臨床雑誌内科 114巻5号 (2014年11月)

高齢者の感染症はこう診る-外来・病棟から在宅まで

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高齢者診療であっても感染症診療の原則は同じであるが,鑑別診断があがりすぎることがある.病歴聴取・身体所見ともに難渋する一方,バイタルサインや問題となる疾患については意識を高める.病歴聴取・身体所見ともに,患者背景を意識した項目は適切に判断する.高齢者診療における曖昧さを認識し,患者や家族にも説明することを心がける.

高齢者の感染症の疫学 早川 佳代子
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高齢者人口の割合は今後も増加し,2035年には全人口の3人に1人が高齢者になると見込まれており,高齢者の感染症も増加すると予想される.高齢そのものによる易感染性に加え,高齢者介護施設への在住,基礎疾患に対する在宅や入院での加療,基礎疾患そのものなど,若年者とは異なる背景をもつ.高齢者の感染症でとくに頻度が高いものとして,下気道感染症,尿路感染症,皮膚軟部組織感染症がある.感染症の起因菌が若年者と異なることに注意する.高齢者介護施設では,疥癬,ノロウイルスやインフルエンザ感染症,結核などが問題になりやすい.病院や高齢者介護施設内での薬剤耐性菌の感染拡大にも注意が必要である.

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加齢に伴う免疫機能の変化は「免疫老化(immunosenescence)」と呼ばれている.T細胞はCD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞に分けられ,CD4陽性T細胞のうち,細胞性免疫を担うのがTh1細胞,体液性免疫を担うのがTh2細胞である.この2つのTh細胞の機能低下(獲得免疫の低下)が免疫老化の最大の特徴である.B細胞は形質細胞,メモリーB細胞として体液性免疫を担うが,加齢に伴うTh2細胞の機能低下による分化・増殖の停滞のほか,クラススイッチ低下などの加齢による影響を受ける.自然免疫は生体防御機構の最前線として,好中球,マクロファージ,NK細胞などが担っているが,これらの細胞の働きにも加齢が影響を及ぼしている.獲得免疫および自然免疫の基本的な流れのなかで,加齢という要素がどのような形で影響を及ぼしてくるのかを確認する.

肺炎 丸山 貴也
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高齢者にとって肺炎は生命を脅かす疾患であり,肺炎による死亡者の95%以上を65歳以上の高齢者が占めている.肺炎の分類のなかでもっとも高齢者の頻度が高い医療.介護関連肺炎(NHCAP)には耐性菌の頻度が高い群が存在するため,耐性菌のリスクを評価した初期治療の選択が必要である.嚥下機能の低下した高齢者の肺炎発症には誤嚥が関与する頻度が高く,口腔ケアが重要である.肺炎の原因微生物のなかでもっとも頻度が高く,重症化しやすいとされているのが肺炎球菌である.インフルエンザウイルスに感染後に肺炎球菌性肺炎を合併すると重症化することも明らかとなっており,肺炎の発症を予防し,重症化を抑制するためにはインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを両方接種することが重要である.

尿路感染症 堀野 哲也
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頻尿や排尿痛,脊椎肋骨角の叩打痛などの典型的な尿路感染症の症状を呈さないことも多く,せん妄や生活機能の低下も尿路感染症を疑う重要な所見である.無症候性細菌尿の頻度が高いため,細菌尿や膿尿というだけで抗菌薬を投与する適応にはならない.ディップスティック法は,尿路感染症を除外するために有用な検査である.プロカルシトニンが正常範囲内であっても,尿路感染症を否定することはできない.患者の入院歴や地域の薬剤感受性の動向を考慮して抗菌薬を選択する.クランベリージュースの尿路感染症の予防効果については,さらなる研究が必要である.

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高齢者は,皮膚の退行変化による局所の免疫力低下と,さまざまな要因による全身性の免疫力低下が重なり,皮膚軟部組織感染症(SSTI)を発症しやすい.高齢者のSSTIは,さまざまな要因から発見が遅れやすく,重症化しやすい.SSTIの多くは溶連菌と黄色ブドウ球菌が原因菌であるが,基礎疾患がある場合や院内発症では,グラム陰性桿菌,MRSAなどが関与してくる.溶連菌の一種であるStreptococcus dysgalactiae subsp. equisimilis(SDSE)によるSSTIが増加傾向である.高齢者の蜂窩織炎は訴えに乏しいことが多く,見逃されやすい疾患であることに注意する.壊死性筋膜炎は急速に進行する致死的な病態であり,早期に疑い,早期のデブリードマンを行うことが重要である.

菌血症 竹下 望
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高齢者の感染症は若年者と比較して,いくつかの診断上の注意点がある.第一に,基礎疾患の存在である.第二に,症状,所見が時として取りにくいだけでなく,症状も菌血症として発熱などの典型的な症状がないことである.とくに,状態によっては,コミュニケーションが困難であることもある.第三に,生活環境の違いである.それにより,医療関連感染のリスクを考慮する必要性を判断する.菌血症については頻度だけでなく,重症化もしやすいため,可能な限りフォーカスとなる臓器を絞り込み,医療関連感染などのリスクを考慮した経験的な治療をあわせて適切な治療を行う必要がある.

結核症 八木 一馬 , 長谷川 直樹
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わが国の結核罹患率は減少傾向にあるが,依然として中蔓延状態にある.結核患者の高齢化が進んでいる.2012年の新登録結核患者の半数以上を70歳以上の高齢者が占め,罹患率の減少速度も高齢の年齢層でより鈍化傾向にある.高齢者の結核既感染者が多いため,内因性再燃による発症が多いと考えられているが,外来性再感染による発症を示唆する報告もある.高齢者肺結核では,初期の自覚症状が乏しく,胸部X線所見上も有空洞率が低く,典型的な画像所見を示さないことがある点に留意する.80歳以上の高齢者にはPZAを含まない標準治療(B)法が推奨されているが,副作用の発現に注意しながらPZAを含む標準治療(A)法を試みてもよいかもしれない.高齢者結核では,結核発症時点ですでに全身状態や免疫力の低下を伴う基礎疾患を有していることが多く,その予後は不良である.

帯状疱疹 本田 まりこ
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帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化で生じる.50歳以降の高齢者に多く,80歳までに3人に1人は罹患するといわれている.帯状疱疹後神経痛は3ヵ月以上疼痛が続くものをいい,高齢者や免疫力の低下している者に多い.抗ウイルス薬の多くは腎臓から排泄されるものが多く,腎機能が低下している高齢者では投与時腎機能に合わせて薬用量を決定する.

インフルエンザ 内藤 純行 , 國島 広之
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高齢者のインフルエンザは肺炎合併などのこともあり,慎重な対応が必要である.発熱と咳嗽は陽性尤度比の高い症状である.肺炎の原因菌は肺炎球菌やインフルエンザ菌が多く,これらを含む医療・介護関連肺炎のことがある.診断においては,迅速診断キットの限界も理解しつつ,流行状況なども鑑み判断する.薬物治療においてはタイミングが重要であり,発症から48時間以内が有効である.ワクチンの発症防止効果は十分でないものの,重症化防止効果が高いことが知られている.日常生活における呼吸器衛生・咳エチケットの励行および手洗いの励行が肝要である.

ノロウイルス感染症 岩渕 千太郎
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ノロウイルス感染症は冬期に流行し,急速に広範囲に拡大する.高齢者においては,嘔吐・下痢による脱水・電解質異常,吐物の誤嚥などが問題となる.病院や高齢者が入所している施設などの流行に対しては,症状に基づいた早期の症例認知と感染対策が重要である.

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在宅医療における発熱診療の特徴は,そこに「暮らし」があるということだ.限られた医療リソースのなかで診断し,暮らしのなかで可能な治療方針を家族と一緒に模索することが求められる.在宅医療では,医師の役割は相対的に低下し,家族の観察力や訪問看護師の判断力が重要である.このことは一方で,家族や訪問看護師の力量によって,発熱診療のスタイルも変わってくることを意味している.治療選択に完全な正解はありえず,どの選択をしたとしても失敗する可能性は拭えない.そうした失敗によるリスクを自覚していることが重要で,次に,在宅ケアのリソースを活用することで,そのリスクを最小化することを検討しなければならない.

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施設高齢者は一般在宅の高齢者と比較すると,病状の進行した介護度の高い患者が多く,発熱の頻度が高い集団である.呼吸器感染症,尿路感染症,軟部組織感染症が,頻度の高い感染症である.バイタルサイン,発熱時の評価法についてスタッフを教育し,方針を共有するのが重要である.診断のために費やせるリソースに限界があるが,感染症診療の原則通り診断名を明らかにしたうえで抗菌薬投与の適応を判断すべきである.患者に期待される予後も踏まえて,発症した感染症の診療の場をどこに設定するかを個別に検討し,場合によっては看取りも視野に入れた方針を考慮する.抗菌薬の投与期間は,感染症の診断名に応じて決定する.集団発生が疑われる場合は,行政に報告する.

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外来での診療は病棟でのそれと比較して(1)診療に長く時間がかけられない,(2)物的・人的リソースが限られている,という制約がある.しかも高齢者は典型的な症状を呈しにくい場面があり,訴えもはっきりしないことがある.このような限られた状況のなかで,的確に判断を下して治療を行うのは至難の技である.病歴聴取では,非典型的症状を呈することを念頭に置きつつ,家族や介護者を巻き込んで効果的に問診を行い,ADLや基礎疾患,常用薬などの背景も踏まえて患者を捉えることが鍵である.リソースが限られた外来,とくに診療所や小中規模病院ではバイタルサイン,身体診察によって疾患に迫ることができるスキルが必要で,clinical prediction ruleは利用すべき有用なツールである.治療では敗血症などの重症例を的確に判別し,外来通院か入院治療かの判断がもっとも重要で,経口抗菌薬はバイオアベイラビリティ,相互作用などを意識する必要がある.

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加齢によって生理機能が低下している高齢者の抗菌薬の用量設定では,的確に腎機能を評価し,抗菌薬の特性に合わせた維持投与量,投与間隔を設定する.PK-PD理論に基づいて投与設計されるべきで,用量依存的に腎障害を起こすアミノグリコシド系薬やグリコペプチド系薬については治療薬物濃度モニタリング(TDM)が必須である.呼吸器感染症や尿路感染症で汎用されるフルオロキノロン系薬の副作用には,高齢者で気を付けるべき痙攣や血糖降下作用,QT延長などがあげられるが,その発生頻度等は各薬剤で異なる.高齢者の抗菌薬治療においては,使用上の注意点を理解して使用するとともに,腎機能への配慮と使用中の注意深い副作用モニタリングが重要である.

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肺炎球菌ワクチンは,とくに侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の予防に重要である.2014年10月より,23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンが高齢者に対する定期接種の対象となった.一方,同年6月に高齢者に対する沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンが承認されたが,定期接種の対象にはなっていない.これら2つのワクチンの接種時期,使い分けには今後注意が必要である.インフルエンザワクチンは,インフルエンザの重症化や合併症の予防に重要で,高齢者にとって肺炎球菌ワクチンとの併用も大切である.

高齢者の不明熱 清田 雅智
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高齢者の発熱は,同じ病気に罹患しても若年者とは異なる.高齢者で不明熱を呈する場合は,若年者と異なり診断はつきやすい.結核,感染性心内膜炎,膿瘍,巨細胞性動脈炎を最初に考慮する.

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高齢女性に発症したcrowned dens syndrome(CDS)の3症例を経験し、臨床経過とCT像について述べた。症例1は90歳、症例2は84歳、症例3は89歳で、全例発熱と後頸部痛、頸椎回旋障害が見られ、症例1、2には関節痛も見られた。症例1は下痢を主訴とし、胃腸炎があった。症例2は胃消化管腫瘍後癒着性イレウスの既往があり、蜂窩織炎を発症していた。全例炎症反応が高く、頸椎CTにて歯突起周囲に石灰化を認めた。症例1と3では偽痛風の既往、症例2では膝関節穿刺からピロリン酸カルシウムの存在が明らかになり、CDSと診断した。症例1と2はNSAIDs不応にてプレドニゾロン投与にて改善し、症例3はNSAIDsにて改善した。

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61歳女。4ヵ月前から後頸部から両上肢痛があり、咽頭痛、発熱、咳嗽を主訴とした。CRP上昇と赤沈亢進を認めたが、偽痛風、膠原病、細菌検査は陰性で、上気道炎を併発したリウマチ性多発筋痛症(PMR)と診断した。入院後に高熱は消失したが、咳嗽と上肢痛は改善せず、炎症反応が不変のため、PMRに対してprednisolone 15mg/日を開始したが、症状と炎症反応は不変であった。巨細胞性動脈炎を疑い、右側頭動脈生検を行うも、陰性であった。造影CTにて腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈に起始部にびまん性壁肥厚を認め、血管炎の所見およびPRMの合併より巨細胞性動脈炎と診断した。prednisolone 40mg/日に増量したところ、自覚症状と炎症反応は消失し、ステロイド減量でも再燃は認めず、動脈壁の肥厚は消失した。その後も経過良好でステロイド中止後2年経過したが、再発は認めなかった。

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60歳男。10年前より慢性B型肝炎と指摘され、7年前よりlamivudineとadefovirを投与していた。adefovir内服開始1年後からCr上昇、2年後から血清ALP上昇、3年後に低リン血症が認められたが診断されずにいた。また、4年前には左足関節骨折、3年前には右股関節骨折と外傷歴がない骨折が認められた。今回、全身痛と体動困難を主訴に入院した。CTにて両恥骨骨折、外傷歴のない病的骨折、低リン血症、ALP高値を認めた。骨軟化症と診断し、%TRP低値、代謝性アシドーシス、低尿酸血症、腎性尿糖を認め、Fanconi症候群と診断した。adefovir内服後から腎機能障害、血清ALP上昇、低リン血症を認めたため、adefovirによるものと診断した。治療はadefovirの減量、ビタミンDおよびビスホスホネート製剤を投与した。治療経過は良好で全身痛消失し、杖歩行可能となり退院した。

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83歳男。心筋症に伴う不整脈により薬物治療を行っていた。動悸、めまいを発症し、24時間心電図にて心停止が頻回にみられたため精査入院となった。入院時心電図にて洞調律で単発の心房性期外収縮(APC)(P')が見られたが、頻脈も心房静止(AP)も見られなかった。24時間心電図にて単発のAPCにてAPが出現していた。P波からAP中の洞性P波(P'')までは基本調律(P-P)のほぼ6倍であった。P-P'は心電図にて0.64秒、0.60秒、0.52秒と短縮し、P''-Pは0.04秒、0.16秒、0.24秒と延長していた。さらに、P'にて著明に長いAPが出現していた。His束心電図にて単発の心房刺激にてAPが出現し、頻回心房刺激にて長いAPが出現した。これらのAPとP''波出現時期をP-P間の倍数軸でプロットしてみると、P''は出現推定時期より多少早めに出現していた。単発のAPCが洞結節(SN)をキャプチャーし、SNはresetされ新しい洞調律が起こると考えられた。体内ペースメーカーの植え込みと薬物治療の併用を行い、経過は良好であったが、肺炎にて死亡した。

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64歳男。突然の喀血がみられ、持続したため当院救急外来となった。既往歴は数年前より高血圧を指摘されるも無症状であったため放置していた。喫煙歴は20~64歳まで20本/日×24年であった。胸部X線所見で、左下肺野を主体に浸潤影を認め、右下肺野にも浸潤影がみられた。胸部CT像では、左舌区主体にスリガラス陰影とコンソリデーションが認められ、右中葉にも斑状に同様の所見と左下葉にもスリガラス影がみられた。検査データより免疫学的機序によるびまん性肺出血は否定され、神経学的異常はなかった。高血圧が喀血の誘因と考え、nicardipine hydrochlorideを点滴投与し、血圧の低下とともに喀血を伴う外来は軽減した。止血剤としてcarbazochrome sodium sulfonate hydrate、tranexamic acidを投与し、3日後の気管支鏡検査にて左舌区入口部に凝血塊を認め、出血源はその末梢側と考えた。降圧薬を内服に切り替えamlodipine besilate、losartan potassiumを投与し、血圧は安定した。禁煙を勧め、血痰消失後に退院した。発症から17日後のCTにて左舌区にわずかにスリガラス陰影を認め、拡張した気管支動脈は認めなかった。

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61歳女。労作時呼吸困難を自覚し、血液検査にて白血病が疑われ、当院入院となった。検査所見では、白血球分画で芽球を12.5%認められ、骨髄穿刺にて芽球がANCの70%を占め、芽球の約20%がMPOの染色陽性であった。また、芽球はMPOとともにCD19、CD79a陽性で、mixd phenotype acute leukemia、B/myeloid、not otherwise specifiedと診断した。itraconazoleの投与と化学療法を開始したところ、血球減少が遷延した。骨髄生検では、やや低形成髄で、小円形細胞を多数認められ、骨髄穿刺検査では核小体をもたない成熟リンパ球様細胞が90.5%占めていた。フロ-サイトリー解析にて、リンパ球様細胞はCD19、CD33陽性で白血病細胞であると考えられた。汎血球減少は寛解導入療法後2ヵ月を経過しても遷延し、頻回に輸血を要した。CT検査では肝脾に多発性膿瘍を認めた。β-Dグルカン高値より慢性播種性カンジダ症と考え、抗菌薬を投与し、再寛解導入は断念した。ステロイドを開始したところ、汎血球減少から回復し、輸血非依存となり、退院したが、発熱、全身倦怠感にて再入院した。再入院後の芽球は白血球分画で32.0%、ANCの77%で、芽球の約20%がMPO染色陽性であった。肝脾膿瘍はほぼ消失し、急性リンパ性白血病に対する治療を施行したが、寛解は得られず死亡した。

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76歳男。褐色尿を主訴とした。定期受診の際、ビリルビン尿を指摘され、黄疽を伴う高度肝機能異常を認め、精査目的で入院となった。血液検査にてトランスアミナーゼ優位の肝障害を認め、抗核抗体は1280倍と高値で、抗セントロメア抗体も陽性であった。腹部エコー検査では門脈域の肥厚を認め、腹部造影CT検査では、肝内でグリソン鞘の浮腫性変化とperiportal collar signを認めた。また、総胆管は軽度拡張し、十二指腸乳頭部直上に径4mmの総胆管結石を認めた。胆管検査にて結石は認めず、自然落石と考えた。臨床経過から閉塞性黄疸は否定的であった。抗核抗体に対し肝生検を施行したところ、interface hepatitis、emperipolesis、rosette formationの所見を認め、自己免疫性肝炎(AIH)に典型的な組織像と考えた。さらに、血液検査にてHLA-DR4陽性が判明した。prednisoloneの投薬を開始したところ、肝機能の検査成績は改善し、再燃は認めなかった。

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31歳女。全身性エリテマトーデス(SLE)により、prednisolone(PSL)とtacrolimusの治療を行っていた。妊娠を機にPSL単剤にて加療されていたが、妊娠35週4日に発熱、鼻出血、著明な血小板減少を認め、当院入院となった。SLEの再燃と考え、PSLとガンマグロブリン大量療法と血小板輸血を施行したところ、血小板数は回復をみられたが、発熱が持続するため感染症を疑い、血液培養検査よりListeria monocytogenesを検出し、ampicillin(ABPC)に変更した。胎児の予後と母体のSLE悪化の危険性を考慮し、帝王切開にて挙児を行い、母体と児を別々に治療した。妊娠36週2日で児は出生し、身体所見に異常はなく、リステリア感染の徴候は認めなかったが、予防投与でABPCを5日間行い、現在も順調に発育をした。一方、母体は、ABPCを2週間投与し、リステリア感染症の再発はなく、PSLを漸減してもSLEの再燃は認めなかった。

基本情報

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臨床雑誌内科
114巻5号 (2014年11月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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