診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・13
下肢深部静脈血栓症を疑った時
亀田 徹
1
1安曇野赤十字病院救急科
pp.547-552
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201468
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はじめに
2点エコーは素早く施行できます!
深部静脈血栓症(deep venous thrombosis、以下DVT)は、筋膜より深い部位にある静脈に生じた血栓症を指します。急性肺塞栓症の約90%は下肢のDVTに起因するとされています1)。下肢DVTの画像診断において、超音波は第一選択に位置づけられており、検査室で専門技師によって行われることが多いと思います。下肢DVTの標準的超音波診断法に基づき、通常は下肢全体の深部静脈、表在静脈の一部、場合により腸骨静脈と下大静脈まで評価が行われます2)。全下肢エコー(whole leg ultrasonography、図1a)とも呼ばれるこの手法は最も確実ですが、十分な経験のある検者が高性能装置を用いて行うべきであり、相応の検査時間を要します。診察を行う医師がベッドサイドで行うことは現実的ではありません。
Point-of-Care超音波については、総大腿静脈と膝窩静脈のみを素早く評価する2点エコー(2-point ultrasonography、図1b)の有用性が、多くの臨床研究を通じて示され、急性期診療で積極的に利用されるようになりました3)。大腿静脈(浅大腿静脈)、大腿深静脈(深大腿静脈)も加え、鼠径部から膝窩部までの深部静脈を評価する近位下肢エコー(proximal ultrasonography、図1c)も提唱されています4)。
本稿では、point of careとして施行可能な2点エコーと、近位下肢エコーについて解説します。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年3月31日まで)。
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