看護学雑誌 30巻12号 (1966年12月)

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 これが本来の土台となるべき看護教育内容,と示された新しいカリキュラム!それへの期待はそのまま教育現場での実践への不安ともなろう。すべて整備された水準にあるとはいえぬだけに……。どう考えてゆけばよいのか,その問題点を話しあっていただいた。

話し合いを読んで

致命的な専任教員の不足 平山 朝子
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 看護教育の現状に対する問題点は,それをうける学生の側,実施する教師の側,学校を付属としてもつ病院の側などさまざまの立場から考えることができます。ここでは主として教育を実施する側,教師の仕事の現状とその問題点に検討を加えカリキュラム変更問題を考える材料にしたいと思います。

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 今度,厚生省・文部省から看護学校のカリキュラムの改正案が出されたことは,看護教育関係者にとってはよろこぶべきことであると同時に,新カリキュラムの検討にとどまらず,看護教育について考えてみる大切な時期であると思う。専任教員としてやっと3年を経た未熟な者ながら,身のひきしまるようなこの頃である。新カリキュラム改正に関して感じていることを2,3の点について私見を述べてみたいと思う。

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 高等看護学校のカリキュラム改正案が出されたことを知って,まず考えたことは,「カリキュラムの改善で,看護教育が改善されるのか」,さらに「たとえカリキュラムの改善で,教育が改善されたとしても,それを生かして働ける現場の条件があるだろうかということだった。毎日仕事に追われてあくせく働きながら「看護」とは何か,今私のしていることが看護なのか,と常に考えている現場看護婦として,現状を冷静にみつめながら,看護教育のことを考えてみようと思う。

看護制度とカリキュラム

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はじめに

 敗戦の荒廃のなかから,新しい文化国家,福祉国家をめざし,希望にもえて出発した私たちでした。憲法第25条はすべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は,すべての生活部面について,社会福祉,社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めなければならない。

と国民の生存権,国の社会保障的業務をあきらかにしめし,私たちを支え,励ましてくれました。──私たち──看護職にあるものはこの実現のための働き手なのだ,そうした自覚が働く女性としての私たちにさらに生き甲斐を与えました。

新カリキュラムに思う

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看護教育の目指すもの

 看護教育の目標は「卒業したらすぐに役立つ看護婦をつくるのではなく,将来伸びる可能性のある人を育てる」ことにあるといわれます。しかしその目標は看護教育だけにいえることではなく,どの教育においてもいえることであり,あえて看護教育において,そういわなければならないところに問題があると思います。すなわち,その言葉の背景をよく考えてみますと,現在の医療機関において,いかに看護婦の手が待たれているかを察することができるからです。

 最近,よく「看護学は人間学である」といわれます。かつての看護の中心は「病気の看護」にありました。しかし最近では「病人の看護」つまり病気をもった“人”の看護に変わりつつあります。人──すなわち人間の看護をするためには,「人間とはいかなるものか」を知らなければなりません。今まで私たちが学んできたのは,生物学的人間とその人間がかかる病気に関してでした。しかし人間は,単に生物学的な意味だけで生きているのではありません。高度な精神活動をするところに人間たる所以があり,また,人間はたった1人だけでこの世に生きているのではなく,個々の人がお互いに関わり合いをもって生きています。そして,個々の人間はそれぞれに個性をもっているのです。

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 さきに文部省から「看護学校(3年制)教育課程改善案」が,続いて看護学について「教授要目案」が発表された。それに対して厚生省から有識者の意見をまとめた「意見要旨」が出され,いま看護学校養成所長会議を開いて,それの検討がなされようとしている。来年4月の「指定規則」改正を目標に,いまや看護教育はあわただしく胎動を続けている。

 それに対して,おおかたの看護教育担当者はこの改正案の主旨に賛成で,学校らしい学校に一歩近づけられたもの,そして総合看護の理念がうきぼりにされ,新しい看護学の体系づけがなされたと,非常な期待をもって迎えられているように思う。その反面,現実を顧みた時,あまりに多い問題に頭をかかえると同時に,厚生省の改正はその必須条件ともいえる。人的および物的な面であまり期待できないことを感じて,困惑しているのが現状ではなかろうか。

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 看護教育制度の改正については,それを要望し期待していただけに,新カリキュラムに多少疑問を感じる以外,総体的には賛成で,改正を担当された方がたのご努力に対して,心から敬意を表したい。

 新カリキュラムが,将来,大学に移行できる形で整理統合されている点で,看護教育の目標に一段と近づいた感じはするが,しかし実際の運営面で,かなりの問題が残されているように思う。

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はじめに一言断わっておくが,これは公的な立場の人間ではない,あくまでも私一個人の考え,いわば私見である

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はじめに

 「変わり種高校またひとつ。全国ではじめてのこころみ看護高校」と新聞紙上をにぎわして,神奈川県に県立二俣川高校(衛生看護科)が誕生したのは,昭和39年4月でした。そして,翌40年度には公立10校,私立7校,続いて41年度には公立13校,私立23校(24学科,定時制3を含む)と,29都道県に合計52校,55学科が開設され,その定員も2,785名で全国の准看護婦養成所(高校衛生看護科も含め)定員25,882名の1割以上を占めるまでになりました。その志願者も,二俣川高校での39年度3.45倍,40年度1.52倍,41年度2.03倍という競争率に見られるように,かなり多数にのぼっているようです。

 「……現在,准看護婦の養成機関は中卒者を対象とする准看護学院があるが,二俣川高校の場合,准看学院にない高校卒の資格が与えられることからも,あくまで学校教育の一環として,高校教育,とりわけ女子教育における広い意味の厚生に関する学科を履修させるために設置された。こういう意味で,この学校は看護婦不足の解消をねらったものではなく,また単なる看護婦養成機関だけでもない。現代女性としての教養を高め,家庭婦人になったとき,家族の健康管理に専門的知識を応用できるし,また公衆衛生の仕事に従事することもできる。

看護教育制度のあゆみ 伊藤 隆子
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 看護教育を規制している保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則の改正がいよいよ実現されようという時期にきている。現在の構想ではまず看護婦,准看護婦の部分を改正し,続いて保健婦,助産婦にも改訂を加えていこうとしている。

 看護教育を改めていく必要性は,看護という仕事が社会の要望にあわせてその内容を高めていかねばならないことと同時に,看護関係者の念願であった教育機関の整備と,そこで行なわれる学習方法が各種の無駄をはぶきより効率的に行なわれるとともに,視野の広い人間性の豊かな看護職員の育成ということにあると思われる。

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新カリキュラムの発想と問題点

 ここに表示されているのが,現行3年制高看教育の時間数と,文部省案厚生省意見の三者対比である。(これは「看護教育」8月,9月号掲載の厚生省資料による)

 一目でどんな形で変わるのか,また時間数配分の問題点など明らかにされるものである。この新教育内容はどんな方向で打ちだされたのか。文部・厚生両案の解説の大要を以下に紹介しよう。

日本看護史の旅・12

四天王寺(大阪) 石原 明
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 日本看護史の第1ページを飾る聖徳太子(573〜621)については伝説が多いが,大阪の四天王寺(いにしえの難波の荒陵)に来てみると,太子のおもかげが寺にそこはかとなく感じられる。

 推古天皇の元年(593),太子は国内平定の大政が成就したので,かねてから信仰していた“四天王”(仏教の敵を亡ぼす4体の守護神)に感謝の意を表すべく,四天王寺を建立した。この当時の海外交通の要地にあたる難波の地にあり,わざと入口を西方に向け,石の鳥居を作って極楽浄土にゆく因縁の地としたという。また,境内に施薬・療病・悲田・敬田の4院を設けて,あまねく諸人の救済につとめられたともいう。

ナースのための臨床薬理

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3.チォフェニコールThiopheniool TP

 クロラムフェニコール(クロロマイセチンCM)の近縁の化合物で化学構造の点ではCMのNO2基をCH3SO2に量換しただけのものである。イタリアでつくられ,外国名はUrfamycinという。

 抗菌性:効く菌の種類はCMと同じでブドウ球菌,赤痢菌感染に効く。プロテウス,緑膿菌には感受性が低い。消化管よりの吸収がよく,血中濃度の維持も高い,しかも尿中へ活性型で排泄されるので,尿路感染症には特によいといわれる。胆汁中の濃度も高い。

看護の椅子

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 高等看護学院のカリキュラム改訂が検討され,この小文が読者の眼にふれる頃には,関係方面の意見調整も終って新しい指定規則決定の段階にきていることと思う。私もこの問題に関与した一人として新しいアイデアに基づく立派な看護婦の生れることを心から期待している。ただし,このカリキュラム検討の過程において各教科目の選択,その授業時数とか教科の具体的内容についてはかなりつっ込んだ意見が交されたことと思うがさらに深く掘下げてそのデテイルに至るまでは十分にdiscussされなかったのではないかと思われるのは,検討する時間が制限されていたことや,その他の関係上止むを得なかったとはいえ,やはり心残りであり,とくに後述の2点については,今後参考書の編集,あるいは実際教育の場面において徹底的に吟味する必要があると考えている。

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 ハチ切れそうな若さが充満している。秋の陽ざしがさし込む窓から健康そうな乙女たちの笑い声が流れてくる。そっとのぞいてみる,先生も笑っている,学生も笑っている。教室内の机を全部廊下に出し,教壇をステージ代わりに学生が楽しそうに動きまわっている。そんな明かるいのびのびとしたムードの中で勉強がすすめられて行く。重苦しい講義形式の静態化した授業とは,ガラリ一変した,これはまさに“動きある授業”である。

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開会式を中心に

 晩秋を想わせる10月の仙台で、1、2日の両日にわたり、第15回全国看護研究学会が開かれた。今回は鈴木厚生大臣を迎えるなど、看護界のもつ社会的な重みをまざまざと見せる一方、参加者7000人というそのマンモスぶりが際だった。総合会場となつたスポーツセンターが、これだけの人を収容したことはかってないこと、と準備委員長の斉田トキ子姉はいわれた。だが要はこれだけの人が、どれほどの成果をこのつどいから得ることができたかという点に、評価の視座がすえられるのだと思う。

医療リサーチ

健康保険の赤字問題対策 水野 肇
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 年中行事のようにもめつづけている医療制度をめぐる問題が,ここ数カ月静かだったが,またこのところちょっといそがしくなりはじめたようだ。

 医療制度をめぐる問題点は,いうまでもなくいろいろとあるが,焦眉の急ということになれば,健康保険の赤字問題にまず指を屈せねばならないだろう。

看護英会話

ORTHOPEDICS 赤松 隆
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 米国のorthopedic surgery(整形外科)は,骨,筋肉疾患,系統的疾患の他に,traumatic(外傷性)のものが占める割合は大きいようです。元来のorthopedicsの他に,plastic surgery(形成外科)が存在し,軟部組織のreconstruction(再建),transplantation(移植)などを専門にやっています。私どもでも,最近は,この二つの分野には一区画が引かれ,専門化されるような気配になって来ています。

 整形外科の患者は,長期にわたる治療が必要なので,medical expense(医療費)の高い米国では,普通にはplaster cast(ギブス)を着けてしまったcaseなどは,どしどし退院させて患者の負担を軽くするようにしています。

医学と看護12月のテーマ

自発気胸 内藤 普夫
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はしがき

 終戦後間もない頃のある晩,一人の青年が友人達に守られて来院しました。患者は虚脱寸前の青白い顔で呼吸促進し,季肋を抑え激痛を訴えます。原因は汁粉らしいというのですが,仲間の集まりで汁粉を作り,賞味しようとしたとたん,口中が猛烈な鹹味に襲われ,思わず吐き出した直後から苦しみ始めたそうです。当時貴重な砂糖を折角手に入れたのに,いざ調味の時に間違ってふんだんに塩を投入してしまった男達の炊事の失敗ですが,こんなことから初めは急性腹症を疑いました。

 しかし右胸の打音は太鼓のようで,呼吸音が無く,レ線透視で右肺は肺門に一握りくらいに虚脱し全く気胸になっている事が分かりました。

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I.はじめに

 自発気胸は電車の中で吊皮につかまろうとしたとたんまたは,ゴルフをしていてクラブを振ったとたんに急激な痛みにおそわれたり,息苦しくなってしまうなど常に突発的に起こります。

 自発気胸は無自覚なもの(軽い自発気胸を起こしているが,自覚症状がなく,たまたま健康診断や他の病気で受診して胸部X-Pを撮り,発見される例も少くない)をも含めて,意外に多くみられます。

連載 麻酔の介助

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I.回復室(Recovery room)

 (1)全身麻酔で手術をうけた患者を手術終了後も手術室の近くの部屋に収容し,種々の器具や薬品を準備して訓練された医師と看護婦により管理される部屋である。

 (2)これにより術後の合併症の予防および治療を速かに効果的に行ないうる。

連載 ナースのための心理学入門 総論・3

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6.コムプレックスについて

 さて,前講で,人間の欲求が満たされないときそれが意識下に抑圧されることをのべましたが,実さいにそんな証拠でもあるのでしょうか。この節ではその抑圧された欲求の亡霊とでもいうべきコムプレックス(complex)についてのべましょう。

 前節でもすこしふれましたが,諸君のなかにはきっと,何かにつけて勝気な,人に負けまいとする性格の強い人がいるでしょう。心理学は,教育学でも倫理学でも,道徳教育でもありませんからそうした人とか性格が〈よい〉とか〈わるい〉とかいった,価値的な判断はいたしません。しかしともかく,われわれは現代の競争社会に生活しているので,つい他人と自分を比較し,容貌とか,頭脳とか,地位とか,あるいはある特定の人(たとえば親とか異性とか職場の上司とか)による認められ方や評判などで,自分が他人よりすこしでもまさっているということが意識できれば,ある意味で,それだけ幸福かもしれません。ところが,自ら他人と比較して,何らかの点で劣っているようなばあい,それでも混乱に陥らないで社会生活を円満につづけ,一応の適応を保つには,人にすぐれたいという欲求は,抑圧されねばなりません。しかし,それが何かにつけて頭をもたげ,たとえば〈代償〉という機制で,別の方面で人にすぐれていることを見出して満足したり,あるいは,つまらぬことをいいがかりにその相手と争い,ときには暴力で制圧しようとしたりすることもあります。

看護□臨床検査

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 昔は医師が自分の受持つ患者の検査は自分で行なった。つまり検査をしようと決心したならば,自分で材料をとり,自分でそれを持って検査室へ行き,自分で検査をし,その成績を自分でカルテに記入したのである。しかし中央検査制度の普及した今日の病院では,医師が検査をしようと決意してから,検査成績カルテに貼付されるまでの間には,多数の人手を経なければならない。加わる人手の数が多ければ多いほど,間違いが起こりやすい。つまり検査成績が出なかったり,まちがった成績が出る可能性が多くなる。それではどんなところで,どんなまちがいが起こるであろうか。

看護□整形外科

器具・用具 園部 梅 , 越智 美津子
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 「この器具(治療方法,看護面)では,どのような人の,どんな所の,何をどうするために,どのような方法で用いるか」ということを十分把握して行なうこと。すなわち,正しく良い答えを得るために計算を十分する,またそこから出た答えを十分活用する,というように,看護は非常に数学的な所があります。

 「どんな病気に,どんな器具を使うか」だけでは狭義の医療であって,病気は治せても,病気の人は治せなくなります。以上のことと,現在注目されますリハビリテーション看護とを,私達の所(整形外科的リハビリテーション)では,どのように解釈しとり入れているかを,今回最終に当り御紹介しておきたいと思います。

看護□社会学

職場の管理(2) 杉 政孝
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職務が職場管理の対象

 職場の管理者は,管理体系の中での位置でいえば第一線のライン管理者である。組織全体の管理の責任をもつトップ・マネージメントやそれぞれの職能部門をまとめて管理する中間管理者と違って,第一線管理者は,実際に業務を遂行する現場の担当者に,もっとも近いレベルにある管理者である。それだけに,現場の担当者と直接的な人間関係ができ,各個人の性格や生活の多くの側面が視野に入ってきて,ややもすれば職場の管理は部下の私的な側面までも含めた全人格的生活管理になりやすい。

 しかし,7月号でも述べたように,職場は職務中心の世界であり,人びとはそこで生活するためにではなく,職務を遂行するために集まっているのである。たまたま,職場集団が小規模で,成員相互の接触の密度が高いために,第一次的な生活集団のようにみえるだけである。したがって,その管理の任にある者からみても,管理活動の対象は常に職務であり,人間を管理するにあたっても,職務遂行行動に関連する側面に対象範囲を限定すべきで,部下の人間的存在や生活のすべてを管理しようと考えるのは,時代逆行的な誤りである。

看護□話し方

忠告の5条件 千名 裕
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忠告とは

 忠告とは、反対の方向に働いている相手の行動なり考え方なりにストップをかけ,こちらの希望する方向に転換させることを目的とした話です。ひらたく言えば“改めさせる”ための話──それが忠告です。

 あらかじめ左に回流している,器の中の水を,右に転回させる場合には,相当の抵抗を排除しなければならないと同じように,忠告をするにあたっては,相手から相当に強い反発がでることが予想されるわけです。忠告をこころみた結果,相手の気持をかえって硬化させ,人間関係を悪化にもちこんだなどという事例は,身辺から数多く拾うことができるものです。

かたらい

『赤い天使』を観て 大木 洋子
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 日本看護協会および連盟が狼火をあげた,大映映画『赤い天使』上映禁止運動は,マス・コミ,週刊誌のものめずらし気な視線をひとわたり集めたところで,立ち消えになり終りそうな気配です。このまま忘れてしまえば済んでしまうことでしょうが,まともに考えたら,これは複雑でしかも重大な問題を含んでいそうな気がします。さきざきのことも考え,思いつくまま問題提起してみたいと思います。まず上映を禁止せよということは,せんじつめればくさいものにはフタをしろ,観ないで済ませということになるわけですが,くさいものをなくすためのこの古典的な方法は,安易なだけにまた大いに問題なのではないでしょうか。少なくとも,あらかじめフタをしてしまう前に,それがほんとうにくさいものかどうかを自分の目で確かめるだけの権利は看護婦といわず誰しもが持てるはずでありましょう。逆にまた,作品を提供する側にも,自分の作ったものがクサイものかどうか,判断してもらうために作品を発表する権利だけはあってしかるべきだと思うのです。近代民主主義社会におけるフェアーなやり方というのはその両方の権利をお互いに認めるということなのですから。上映を禁止せよと主張することは,下手をすると,そのいずれの権利をもまっ殺せよと主張するファシズムの思想と同じになりかねない危険性を伴っています。

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多忙な準備委員長

 斉田さんは忙しかった。

 研究学会2日目,あいにくの雨もようの朝から,昼前にはザンザ降りのなか,3会場にわかれた各分科会をこまめに点検し,その合間にはまた,来賓各位を駅まで見送るなど,ここと思えばまたあちら,牛若丸そこのけの活躍で,なかなかその姿をつかまえがたかった。

カンボジア看護紀行・最終回

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アンコールへ

 黒々と繁るジャングルの中にそびえ立つアンコールの塔,夢の世界にでも迷いこんだのではないだろうかと見まごうほどすばらしいクメールの芸術,幾世紀を風雨にさらされ,樹木に立ちはだかって悠然と生きぬいてきた偉大なる歴史の遺跡群,カンボジアを訪れる時,このアンコールを除外してはカンボジアを見たとはいいきれぬと申しましても過言ではないでしょう。今回はこのアンコールへ御案内致しましょう。首府プノンペンから陸路315キロ,プノンペンを出て約3キロの所トンレサップの流れをフェリーで車ごと渡り道中動物に注意などの道路標識をみながら,カンボジアの南側の村々の豊かな緑を楽しみ,ある時は広漠たる草原をつっ走り,ある時は小ぎれいな町のバンガローで休憩しつつ走ること約6時間,9つの頭をもった蛇ナーガの装飾を欄干にもつ古ぼけた異様な感じの橋,「スピアン・プラプトス」を渡ると間もなくロルオス遣跡群を通過して静かなたたずまいの別荘地シムレアップの町が,有名なアンコールの町として全体に誇り高き香をただよわせつつ観光客を吸い入れてくれます。州庁舎を通りぬけ,きれいに舗装された道路の両側に車の音も吸収してしまうほどの樹木をみながらゲートをぬけると,ほどなく,突然目の中に飛び込んでくるアンコールワットの姿,思わず背を正したくなるような端然たる偉容に「来てよかった!すばらしい!……」という感謝に胸うたれます。

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不具ゆえにいとしさ増すという母に代わりて深夜のミルク与ふる

 〔評〕不具の子ほどかわいいといわれているが,この歌は哀しい親と子と,そして作者とを緊密に結びつけて感動的である。

附録

看護手順 脳神経外科
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検査の介助

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基本情報

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看護学雑誌
30巻12号 (1966年12月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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