高齢者の感染症はこう診る-外来・病棟から在宅まで 高齢者で頻度の高い感染症 診断と治療各論
結核症
八木 一馬
1
,
長谷川 直樹
1慶応義塾大学 医学部呼吸器内科
キーワード:
喀痰
,
胸部X線診断
,
結核
,
抗結核剤
,
細菌学的技法
,
発生率
,
予後
Keyword:
Antitubercular Agents
,
Bacteriological Techniques
,
Prognosis
,
Sputum
,
Radiography, Thoracic
,
Tuberculosis
,
Incidence
pp.777-781
発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015016022
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わが国の結核罹患率は減少傾向にあるが,依然として中蔓延状態にある.結核患者の高齢化が進んでいる.2012年の新登録結核患者の半数以上を70歳以上の高齢者が占め,罹患率の減少速度も高齢の年齢層でより鈍化傾向にある.高齢者の結核既感染者が多いため,内因性再燃による発症が多いと考えられているが,外来性再感染による発症を示唆する報告もある.高齢者肺結核では,初期の自覚症状が乏しく,胸部X線所見上も有空洞率が低く,典型的な画像所見を示さないことがある点に留意する.80歳以上の高齢者にはPZAを含まない標準治療(B)法が推奨されているが,副作用の発現に注意しながらPZAを含む標準治療(A)法を試みてもよいかもしれない.高齢者結核では,結核発症時点ですでに全身状態や免疫力の低下を伴う基礎疾患を有していることが多く,その予後は不良である.
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