総合診療 31巻3号 (2021年3月)

特集 ライフステージでみる女性診療at a glance!—よくあるプロブレムを網羅しピンポイントで答えます。

片岡 仁美
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日本に初めての「女性外来」ができて約20年、まだまだ完全にニーズに応えられているとは言いがたいのが現状です。

「女性」には、女性ならではの生理的・身体的特性があり、発症率が男性より高かったり、臨床的に男性と異なる経過をたどる疾患もあります。

女性の健康に対する、日本の社会的背景の影響も小さくありません。

男女平等やジェンダーの多様性への配慮が社会的に進むなか、「女性診療(性差に配慮した医療)」のさらなる充実が必要です。

でも、「なんとなく苦手」と感じておられる方も多いのではないでしょうか。

そこで本特集では、女性の「ライフステージ」を軸に“よくあるプロブレム”を網羅し、先んじて女性診療の礎を築いてこられたエキスパートの先生方に、Q&A形式でご回答いただきました。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

疾患別INDEX

【提言】

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Case

微小血管狭心症と「閉経」の関連性に気づかせてくれた最初の症例

患者:52歳、女性

現病歴:50歳で閉経してまもなく、教会でのミサの途中に、前胸部に絞られるような強い痛みを経験した。翌日、心電図・エコーなどの検査をするも異常なし。5カ月後、再度ミサの途中に同様の胸痛があり、他院にて心臓カテーテル検査を施行。冠動脈に有意狭窄は認められず、薬物負荷テストにて冠攣縮性狭心症も否定された。ニトログリセリンが処方されたが、胸痛には効かず、頭痛が出現するため服用しなかった。

 その後、胸痛発作の回数が徐々に増え、52歳時に当大学病院を受診。胸痛は主に「安静時」に起こり、5分ほどで消失する。「微小血管狭心症」(p.329)と診断、ジルチアゼム100mg(1日2回1回カプセル)を処方したところ、徐々に胸痛の回数が減少し、日常生活が楽になった。56歳で胸痛発作が消失し、断薬した。

【Ⅰ章】さまざまな角度からみる女性診療

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Q1 「総合診療」における女性診療の特徴は?

 総合診療は、診療所・中小病院・大規模病院など、さまざまなセッティングで提供されている。ここでは、プライマリ・ケアの原則(近接性、包括性、継続性、協調性、責任性)に基づいて総合的な医療を提供するという前提で、「女性診療」におけるその特徴を考える。

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Q1 女性診療で見逃されやすい「内科疾患」は?

 男女共通の疾患でも、罹患率だけでなく、病態・治療法に「性差」があることは、現在では広く知られるようになった。そのきっかけは、1999年の日本心臓病学会で「女性における虚血性心疾患」のシンポジウムが開催され、欧米で提唱されていた「性差医学・医療」の概念を、天野惠子先生(野中東晧会 静風荘病院)が紹介されたことに遡る1)(p.281)。その反響を受け、2001年から性差医学に基づく「女性専門(専用)外来」が全国各地で開設され、日本でも女性における性差医療が幕を開けた2)。日本産科婦人科学会でも、女性に特有な心身にまつわる疾患を主として予防医学の観点から取り扱う「女性医学」を、産婦人科専門医のサブスペシャルティとすることを2014年に認定し、日本女性医学学会が「女性ヘルスケ専門医」認定制度を開始した。

 2007〜2017年に東京女子医科大学東医療センター性差医療部で筆者が担当した女性専門外来では、内科各科に加え産婦人科・精神科・耳鼻科など12専門領域の医師たちが連携し、多数の診療科が連携する「包括的な女性診療」を先進的に展開してきた3)

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Q1 産婦人科医が「総合診療医」「内科医」に求めることは?

 女性患者さんを診察する際には、「エストロゲン」の分泌状態を意識してください。各ライフステージにおける性ホルモン、特にエストロゲンの変動と作用効果が、生殖器だけでなく「生殖器以外」の臓器にも影響することを理解してほしいと思います。

 女性診療では、各ライフステージの特徴を理解し、その時点だけでなく将来を見据えた医療を行うことが重要です(p.282)。内科・産婦人科の連携により、早期にリスクを発見し、適切に対処していきましょう。

【Ⅱ章】ライフステージ別 よくあるプロブレム

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Q1 女性特有の「ライフサイクル」とは?

 女性のライフサイクルは、男性と異なり、大きな「ホルモン変動」の波にさらされている(p.288)。そのうえ、日本女性のライフサイクルは、第二次世界大戦後に大きく変化した(平均寿命の延び、出産数の低下、高学歴化など。p.336)。しかし、生物としての身体やホルモンの仕組みには、ほとんど変化はない。それゆえに増加した疾患もあり、また健康維持のための戦略も変化せざるをえない。まず、「現代女性」のライフサイクルについて、図1に示した。

【Ⅱ章】ライフステージ別 よくあるプロブレム ▼思春期・青年期(10〜20代)

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女性の80%が、下腹部痛や腰痛などの「月経痛」を訴えています1,2)。なかでも、鎮痛薬を服用したり寝込んだりするなど、日常生活に支障をきたすほど症状の強いものが「月経困難症」とされ、特に10代に多くみられます。このなかには、思春期では「子宮内膜症」「子宮奇形」などの器質的疾患に起因している場合があり、鑑別しておくことが必要です。一方、「無月経」には、原発性無月経と続発性無月経がありますが、後述のように受診・治療が必要です。

コラム|帯下の異常 西村 真紀
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Q1 「異常帯下」への対応は、どうすればいい?

Case

抗菌薬服用により「外陰膣カンジダ症」を発症した15歳女性

患者:15歳、女性。最終月経10日前、月経不順なし。性交歴なし。

現病歴:夏のある日、ダンス部の中学3年生が、陰部のかゆみを主訴に母親に連れられ受診した。大会前の月経中、長時間タンポンをして部活動をしていたのでかぶれたのかと母親は考えていた。本人は「おりものが白っぽくぽろぽろとしている。陰部をかきむしった。トイレのビデはちゃんと使っていた」と訴えた。服用歴では、2カ月ほど前から、中耳炎で「抗菌薬」を複数回処方されていた。外陰部の所見は、掻破による発赤があり、膣分泌物検査で「カンジダ」が検出された。膣錠と軟膏を処方し、ビデの使いすぎや石けんでゴシゴシこするのはよくないこと、締めつけない下着と通気性のよい服の着用を勧めた。

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それぞれの患者にとって、やせのメリットを超える、渋々でも体重を増やさざるをえない治療動機を探して強化する「心理教育」を行います。

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Q1 「思春期」の発達課題と危機的状況とは?

 子ども期から大人期へ移行する中間の時間を「思春期」(puberty & adolescence)という。この時期の発達課題は、身体的には二次性徴の発現に始まる性の成熟を受け入れ、心理・社会的には自我同一性(アイデンティティ)を獲得して、独立した一個人に成長することである。しかも、性の成熟は「親離れ」を意味し、生まれて初めてただ1人でこの課題に向き合わねばならず、孤独の中の大きな試練である。

 思春期の心理的特性としては、自己中心性、不安、過敏、感情の揺れとアンビバレンス、性急さなどがあげられ、誰にとっても思春期は精神的に不安定で危機的状況に陥ることも少なくない。思春期の精神障害には、「統合失調症」「気分障害」「不安障害」「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」「身体表現性障害」「摂食障害(p.299)」「性同一性障害」「パーソナリティ障害」などがある。

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性交渉歴は「なぜ訊ねるのか」をよく理解してもらわないと、本当のことを言ってもらえないことがあります。

コラム|HPVワクチン 中山 久仁子
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Q1 「HPVワクチン」について、総合診療医が理解しておきたいポイントは?

 ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)ワクチンは、「HPV感染」と「感染によって発症する疾患」を予防するワクチンである。

【Ⅱ章】ライフステージ別 よくあるプロブレム ▼性成熟期(30代)

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「月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)」と「月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD)」はともに、典型的には月経前数日に、多彩な心身症状が出現(あるいは増悪)し、月経開始後に速やかに(減退あるいは)消退するという周期を繰り返す病態を指す。PMSは、主に「身体症状」が前景となる、より軽症の病像を呈し、産婦人科領域で定義されている。一方PMDDは、主に「精神症状」が前景となる、より重症の病像を呈し、日常生活に支障をきたすもので、精神科領域で定義されている。PMSは感情症状を必須としない点において、PMDDと区別される1)。しかし臨床的には、PMDDの症状が軽い場合、PMSとの線引きは難しい。

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子宮内腔の変形をきたし症状がある子宮筋腫に対しては、「ホルモン療法」や「子宮筋腫核出術」を考慮する。

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筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome:ME/CFS)。

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Q1 「妊娠中・授乳中」の女性のマイナートラブルへの対応は?

 妊産婦であっても、救急や感染症対応の原則は同じです。妊娠中・授乳中でも、安全に使用できる薬はたくさんあります。

コラム|DV被害への対応 加茂 登志子
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Q1 「DV」被害の見抜き方、疑った時の対応は?

 DV(domestic violence)は、パートナー間で起きる暴力であり、被害者は圧倒的に「女性」が多く、男女間の不平等なパワーバランスに根ざしていることが多い(p.292)。

【Ⅱ章】ライフステージ別 よくあるプロブレム ▼更年期前(40代)

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「乳房痛」を主訴に乳腺外来を受診する患者が多い。まず「乳腺炎」や「乳がん」を除外したあと、「良性腫瘤」「女性ホルモン」「薬剤性」などに起因する疼痛を想定し診察を行う。診断や治療に専門性を要すると判断した場合は、乳腺専門外来に紹介する。

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Case

職場健診で中性脂肪が高値で受診した一例

患者:45歳、女性。営業職。

現病歴:1カ月前の職場健診で中性脂肪が189mg/dLであり、二次検診のため来院した。LDL 103mg/dL、HDL 42mg/dLで、他の動脈硬化リスクもなさそうだったので経過観察とした。

 帰り際に、「オプションで子宮頸がんと乳がん検診があったんですが、受けたほうがよかったのでしょうか?」と聞かれた。子宮頸がん検診は9年前の妊娠時以来受けておらず、乳がん検診は今まで一度も受けていないとのこと。どちらの検診も受けたほうがよく、職場健診でも市民健診でも、どちらで受けてもよいとお伝えした。

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Q1 「がんサバイバー」への対応について知っておくべきことは?

Case

患者:45歳、女性

既往・現病歴:34歳時に「乳がん」の診断にて術前化学療法後、手術と放射線治療を受け、その後経過観察されていた。今回、急激に発症した「腰痛」にて受診した。

家族歴:母親が40歳で乳がんを罹患し、その後43歳で逝去。母方の祖母は卵巣がんで逝去。

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「甲状腺機能亢進症/低下症」の自覚症状は、更年期症状と重複するものが多い。40〜60歳の女性の多岐にわたる自覚症状は、「甲状腺機能異常」や「更年期症状」を念頭に診察することが重要。

【Ⅱ章】ライフステージ別 よくあるプロブレム ▼更年期(50代)

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更年期前後の女性や、時には男性においても、「治療に反応しない非典型的な狭心症様の病歴・症状」が、微小血管狭心症を疑う決め手となります。

コラム|線維筋痛症 臼井 千恵
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Q1 「疼痛コントロール」に難渋することが多いのですが、どのように治療を組み立てるべきでしょうか?

 線維筋痛症(fibromyalgia : FM)の痛みは、客観的診断法がないため、病気として扱われず、多くの患者は医療への不信や不満を抱えている。痛みを否定せず傾聴し、生活史および病歴を聴取して現症をとらえる必要がある。今後改善しない可能性や、痛み以外の症状に対する治療の必要性を説明し、同意を得て治療を開始する。筆者の経験上、早期に治療を開始した症例は改善が早い傾向を認める。

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卵巣機能の低下は、50歳前後のすべての女性に訪れる生理的変化である。「性差医療」(p.280)のなかで最も大きな因子であるにもかかわらず、女性ホルモンの変動は見逃されやすい背景である。40代後半〜50代の女性の体調不良は、「器質的疾患」の除外を進めながら、QOLや仕事のパフォーマンスの維持を考え、早めに「更年期障害」の治療につなげることが望ましい。女性に我慢やあきらめを強いる医療者の態度は、医療への信頼を失わせ、社会的損失にもつながると言えよう。

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Q1 更年期の「メンタルケア」の注意点は?

 まず症状が「エストロゲンレベルの低下に関係するものか」を見極め、他の更年期症状についても確認する。精神科受診が必要な状態かを確認のうえ、更年期の心身症と判断したら、「心理療法」「漢方療法」「ホルモン補充療法」「向精神薬」などで治療を行う。

【Ⅱ章】ライフステージ別 よくあるプロブレム ▼更年期以降(60代以降)

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BP製剤の投与方法(経口剤か注射剤か)と投与期間、骨折の有無と骨密度により、「骨折リスク」と「長期投与リスク」の両面から評価し、休薬の必要性を判断する。休薬後の治療再開については、「骨代謝マーカー上昇」や「骨密度減少」が指標となる。

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リングペッサリーにより悪化した尿失禁は「腹圧性尿失禁」です。まず骨盤臓器脱に対して修復手術を施行し、術後に腹圧性尿失禁による困窮度を再度確認したうえで、希望があれば「二期的」に尿失禁手術を受けるのがよいでしょう。

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女性ホルモンに「抗動脈硬化作用」があるため、閉経前の女性に動脈硬化性疾患は稀であり、男性より約10年遅く発症し頻度も少ない。一方で、「虚血性心疾患」の症候が非典型的であること、高齢発症で併存疾患も多くなることなどから発症後の予後は不良であり、死因としては悪性腫瘍より多い。また、リスク因子として、閉経時の「LDLコレステロール上昇」が顕著であること、「喫煙」「糖尿病」によるリスクの上昇が男性より大きいことなどの特徴がある。

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Q1 更年期以降を「健やか」に生きるために必要なことは?

Case

患者:70歳、女性。専業主婦。

既往歴:特記事項なし

現病歴:1年前に10歳年上の夫を亡くし、現在は1人暮らし。子ども2人は独立して近くに住んでおり交流がある。これまで夫の世話や家事に追われてきたので「これからは自由に楽しもう」と思っていたが、億劫で疲れやすく、体力的な衰えを最近感じている。友人もいるが、最近は会って話したり外食する機会もなくなり、楽しいことがなくなってきた。家事などをしても喜んでくれる人がいなくなり、自分が無価値に感じられるようになる。

 対策として、生活のなかで自分が熱中できることを見つけ、そのことで自己肯定感を高めることを提案した。文章を書くことをはじめ、オンラインで書き方教室などに参加して交流する仲間もでき、気持ちが変化しつつある。

Editorial

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 わが国に初めての「女性外来」が設立されてから、約20年が経過しました(p.281)。しかし、そのニーズはますます増えることはあっても、完全にニーズに応えられているとは言えない状況ではないでしょうか。一方で、産婦人科・総合診療科の連携の動きや、サブスペシャルティ領域としていっそうの認知が進んでいることなど、「女性医療」の注目度は高まっています。しかしながら、「何となく苦手」と感じている方もおられるかもしれません。私も、女性診療に積極的に関わる前はそうだったようにも思います。

 私が「性差医療」に導かれたきっかけは、1冊の本との出会いでした。糖尿病専門医として臨床・研究に従事していた医師6年目に、新設された総合診療内科に移ることになり、同科の初代教授の小出典男先生が、天野惠子先生(p.280・314)編著の『行き場に悩むあなたの女性外来』(亜紀書房、2006。p.375)を下さったのです。性差医療の歴史から臨床事例集まで非常に充実した内容でしたが、なかでも「微小血管狭心症」(p.280・329)の概念は印象的でした。私が実際に微小血管狭心症の患者さんに出会うのはその数年後でしたが、本で読んだ記憶と目の前の患者さんの訴えが一致する忘れがたい経験であり、のちにNHKの「総合診療医 ドクターG」でも症例提示させていただきました。

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 HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは定期接種でありながら積極的勧奨を差し控えるという状態が続いているが(p.308)、2018年12月に日本プライマリ・ケア連合学会は3つの声明を発表した。1つは厚生労働大臣に向けての「積極的勧奨の即時再開の要望」、2つ目はプライマリ・ケアを担う医師に向けて、3つ目はワクチンの接種対象者とその家族に向けてであった。その経緯は『週刊医学界新聞』(2019年7月29日発行)に掲載され1)、声明の内容は日本プライマリ・ケア連合学会のホームページ上で閲覧可能である2)。これは、HPVワクチンの有効性と接種後の多様な症状の出現頻度が非接種者と差がないことを示したうえで、接種率を上げるための「積極的勧奨」の即時再開を訴えると同時に、接種後の多様な症状に苦しむ患者に対して、プライマリ・ケアを担う医師による「真摯で積極的な診療サポート」が必要であると謳っている。

 筆者は、そのような患者の診療を少なからず行ってきた。その経験を踏まえ、HPVワクチン接種後の多様な症状を訴える患者に総合診療医はどのように対応するべきなのか、実際の症例を改変して提示し、私見を述べてみたい。

What's your diagnosis?[219]

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病歴

患者:82歳、男性

主訴:左上下肢麻痺

現病歴:来院15時間前までは普段と変わりなかった。来院4.5時間前の起床時にマットから起き上がれなかった。左口角から食べ物がこぼれ、歩行時に左下肢に力が入らず、左側に傾くことにも気づき受診した。

ROS(review of systems)陰性:頭痛、嘔吐、複視、視野障害、痙攣、発熱、意識障害、感覚障害、胸背部痛、頸部痛

既往歴:高血圧症、脂質異常症

薬剤歴:アムロジン5mg、ロスバスタチン2.5mg、アスコルビン酸3g、ランソプラゾール15mg、ベポタスチンベシル酸塩20mg、モサプリドク塩酸塩5mg、イルソグラジンマレイン酸4mg

喫煙歴:20〜50歳×20本/日

飲酒歴:機会飲酒

社会歴:ADL自立、妻と息子と3人暮らし

“コミュ力”増強!「医療文書」書きカタログ・9

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今月の文書

訪問看護指示書

セッティング:診療所→訪問看護ステーションへの訪問看護指示

患者:89歳、女性。進行期の子宮体がん患者。蜂窩織炎の入院加療を終え、退院と同時に診療所からの訪問診療が開始された(前回参照)。

【登場人物】

桜井:診療所で1カ月間の地域研修中。先月は、この患者の入院担当医。

尾内:地域の訪問看護ステーションで働く訪問看護師。

飛鳥:桜井のメンター。

“JOY”of the World!|ロールモデル百花繚乱・14

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 私は現在、聖路加国際病院の副院長を務めながら、日々、乳腺外科・ブレストセンターで「乳がん」診療を行い、「がんサバイバー」の支援にも取り組んでいる(p.325)。夫も同じ病院の腫瘍内科医だ。

 卒後1年目で「外科」を志したが、当時は女性医師にとって「外科レジデント」の敷居は高かった。念願叶って、聖路加国際病院の外科チーフレジデントとなったが、妊娠で一度は断念したその夢を、夫について行った米国で叶えることになろうとは思いもよらなかった。15年間の米国生活のなかで、「乳がん」診療にも出会えた。そして、また聖路加国際病院に帰ってきた(表1)。女性外科医として、女性のがん診療に取り組んできたこれまでを振り返ってみたい。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・51

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CASE

患者:65歳、男性。

主訴:嘔気、歩行困難。

現病歴:来院1カ月前より活気がなく、食事摂取量が低下してきた。来院1週間前には、他院で同様の主訴で点滴を行っている。腹痛はないが、悪心・嘔吐がある。下痢はないが、便秘である。来院当日、嘔吐後に倦怠感強く起立困難であったため、救急搬送となった。頭痛、めまいなし。発熱、悪寒戦慄なし。体重増減なし。他院泌尿器科で膀胱癌に対して化学療法を受けている(化学療法に関しては家族に聴取しても詳細不明だった)。

既往歴:膀胱癌・両側腎瘻、本態性血小板血症、高血圧、糖尿病。

内服歴:アムロジピン5mg、カンデサルタン8mg、テネリグリプチン20mg、バイアスピリン100mg、カモスタットメシル400mg、ラベプラゾール10mg。

家族歴:特記事項なし。

生活歴:ADL(activities of daily living)は自立。

嗜好歴:喫煙5本/日、膀胱癌罹患後に禁酒。

【エッセイ】アスクレピオスの杖—想い出の診療録・11

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本連載は、毎月替わる著者が、これまでの診療で心に残る患者さんとの出会いや、人生を変えた出来事を、エッセイにまとめてお届けします。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!医学と日常の狭間で|患者さんからの素朴な質問にどう答える?・12

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患者さんからのふとした質問に答えられないことはないでしょうか? 素朴な疑問ほど回答が難しいものはないですが、新たな気づきをもたらす良問も多いのではないでしょうか? 本連載では素朴な疑問に、文献的根拠を提示しながらお答えします!

研修医Issy & 指導医Hiro & Dr.Sudoのとびだせフィジカル! 聴診音付・3

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ここはとある病院。研修医Issyは、指導医Hiro先生と共に、忙しい当直業務に追われていました。

【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第12話

分岐点がみえる医者 國松 淳和
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前回までのあらすじ 今月のナゾ

 以前この病院で初期研修を受けていた田山陽輔が、専門医試験を控え症例サマリーを作成しにやってきた。筧は田山との再会で思い出した、記録には残っていない3年前のかすかな記憶を。症例は来院時18歳の湯川伶子、診断は「全身性エリテマトーデス」。活動性が高く精神症状も出ていたが、ステロイド治療を開始し経過は良好にみえたが…。

 前回、田山は、「希望を与える」黒野の病状説明に驚いた。今回、2度目の病状説明でも、田山は3度黒野に感心させられることになる。この病状説明を境にステロイドを減量、しかし浮かない顔の黒野…。一見順調に回復している伶子の治療について、黒野には見えていて、田山に見えていなかったこととは?

投稿 GM Clinical Pictures

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CASE

患者:90歳、男性。

主訴:発熱、左上肢が動かせない。

現病歴:半年前にcrowned dens症候群で入院歴あり。今回は市中肺炎で入院となった。抗菌薬治療で全身状態は改善し、入院7日目に抗菌薬を中止した。しかし、その日の夜から再度37.8℃の発熱があり、左上肢を動かせなくなったため、看護師から相談があった。

身体所見:左上肢が動かないように右手で左上肢を押さえている。診察のために左上肢を他動的に動かそうとすると、痛みで苦悶様顔貌となる。左肩の圧痛あり。

血液検査:WBC 7,100/μL(Neut 70.4%、Lym 18.5%)、CRP 11.76mg/dL。

画像所見:胸部単純CT(図1)。

#総合診療

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#医学書院の新刊

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 本書に出会ったのは約20年前、医学部2年生の時で、偶然、初版が発行されてすぐのことでした。大学生協で立ち読みしていたUSMLE(米国医師免許試験)関連の本の横に並んでおり、感染症の特別講義があった直後だったこともあって手に取ったのです。医学部低学年でも、“すごい本”というのはわかるものです。衝撃を受けたのは、今もその原型をとどめつつデザインが洗練された第1章の「感染症診療の基本原則」でした。頁をめくるたび臨床のリアルがそこに展開され、興奮しました。学年が進むにつれ、初版「序」の記述を地で行くように“無数の感染症治療薬に窒息しかかっていた”自分に、先に進む光を与えてくれた感動を昨日のように思い出します。初期研修医時代には、本書の“名所”の1つである感染症フローチャート(本書p.7)に倣い、紙製の温度版にこれでもかというほどびっしり重要な情報を書き込み、温度版を見ただけですべてが一目瞭然にわかるように整理しました。青木先生が「内科は整理の学問だ」とおっしゃるとおり、この温度版の習慣が症例を頭の中で俯瞰して整理する能力を鍛えてくれたと感じています。

 『ハリソン内科学』と同様に、「総論」部分が本書の価値の中核を成しています。本書は1,700頁超の大著ですが、頁数に圧倒されたり積読になる心配はありません。時間がなければ各論は必要時に参照するとして、購入日のうちにでも確実にお読みいただきたい第1章は、わずか38頁です。しかし、濃密な38頁でもあります。すべてのページが重要ですが、「重症度を理解する」「各論的に考えよう」(p.2)、「やるとなったら治療は徹底的に」(p.4)、「回復のペース、パターンを予測する」(p.5)、「経時的な変化を追う」(p.6)、「基礎疾患と起因菌」(p.13)、「グラム染色に対しての否定的な意見」(p.19)、「治療効果は何と何で判定するか?」(p.35)、「細菌感染症は悪化か改善あるのみ」(p.37)などは、遅くとも初期研修修了までに体感として骨の髄まで染み込ませる必要があると思います。現場に出て発熱患者に途方に暮れないために、次に読み込み制覇すべき章は、第6章「A 不明熱」(pp.441-459)の19頁です。ここまでの領域が頭の中でクリアに整理されていれば、少なくともベッドサイドでコモンな感染症や熱・不明熱のケースに対峙する準備は整ったと言えると思います。

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目次

読者アンケート

『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2018年1月  『総合診療』編集委員会

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基本情報

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総合診療
31巻3号 (2021年3月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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