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患者:78歳、男性。
主訴:発熱、意識障害。
生活歴・既往歴:ADL部分介助。糖尿病(神経障害・網膜症・腎症合併)および認知症で当院に通院中。10年前に前立腺肥大の手術、半年前に腹部大動脈瘤に対しステント留置。海外渡航歴・ペット飼育歴・動物曝露歴などなし。
薬剤歴:クロピドグレル、アスピリン、ランソプラゾール、ロスバスタチン、アムロジピン、オルメサルタン、リナグリプチン。
現病歴:2日前まで元気。1日前から38℃の発熱とぼーっとした感じが出現したため近医を受診し、セフカペンピボキシルとアセトアミノフェンを処方されて帰宅した。いったん解熱し症状も消失したが、入院当日に悪寒戦慄が出現したため、ご家族が救急要請した。
身体所見:血圧110/52mmHg、脈拍数110回/分、体温39.3℃、呼吸数20回/分、SpO2 99%(室内気)、GCS(Glasgow Coma Scale)E3V3M4=11点。頭頸部に明らかな所見なし、項部硬直なし、Kernig徴候/Brudzinski徴候ともに陰性、胸腹部に明らかな異常所見なく、CVA(肋骨脊柱角)叩打痛は両側陰性。前立腺触診にて圧痛を認める。神経学的所見は従命できないため正確な把握は困難だが、瞳孔4mm/4mmで左右差なく対光反射も正常、腱反射亢進・減弱なく病的反射も認めない。
検査所見:血液;WBC 18,400/μL、Hb 11.9g/dL、Plt 15×104/μL、TP 6.0g/dL、Alb 3.0g/dL、AST 54IU/L、ALT 20IU/L、BUN 41mg/dL、Cr 2.0mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.8mEq/L、Cl 105mEq/L、CK 2,199mg/dL、CRP 14.29mg/dL、HCO3- 20.4mmol/L、乳酸1.3mmol/L。尿定性;尿蛋白(3+)、尿潜血(3+)、尿沈渣;赤血球5〜9/HPF、白血球10〜19/HPF。髄液;細胞数1未満/μL、ブドウ糖109mg/dL、蛋白25mg/dL。
経過:尿グラム染色には明らかな菌体を認めなかったが、セフカペンピボキシルのpartial treatmentの影響と考え、「尿路感染」の診断のもとセフトリアキソン2g/日を開始した。血液培養にて、図1の菌体が2セット中2セット4本(好気・嫌気ともに)で認められた。
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