現場から
化学療法を受けるがん患者の生活実態とセルフケア行動
竹内 麻紀子
1
,
河野 保子
1
1愛媛大学医学部看護学科
pp.1132-1137
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100818
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がんはわが国の死因の第1位であり,その死亡者数は年々増加傾向にある1).一方で,がん患者の生存率は高くなってきており,その要因としてがん検診等による早期発見,患者の臨床病期に合わせた適正な治療の提供,そして治療技術の進歩などが指摘されている2).なかでも抗がん剤の開発技術の進歩は目ざましい.しかし,化学療法は侵襲の強い副作用(本調査では,副作用は薬理作用のなかで主作用に対する副作用を意味するside effectではなく,薬物有害反応adverse reactionに対応する意味で用いることとする)が多く,患者に身体的・精神的苦痛をもたらす.さらに,患者は長期にわたる治療で生活の変化を余儀なくされている.これらの副作用や生活の変化に対し,自己管理は重要な位置付けにあり,これが十分でない場合は,治療に大きな影響を及ぼす.その結果,患者の治癒の可能性や延命率は低下し,患者のQOLも低下する.それゆえ,化学療法を受けるがん患者は,効果的なセルフケア行動をとる必要がある.
そこで本調査の目的は,化学療法を受けるがん患者の入院生活に伴う諸症状(含副作用)やセルフケア行動の実態を明らかにし,患者のセルフケア行動を促進する看護援助のあり方を検討することにある.本調査ではセルフケア行動を「原疾患および化学療法や入院生活に伴い生じる身体的・精神的諸症状に対して,患者が自分で行なう対処・予防行動」とした.
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