医学と看護12月のテーマ
自発気胸
内藤 普夫
1
1関東逓信病院呼吸器科
pp.69-72
発行日 1966年12月1日
Published Date 1966/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912971
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はしがき
終戦後間もない頃のある晩,一人の青年が友人達に守られて来院しました。患者は虚脱寸前の青白い顔で呼吸促進し,季肋を抑え激痛を訴えます。原因は汁粉らしいというのですが,仲間の集まりで汁粉を作り,賞味しようとしたとたん,口中が猛烈な鹹味に襲われ,思わず吐き出した直後から苦しみ始めたそうです。当時貴重な砂糖を折角手に入れたのに,いざ調味の時に間違ってふんだんに塩を投入してしまった男達の炊事の失敗ですが,こんなことから初めは急性腹症を疑いました。
しかし右胸の打音は太鼓のようで,呼吸音が無く,レ線透視で右肺は肺門に一握りくらいに虚脱し全く気胸になっている事が分かりました。
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