特集 パーキンソン病大全—あなたのギモンに答えます!
【アドバンス編】
❷パーキンソン病患者の生活の工夫と環境調整
赫 寛雄
1
,
秋庭 優樹
1
,
木村 亮之
1
1東京医科大学 神経学分野
キーワード:
パーキンソン病
,
公的支援制度
,
環境調整
,
転倒予防対策
Keyword:
パーキンソン病
,
公的支援制度
,
環境調整
,
転倒予防対策
pp.930-933
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350080930
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◦パーキンソン病患者に対する情報提供
現時点において、パーキンソン病を根治あるいは進行を抑制する治療法は存在しない。本疾患に対する治療の主たる目的は、患者の身体的機能および社会生活を維持し、生活の質(quality of life:QOL)を保つことにある。
パーキンソン病と診断された患者は、症状の原因が明らかになったことに対する安堵の気持ちと同時に、難病に罹患したことへの不安や恐怖、さらには将来に対する悲観的な感情を抱くことが少なくない。そのため、患者およびその家族に対しては、疾患の概要、治療の目的、ならびに今後予想される経過について、平易な表現を用い、十分な時間をかけて繰り返し説明することが重要である。ただし、病期にそぐわない過剰な情報提供は、かえって不安を助長する可能性があるため、配慮が求められる。これにより患者は日常生活や就労、運動、趣味といった従来の活動を可能な範囲で継続できることを理解し、疾患と共に前向きに生きる姿勢を維持しやすくなる。実際、将来に希望をもたせる説明は、患者のQOLの維持に寄与することが報告されている1)。

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