看護の潮 転期にたつ看護教育
新カリキュラムに思う
—教務からの発言—人間中心の看護を学ぶために
内藤 寿喜子
1
1慶応大学医学部付属厚生女子専門学院
pp.34-36
発行日 1966年12月1日
Published Date 1966/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912963
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看護教育の目指すもの
看護教育の目標は「卒業したらすぐに役立つ看護婦をつくるのではなく,将来伸びる可能性のある人を育てる」ことにあるといわれます。しかしその目標は看護教育だけにいえることではなく,どの教育においてもいえることであり,あえて看護教育において,そういわなければならないところに問題があると思います。すなわち,その言葉の背景をよく考えてみますと,現在の医療機関において,いかに看護婦の手が待たれているかを察することができるからです。
最近,よく「看護学は人間学である」といわれます。かつての看護の中心は「病気の看護」にありました。しかし最近では「病人の看護」つまり病気をもった“人”の看護に変わりつつあります。人──すなわち人間の看護をするためには,「人間とはいかなるものか」を知らなければなりません。今まで私たちが学んできたのは,生物学的人間とその人間がかかる病気に関してでした。しかし人間は,単に生物学的な意味だけで生きているのではありません。高度な精神活動をするところに人間たる所以があり,また,人間はたった1人だけでこの世に生きているのではなく,個々の人がお互いに関わり合いをもって生きています。そして,個々の人間はそれぞれに個性をもっているのです。
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