連載 こんな方法もあるかもしれない―介護発,武術経由の身体論・10
長座位からの立ち上がり(添え立ち)
岡田 慎一郎
Shinichirou Okada
pp.898-903
発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101334
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介護技術のタブー?
床に座り込んだ人を立ち上がらせる技術
ベッドや車椅子からずり落ちてしまった被介助者を元に戻す際に大変な苦労をした経験を持つ方は多いかもしれません.私も現場でそうした場面に遭遇し,結局は力まかせの介護になってしまうことが多くありました(写真1).
こうした,床に長座した状態の被介助者を抱えあげなければならないシチュエーションは,上記以外にも数多くあります.たとえば,和室で在宅介護生活を送る方のなかには,脚力が弱って畳からうまく立ち上がれない方が多くいらっしゃいます.また最近,知的障害者施設の職員の方からもそれに近い状況の相談を複数受けたことがありました.知的障害者の方と外出した時に,突然路上に座り込んだまま動かなくなってしまうことが少なからずあるそうなのです.スーパーの玄関だったり,駅のホームであったりと,そのまま座りこんでいると,周囲への迷惑だけでなく本人にとっても危険なため,緊急に対応したいのですが,対象者は大柄で,声をかけても動いてくれない.だからついつい力任せに引っぱってしまい,腰を痛めたという方もいました.
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