特集 感染症外来診療「賢医の選択」—検査・経口薬・ワクチンをどう使えばいいんですか?
【感染症関連検査のChoosing Wisely—白血球とCRPを越えて】
溶連菌迅速抗原検査および培養
上原 由紀
1
1順天堂大学大学院医学研究科感染制御科学/総合診療科
キーワード:
溶連菌感染症
,
溶連菌迅速抗原検査
,
咽頭培養
,
偽陰性
,
センターのスコア
,
クライテリア
Keyword:
溶連菌感染症
,
溶連菌迅速抗原検査
,
咽頭培養
,
偽陰性
,
センターのスコア
,
クライテリア
pp.476-479
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201443
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Pitfall Case
咽頭の溶連菌迅速抗原検査が陰性の急性扁桃炎の1例
患者:24歳、男性。
既往歴:幼少時から咽頭扁桃腫大があり、成人後も年2〜3回扁桃炎をきたしている。
現病歴:3日前から急激な咽頭痛と発熱をきたし、以前処方されて家に残っていた経口第三世代セフェム系薬とNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を内服したが、嚥下痛が強くなり発熱も続くため、内科外来を受診した。
NSAIDs内服下で体温37.2℃、強い嚥下痛を訴える。咽頭扁桃は両側とも腫大し、発赤と白苔の付着を認める。また、両側性に前頸部から顎下のリンパ節腫脹と圧痛を認める。
両側の扁桃から白苔を採取して溶連菌迅速抗原検査を行ったが、陰性であった。しかし嚥下痛が強いため、耳鼻科にも診察を依頼したところ、両側とも扁桃周囲膿瘍となっていた。入院のうえで切開排膿およびペニシリンG点滴による加療を行い、回復した。膿瘍内容のグラム染色では、多数のグラム陽性レンサ球菌を認めたが、培養では発育しなかった。
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