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Pitfall Case
急性の嘔吐、下痢で発症したステロイド使用中の女性
患者:重症筋無力症に対してプレドニゾロン50mg/日を内服している、不妊治療中の30歳、女性。
現病歴:冬のある日、来院前日の夕方から全身倦怠感と食欲低下あり。来院当日の深夜0時、急に悪心が出現して胃液様の嘔吐が4回あり、その後悪寒と下痢が出現したため、救命救急センターを受診した。同居している配偶者に症状はない。来院時、血圧96/58mmHg、脈拍数110回/分、呼吸数24回/分、体温37.7℃、体重49kg(通常51kg)。呼吸が荒く、嘔吐を続けている。腹部は平坦軟だが、全体に軽度の圧痛を認めた。血液検査ではNa 138mEq/L、K 3.0mEq/L、Cr 0.80mg/dL、WBC 12,800/μL、Hb 14.7g/dL、CRP 0.19mg/dL。インフルエンザ迅速抗原検査およびHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)定性検査は陰性であった。
臨床経過:来院後に排便なく、嘔気は改善したが水分摂取量が十分でないので、「急性胃腸炎疑い」として補液しながら病棟入院となった。病棟ではインフルエンザ流行のため個室調整が難しく、大部屋に入院となった。翌朝軟便があり、検体提出したところ、ノロウイルス便迅速抗原検査陽性となった(注:来院後嘔吐はあったが排便がなかったので、ノロウイルス便迅速抗原検査は提出されていなかった)。水分摂取可能で嘔気も消失し、電解質も正常化していたので退院。患者には、自宅内でのトイレ使用方法の注意と清掃方法を説明し、同居者にも同症状が出現しうることを説明した。患者が使用した病室およびトイレの環境清掃は、次亜塩素酸で速やかに行った。また、病棟内の患者に嘔吐・下痢症状の出現がないか、1週間は注意しておくように、感染対策担当者から指示を受けた。
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