特集2 患者の気持ち 家族の気持ち 代理決定をめぐる看護の課題
「生きる選択」に伴う問題―経管栄養法導入の決断をめぐって
押川 真喜子
1
1聖路加国際病院訪問看護科
pp.350-355
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100125
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はじめに
高齢社会に突入した現在,医療の進歩とともに,生きる選択肢が広がってきた.老衰で最期を迎えるのが当たり前だった時代から,経管栄養,人工呼吸療法,透析など,何らかの医療処置を受けながら生命予後を延長できる時代になった.
一方,患者のQOLが重視され,さまざまな治療をはじめとする「生きる選択」に関しても患者の自己決定が大切であると誰もが認識する時代になった.しかし実際は,肝心なこの選択を,患者自身よりもむしろその家族が代理で決定せざるを得ない状況も多い.
ただでさえ,いのちを左右する重大な決断であり,患者や家族,そして私たち医療者の間にも,さまざまなとまどいや葛藤が生まれている.実際にはどのような問題があり,また医療者には何ができるだろうか――.こういった問題は一概にこれが正しいと言えるものではなく,倫理的にも難しい課題である.本稿では,筆者の経験から,経管栄養導入の決断を中心にこの問題を整理し,問題提起としたいと思う.
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