL、Alb 3.0g/dL、AST 54IU/L、ALT 20IU/L、BUN 41mg/dL、Cr 2.0mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.8mEq/L、Cl 105mEq/L、CK 2,199mg/dL、CRP 14.29mg/dL、HCO3- 20.4mmol/L、乳酸1.3mmol/L。尿定性;尿蛋白(3+)、尿潜血(3+)、尿沈渣;赤血球5〜9/HPF、白血球10〜19/HPF。髄液;細胞数1未満/μL、ブドウ糖109mg/dL、蛋白25mg/dL。

経過:尿グラム染色には明らかな菌体を認めなかったが、セフカペンピボキシルのpartial treatmentの影響と考え、「尿路感染」の診断のもとセフトリアキソン2g/日を開始した。血液培養にて、図1の菌体が2セット中2セット4本(好気・嫌気ともに)で認められた。

I LOVE Urinalysis|シンプルだけどディープな尿検査の世界・13

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Case

患者:81歳、女性。

現病歴:数カ月前から食欲低下が出現。1週間前から衰弱が進行し、動けなくなった。1カ月前までは水分は摂れており、1日数回の排尿もしっかりあったが、尿色が濃いことに気づいていた。

苦手克服|野獣のリアル勉強法・16【最終回】

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 昨年秋、毎年恒例の「野獣クラブ合宿」にて(詳細はp.461)、昼夜を徹して繰り広げられたケースカンファレンスの症例数は実に17題。そのなかから、「最も勉強になった」と評された“ベスト症例”のディスカッションの一部をご紹介します。

 2017年1月号からの本連載も今回が最終回。「万年研修医」と宣言する熱くワイルドな勉強家集団は、これからも貪欲に学び続けます! ご愛読ありがとうございました。

オール沖縄!カンファレンス・16

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CASE

患者:47歳、女性。

主訴:胸痛。

既往歴:甲状腺機能亢進症(20歳台で投薬加療歴はあるが、現在はなし)、気管支喘息。

生活社会歴:職業は事務員。飲酒・喫煙歴なし。

家族歴:母・姉に気管支喘息。

現病歴:現在は特に病院の定期通院はない。職場健診では特記すべき異常は指摘されていない。来院当日の朝、起床後に突然発症の胸痛が出現し、改善がないとのことで救急要請され、当院へ搬送となった。胸痛は朝から徐々に増悪傾向であり、胸骨背面に手掌大の範囲に鈍い痛みを感じる。放散痛はなく、呼吸や体位での症状の変化はない。

55歳からの家庭医療|明日から地域で働く技術とエビデンス・16

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 医師ならば誰でも知っているテクニカルタームに、「pathogenesis」という言葉があります。これは「病因論」と訳され、疾患がどのような原因とメカニズムで生じるのかについて、微生物学や生化学、生理学、病理学などの諸領域の成果で説明することと言えます。

 医学教育において、pathogenesisに関して獲得しなければならない知識量は膨大で、多くの時間を費やします。そのためか、医師は比較的自然に「健康とは疾患がない状態のことである」という前提に立っている場合が多いです。疾患を診断し治療することで健康な状態が得られる、というふうに考えがちなのです。そして、「健康であること」が実際には何を意味しているのか、ということについては、あまり深く追求しないものです。

こんなときオスラー|超訳『平静の心』・16

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 講演「古き人文学と新しき科学」が行われたのは、オスラー先生が70歳の1919年、第一次世界大戦(1914〜1918年)終戦の翌年である。オスラー先生はこの大戦で、一人息子を亡くされた。この講演には、オスラー先生の戦争に反対する痛烈な想いと、平和への願いが込められている。

総合診療専門医セルフトレーニング問題・13

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セッティング

あなたは大都市郊外の無床診療所で、3人体制で診療をしている。ここでは尿検査(定性のみ)と、X線や心電図検査は所内で行い、血液検査はすべて外注である。CT、MRI、上部消化管内視鏡検査および入院は、車で30分の総合病院に依頼している。

投稿 GM Clinical Pictures

毎日鼻血が出ます 小宮山 雅樹
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CASE

患者:39歳、女性。

主訴:繰り返す鼻出血。

病歴:中学生の頃から鼻出血が始まり、月経前に増える傾向にあるが、平均してほぼ毎日、鼻出血がある。稀に舌からの出血もある。

既往症:特記すべきものはなし。

家族歴:母方の祖父と母親も同じように、頻回の鼻出血が認められる。2人の子どもには鼻出血はない。

身体所見:舌に、複数の小さな血管病変が認められる(図1)。

検査所見:RBC 345×104/μL、Ht 32.0%、Hb 10.5g/dLで、軽度の貧血が認められる以外、特記すべきものはなし。

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#編集室に届いた執筆者関連本

#医学書院の新刊

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 クリニックの外来に備えておくべき必読書が出版された。これを読破し目の前の患者さんに応用すれば、日常診療のコモンな症候に対して、検査なしで診断に迫れます。開業医も高齢化が進んでおり、読みやすい(文字が大きい)、わかりやすい、患者さんに簡単に応用できる臨床本が必要です。

 ある症候に遭遇した際に、診断の肝である「病歴」を聴取し「身体診察」を行い、陽性/陰性所見を数値化し、それを合算して、診断の“確からしさ”を導き出します。数値が高ければ、診断の確からしさ(検査後確率)が高まり、「検査」は確認するだけの作業になります。検査偏重の自分から脱却できるかもしれません。たとえば、熱があるから条件反射的にインフルエンザ迅速検査、CRP検査を行う必要がなくなり、疾患の確率を考えて検査する医師に変貌できます。

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『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2018年1月  『総合診療』編集委員会

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次号予告

基本情報

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総合診療
28巻4号 (2018年4月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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