皮膚科の臨床 63巻2号 (2021年2月)

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現病歴 来院4カ月前に右内眼角の腫瘤に気づいた。近くの眼科で切開を受けるも,変化がなかったため,近くの皮膚科を受診した。感染性粉瘤や癤を疑い,抗菌薬を継続するも軽快しないため当院を紹介受診した。

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現病歴 1カ月前より心不全と肺炎で内科入院,抗菌薬の点滴や補液で対処していたが,徐々に体力低下し,食欲不振,経口摂取不可能で口腔内汚染が著明となっていた。右臀部に黒色変化と腫脹をきたしたため,当科を受診した。

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75歳,女性。糖尿病あり。当科受診の6日前から,右下腿に疼痛と腫脹が出現し,増強した。右下腿は発赤,腫脹し,皮膚壊死と水疱形成を認めた。入院後,下腿の皮膚壊死が進行したため,壊死性筋膜炎と診断した。CTにてガス像を認めた。初診時の皮膚潰瘍の組織と水疱内容液からAeromonas hydophilaが検出された。抗菌薬ピペラシリン/タゾバクタムには耐性を示したため,メロペネム水和物(メロペン®),セフェピム塩酸塩水和物(マキシピーム®)を投与し,広範囲デブリードマンを施行して回復した。手術時の壊死組織からも同菌が検出され,起因菌と断定した。自験例は,糖尿病はあったが,肝疾患などの合併症がなかったため救命し得た。

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28歳,男性。未治療の重度アトピー性皮膚炎あり。発熱,悪寒,全身の紅斑および苔癬化により入院となった。全身検索を行い,経胸壁心臓超音波検査所見にて僧帽弁後尖に疣腫を認め,感染性心内膜炎と診断した。経過中,疣腫によるものと考えられる脳塞栓症を併発し,開心術施行まで時間を要した。アトピー性皮膚炎を背景とした感染性心内膜炎の頻度は高くないものの,皮疹が重度であるほど併発する可能性が高い。起因菌としてはブドウ球菌が多く,塞栓症などの重症合併症をきたす割合も高くなる。全身状態不良なアトピー性皮膚炎に遭遇した際は,感染性心内膜炎の可能性を念頭に置く必要があり,予防の観点からも日常診療において適切な皮疹の管理が求められる。

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86歳,男性。リウマチ性多発筋痛症でプレドニゾロン10mg/日を長期内服中。初診2カ月前より皮疹が出現し当科を紹介受診した。右下口唇から右下顎に連続性に紅色小結節が集簇し,一部に黄色痂皮や血痂を伴っていた。病理組織像で,辺縁に好酸性棍棒体を有するドーナッツ状の菌塊がみられ,皮膚放線菌症と診断した。抗菌薬内服後の歯科診察で,同部位に歯牙欠損があるも明らかな歯性感染症はなかった。抗菌薬内服2週間で皮疹は改善し,計5週間内服で終了とした。施設入所中の寝たきり高齢患者であり,ステロイド薬の長期内服に伴う免疫能低下を背景に,歯牙欠損部位から口腔内常在菌である放線菌が唾液により流涎し連続性に皮疹が形成されたと考えた。

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70歳,女性。皮膚科初診の3週間前より,右口角に腫瘤が出現し,徐々に増大して痛みを伴っていた。当科受診時,下口唇白唇口角部に17×15mm大の淡紅褐色の弾性軟な腫瘤を認め,炎症性偽腫瘍を疑い切除生検を行った。病理組織像では,真皮内に好塩基性顆粒が集簇した菌塊とその辺縁に好酸性の棍棒状突起を認め,actinomycosisと診断した。診断後,アモキシシリンを内服し,14週間を経て瘢痕を残し治癒した。Actinomycosisは,細菌培養による検出率は比較的低く,自験例のように,病理組織検査の特徴的な所見によって菌の同定に至ることが多い。細菌培養で検出できなかった場合には,菌種同定のために16S-rRNAによる遺伝子解析が必要と考えた。

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78歳,男性。4日前に左前腕に有痛性の腫脹が出現した。左上肢に潰瘍を伴った局面,膿瘍,皮下硬結が不規則列序性に分布しており,スポロトリコーシスなどの深在性真菌症と,一般細菌の混合感染を考えた。このためアンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム配合剤点滴とイトラコナゾール内服を開始し,硬結はほぼ消失して炎症所見も正常となったが,4週間後に膿と組織からNocardiaが検出された。このためリンパ管型ノカルジア症と診断し,内服をスルファメトキサゾール/トリメトプリム合剤に変更して6週間後に治療終了とした。菌種はその後Nocardia brasiliensisと同定された。肉眼的な膿瘍の場合スポロトリコーシスは否定的で,ノカルジア症の早期診断には塗抹検査による情報収集が重要と考えた。

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62歳,女性。60歳時成人Still病と診断され,プレドニゾロン,メトトレキサート,シクロスポリンにて加療されており,易感染状態であった。CRP,フェリチン値が上昇したため当院入院。38°C台の発熱と右下腿腫脹および発赤,疼痛が出現したため当科紹介受診となった。細菌性蜂窩織炎と考えセフェム系抗菌薬を投与するも皮膚症状,CRPともに改善を認めなかった。成人Still病の増悪を疑い全身検索を行ったところ,胸部CTで肺野に結節影を認め,喀痰培養よりNocardia novaを検出し,肺ノカルジア症から続発した皮膚ノカルジア症と考えた。また当院において経験したノカルジア症の4症例について背景にある基礎疾患やノカルジアの菌種について考察を加えた。

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33歳,女性。第4子妊娠中。初診の1週間ほど前より右示指に疼痛が出現したため当科を受診した。爪囲炎の診断でアモキシシリン水和物の内服を開始したが症状は増悪し,右示指全体の腫脹と指尖部の皮下膿瘍をきたした。MRIにて右示指末節骨に骨髄炎像を認めたためメロペネム水和物の点滴投与に変更し,その後,セフメタゾールナトリウム,セファレキシン投与にて加療継続したところ症状は改善した。膿の培養よりYersinia enterocoliticaを検出し,薬剤感受性試験でアモキシシリン水和物耐性であることが判明した。Yersinia enterocoliticaによる皮膚軟部組織感染症は極めてまれであり,妊娠中であったことが発症に影響していた可能性が考えられる。

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現病歴 2週間前ほど前より,側頭部の抜け毛が増えたことに気づいた。近医で経過をみられていたが,脱毛が進行して眉毛も脱落するようになったため,当科を紹介受診した。

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21歳,女性。妊娠28週6日,自宅での墜落産により救急搬送された。外陰部から肛門周囲に扁平隆起性丘疹と結節が混在して認められ,梅毒血清反応検査が陽性であった。病変部の病理組織学的検査で,真皮に多数の形質細胞と表皮細胞間と真皮血管内皮にスピロヘータの浸潤がみられ,扁平コンジローマと診断した。髄液検査でFTA-ABS testが陰性で神経学的所見もみられなかったが,内服アドヒアランスの問題などを考慮して,神経梅毒に準じた治療としてベンジルペニシリンカリウム(ペニシリンGカリウム)400万単位を4時間ごとに14日間投与した。RPR値が治療3カ月半後には自動化法で治療前の2分の1となり,治癒したと考えられた。

巻頭言

無常 黒川 一郎
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2020年,「子年」で暴れまわる,荒れると言われていますが,想定外に荒れた1年であったと思います。コロナウイルス感染症(COVID-19)は2019年12月に中国で起きた「対岸の火事」とほとんどの日本人が考えていましたが,その後,欧州,米国へ拡がり,日本にも上陸し,現在も感染が拡大し,今後も予断を許さない状況にあります。

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現病歴 6年前に特に誘因なく両側下腿に紫斑が出現した。その後,感冒を契機に皮疹が悪化し,両下腿のしびれも出現したため,5年前に当科を受診した。皮膚生検の結果は皮膚白血球破砕性血管炎(以下LCV)であった。血液検査ではIgA-κ型のM蛋白血症を認めたが,全身骨X線検査ではpunched out lesionを認めず,骨髄検査の結果からmonoclonal gammopathy of undetermined significance(以下MGUS)と診断された。その後,紫斑は自然に軽快したため治療は行わず,当院血液内科で定期的に経過観察をしていた。4カ月前より下肢全体に紫斑が出現したため当科を再受診した。

Dr.斎田の皮膚科診断講座

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症例情報 60歳代の女性。数カ月前,下腹部に結節が生じているのに気づいた。初診時,同部に径5mmの広基性に隆起する淡紅色結節が認められ,弾性やや硬に触知した。全摘生検された組織所見を図1~4に示す。

ちょっと一息 医局ラウンジ

第38回 三重大学
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「医局員を守る」と公言,実行してきた山中教授の指導のもと,各医局員が,県外~世界へつながり,羽ばたくことを目指している医局です。医局員それぞれの「やりたいこと」を,最大限応援する方針の職場です。

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多発する馬蹄形,環状の紅斑を2症例経験した。2症例ともに末梢血好酸球数の上昇はなかったが,病理組織像では真皮浅層の血管周囲性に好酸球とリンパ球を主体とする炎症細胞浸潤を認めた。ステロイド内服治療にて速やかに皮疹は消退し内服終了後も再燃なく経過している。環状紅斑の鑑別疾患として,Wells症候群,遠心性環状紅斑,水疱性類天疱瘡,慢性遊走性紅斑,匍行性迂回状紅斑,蕁麻疹様血管炎,蕁麻疹などがあがり,特に好酸球性環状紅斑はWells症候群との鑑別で議論されることが多いが,自験例では特徴的な環状紅斑と病理組織学的所見より好酸球環状紅斑と診断した。

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65歳,男性。1カ月前より強い瘙痒を伴う丘疹が出現した。近医で多形慢性痒疹と診断されステロイド内服と外用,紫外線照射をされたが改善なく,採血検査でHb 7.3g/dlと貧血を認めた。初診時,略全身にびまん性の褐色局面を認め,腰部では敷石状に褐色丘疹が集簇,腹部ではdeck-chair signを認めた。病理組織検査で真皮上層に浮腫と血管周囲性のリンパ球および好酸球の浸潤がみられた。精査にて大腸癌stage Ⅳと判明し,腫瘍随伴性の丘疹紅皮症(太藤)と診断した。大腸癌切除後皮疹は改善した。これまで本疾患において腫瘍の切除により皮疹が改善した症例は自験例以外にも報告されており,悪性腫瘍と本疾患の発症には何らかの関連があると考えられる。

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82歳,女性。6年前に両側下腿に紫斑が出現した。病理組織学的所見では皮膚白血球破砕性血管炎で,血液検査ではIgA-κ型のM蛋白血症を認めた。多発性骨髄腫は否定的で,monoclonal gammopathy of undetermined significanceと診断した。紫斑は自然に軽快し,無治療で経過観察していた。4カ月前より両側下肢全体に点状紫斑が出現した。プレドニゾロン30mg/日の経口投与で一旦改善するも,漸減終了後に再燃し,さらに両側下腿に難治性の潰瘍を発症した。自験例ではM蛋白血症に重症な皮膚症状を伴っており,Lipskerの提唱するmonoclonal gammopathy of cutaneous significanceに該当するものと考える。

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83歳,女性。3カ月前より両下腿に紫斑が出現した。病理組織像で明らかな血管炎はなく,血管周囲の炎症細胞浸潤および赤血球の血管外漏出,血管内の好酸性物質貯留を認めた。各種検査よりIgG-κ型の多発性骨髄腫と診断した。アミロイドーシス,クリオグロブリン血症,特発性血小板減少症の合併はなかった。多発性骨髄腫に対する化学療法により経過は良好である。本邦における多発性骨髄腫により生じた紫斑の症例報告では,過去35年42例のうち,アミロイドーシスによるものが23例と最多で,自験例のように免疫グロブリン高値に伴う血管塞栓により紫斑を生じた報告は4例と比較的まれであった。

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76歳,男性。糖尿病のためリナグリプチン内服。約42カ月後に体幹,左手関節周囲に瘙痒を伴う緊満性水疱が出現した。病理組織像では表皮下水疱を呈し,免疫ブロット法で200kDa(p200)蛋白に対する抗体を認めたため,抗ラミニンγ1類天疱瘡と診断した。リナグリプチン中止後,ミノサイクリン塩酸塩(200mg/日),ニコチン酸アミド(600mg/日)を開始したが,水疱形成が続いたため,プレドニゾロン(30mg/日)を追加した。約6カ月後には水疱新生はおさまり,約13カ月後にはすべての薬剤を中止した。経過中,水疱は体幹や大腿にも生じたが,四肢遠位,頭部にほぼ限局していた。自験例はリナグリプチン内服42カ月後に発症しており,DPP-4阻害薬が疾患の発症に関与した可能性も考えられる。

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10歳,女児。6歳時より前頸部,両足外果後方に褐色斑の出没を繰り返していた。石鹸では洗い落とせず,ある程度強く擦り落としていたが,すぐに再燃した。同部には網状,不整形の灰褐色斑がみられ,ダーモスコピーでは褐色角化物が皮溝を避けるようにモザイク状に配列し,terra firma-forme dermatosisと診断した。アルコールで拭き取れるのが特徴であるが,誤って使用したチオ硫酸ナトリウムで除去することができた。本症は本邦で小児型アカツキ病とも表されているが,通常のアカツキ病とは異なり良好な衛生状態で生じる。本症はあまり知られていないが,不必要な検査や治療を避け,すぐに症状を取り除くためにも,その疾患概念を知っておく必要があると考える。

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61歳,男性。3年前より右上口唇に結節を自覚し,徐々に増大してきたため当科を受診した。初診時,右上口唇に自覚症状のない,径15mm大の弾性硬,上方に突出した紅色結節を認めた。病理組織学的所見では,断頭分泌を伴う管腔構造と粘液腫様変性が主体で,その他,角質囊腫や毛芽細胞様細胞,陰影細胞がみられた。以上より,自験例をアポクリン型皮膚混合腫瘍と診断した。アポクリン型皮膚混合腫瘍は毛包脂腺アポクリンユニットに由来するとされ,しばしば毛包への分化を示すことがある。しかし,自験例のように陰影細胞を含めた多彩な毛組織への分化を示した症例の報告はまれであり,本邦報告例について文献的考察を加えて報告した。

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25歳,女性。初診3年前より右腋窩皮下腫瘤を自覚した。初診時,右腋窩に10.0×6.6cm大の弾性軟の皮下腫瘤がみられた。超音波検査にて副乳と診断し,全切除術を施行した。病理組織像では乳腺組織のなかに線維性被膜に包まれた境界明瞭な病変があり,浮腫状の間質と線維芽細胞が乳管を取り囲むように増生しており,線維腺腫を伴った副乳と診断した。副乳に線維腺腫が合併することは比較的珍しく,また,副乳には自験例のような良性腫瘍のみならず悪性腫瘍が合併することもあり,切除された際の病理組織検査にて合併腫瘍が偶然見つかることもある。副乳を疑った場合には合併腫瘍に留意し,画像検査だけではなく摘出標本による病理組織検査も考慮する必要があると思われた。

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70歳,男性。2年前に腰背部に紅斑が出現し,1年前より徐々に拡大し,中央が隆起した。現症は腰背部の10×7cm大の淡紅色~紅褐色の境界明瞭な紅斑で,中央に径3cm大の弾性硬の紅色腫瘤が存在した。紅斑部のダーモスコピー像では点状の黒褐色点が散在していた。病理組織学的に,表皮から真皮下層までPaget細胞が胞巣状,孤立性に増殖,断頭分泌像を有していた。辺縁1cm,筋膜上で切除し,センチネルリンパ節は陰性であった。術後1年,再発転移はない。異所性Paget病はまれな疾患で,ダーモスコピー所見の記載もほとんどないことから,症例報告とした。

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61歳,男性。悪性胸膜中皮腫と診断され,化学療法を5年間施行されるも胸部病変は緩徐に拡大した。診断の6年後に頭部に複数の紅色結節が出現し,その1つが増大して腫瘤を形成した。頭部腫瘤は組織学的に悪性胸膜中皮腫の皮膚転移と診断した。原発巣および転移巣の異型細胞はともに中皮腫マーカーのHEG1蛋白陽性であった。両者はp16遺伝子ホモ接合性欠失を認めずBAP1蛋白陰性であり,表現型の一致をみた。上皮型悪性胸膜中皮腫の平均生存期間が16.9カ月であるのに対し,この表現型では同31.7カ月である。自験例は診断7年後に死亡した。上皮型悪性胸膜中皮腫のなかに長期生存症例が少数存在することが今回再確認された。

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76歳,女性。初診の数年前に右足背に結節を生じ,徐々に増大した。初診時,右足背に径24mm大の皮下腫瘤があり,被覆皮膚は常色,弾性硬,皮下との可動は不良であった。超音波検査では皮下に31×27mm大の境界明瞭な皮下腫瘤があり,MRI検査では足背に趾伸筋腱に接して低信号の腫瘤を認めた。全摘術を施行し,病理組織学的に膠原線維が増生,膨化,硝子化し,線維芽細胞の増生や粘液腫状変化があり,fibroma of tendon sheathと診断した。Fibroma of tendon sheathは,腱あるいは腱鞘に生じる比較的まれな良性軟部腫瘍で,皮膚科領域での認知度は低い。本稿では,fibroma of tendon sheathの臨床的特徴,病理組織学的特徴を述べ,さらに類似した腫瘍であるgiant cell tumor of tendon sheathとの鑑別について考察した。

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50歳,男性。多量飲酒歴あり。1年前から両側の腹部腫瘤を自覚し,当科を受診した。腹部に弾性軟の皮下腫瘍が左右対称性にあり。腹部単純CTで皮下に被膜を有さない多房性の脂肪濃度の皮下腫瘤を認めた。病理組織像で,異型のない成熟脂肪細胞の増生を認め,良性対称性脂肪腫症と診断した。機序は不明だが,多量飲酒歴のある30~60歳代の男性に多く,頸部,体幹,四肢近位部に好発する。本邦では頸部,体幹,上肢のいずれにも生じた症例の報告が多く,自験例のように体幹のみに生じた症例は比較的まれである。また,通常の脂肪腫と異なり被膜を有さず周囲との境界が不明瞭であり,腫瘍の残存および再発の可能性があるため注意深い経過観察が必要と思われた。

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25歳,女性。2カ月前より左側会陰部の皮下腫瘤を自覚した。MRIにてT1強調像で低信号,T2強調像で等~高信号の径2cm大の腫瘍を認め,切除生検を施行した。病理・免疫組織学的所見およびFISH(fluorescence in situ hybridization)法による22番染色体q12転座検出より,骨外性Ewing肉腫と診断した。皮膚原発の骨外性Ewing肉腫はまれであるが,外陰部例は自験例を含め本邦では4例と非常にまれである。また,Ewing肉腫の確定診断には染色体転座の検出が望ましいが,凍結組織が不可欠となる。小円形細胞腫瘍群の鑑別に際しEwing肉腫に感度・特異度が高い免疫組織学的マーカーとしてNKX2.2の有用性が注目されており,針生検で検体組織量が十分ではない場合などでもEwing肉腫の診断に有力であると思われる。

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67歳,女性。初診の2年程前から顔面頸部に一部びらんを伴う紅色丘疹が出現し,他院で抗菌薬外用や内服の処方を受け寛解と再燃を繰り返していた。初診1カ月前より,抗菌薬投与でも消退しない皮下硬結を触れる紅色丘疹の新生がみられ,当科を紹介受診した。初診時,顔面頸部に一部びらんを伴う紅色丘疹が散在していた。病理組織像で真皮全層から皮下組織にかけて好酸球,リンパ球浸潤と,腫大した核をもつ血管内皮細胞が内腔に突出する異常血管の増生がみられangiolymphoid hyperplasia with eosinophiliaと診断した。経過観察にて皮疹の新生と自然消退が同時にみられた。寛解と再燃を繰り返す皮疹では,積極的に皮膚生検術を行うことが重要である。

憧鉄雑感

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久々に有益な論文を読んだ。無論,長らくお付き合いいただいている読者は皮膚科論文でないことなど容易にお気づきであろう。繰り返しになるが,本稿は “有益な記載を一切排し無益な記載に徹する” を鉄則とする。本誌の投稿規定は “新知見が必須” とされるが,本稿は論文ではなく査読も受けぬ治外法権である。なお,編集委員の先生方の論文査読に始まる辛労辛苦は想像以上のものであり,斯様な駄文に費やす暇なんぞ欠片もない顕職の如きである。くれぐれも読者は拝謝されたい。

MiniReport

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現病歴 初診の約1年前から口腔内頰粘膜に白色局面を認め,改善がみられないため精査を希望して当院を受診した。

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現病歴 初診の2カ月前より右第3趾先端部に有痛性結節が出現し,潰瘍を伴うようになったために当科を受診した。

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現病歴 数年前より右頰部の皮下腫瘤を自覚した。初診1年前より増大し,疼痛も出現したため当科を紹介受診した。

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目次

英文目次

投稿規定

著作財産権譲渡同意書

Information

次号予告

編集後記

基本情報

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皮膚科の臨床
63巻2号 (2021年2月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0018-1404 金原出版

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