看護□社会学
職場の管理(2)
杉 政孝
1
1立教大学社会学部
pp.82-83
発行日 1966年12月1日
Published Date 1966/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912975
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職務が職場管理の対象
職場の管理者は,管理体系の中での位置でいえば第一線のライン管理者である。組織全体の管理の責任をもつトップ・マネージメントやそれぞれの職能部門をまとめて管理する中間管理者と違って,第一線管理者は,実際に業務を遂行する現場の担当者に,もっとも近いレベルにある管理者である。それだけに,現場の担当者と直接的な人間関係ができ,各個人の性格や生活の多くの側面が視野に入ってきて,ややもすれば職場の管理は部下の私的な側面までも含めた全人格的生活管理になりやすい。
しかし,7月号でも述べたように,職場は職務中心の世界であり,人びとはそこで生活するためにではなく,職務を遂行するために集まっているのである。たまたま,職場集団が小規模で,成員相互の接触の密度が高いために,第一次的な生活集団のようにみえるだけである。したがって,その管理の任にある者からみても,管理活動の対象は常に職務であり,人間を管理するにあたっても,職務遂行行動に関連する側面に対象範囲を限定すべきで,部下の人間的存在や生活のすべてを管理しようと考えるのは,時代逆行的な誤りである。
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