発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015042040
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64歳男。突然の喀血がみられ、持続したため当院救急外来となった。既往歴は数年前より高血圧を指摘されるも無症状であったため放置していた。喫煙歴は20~64歳まで20本/日×24年であった。胸部X線所見で、左下肺野を主体に浸潤影を認め、右下肺野にも浸潤影がみられた。胸部CT像では、左舌区主体にスリガラス陰影とコンソリデーションが認められ、右中葉にも斑状に同様の所見と左下葉にもスリガラス影がみられた。検査データより免疫学的機序によるびまん性肺出血は否定され、神経学的異常はなかった。高血圧が喀血の誘因と考え、nicardipine hydrochlorideを点滴投与し、血圧の低下とともに喀血を伴う外来は軽減した。止血剤としてcarbazochrome sodium sulfonate hydrate、tranexamic acidを投与し、3日後の気管支鏡検査にて左舌区入口部に凝血塊を認め、出血源はその末梢側と考えた。降圧薬を内服に切り替えamlodipine besilate、losartan potassiumを投与し、血圧は安定した。禁煙を勧め、血痰消失後に退院した。発症から17日後のCTにて左舌区にわずかにスリガラス陰影を認め、拡張した気管支動脈は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2014