特集 パーキンソン病大全—あなたのギモンに答えます!
【アドバンス編】
❶パーキンソン病の前駆期—早期発見のヒントになるか?
田口 智之
1
1京都大学医学部附属病院 脳神経内科
キーワード:
嗅覚障害
,
便秘
,
レム睡眠行動障害
,
疾患装飾療法開発
Keyword:
嗅覚障害
,
便秘
,
レム睡眠行動障害
,
疾患装飾療法開発
pp.926-929
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350080926
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パーキンソン病(Parkinson's disease : PD)は、ドパミン神経の脱落および凝集α-シヌクレイン(α-syn)の蓄積を特徴とする進行性の神経変性疾患である。α-synの蓄積はBraakらの連続剖検脳の報告から、下部脳幹の迷走神経背側核もしくは嗅球(Stage 1)から始まり、セロトニン神経の縫線核やノルアドレナリン神経の青斑核(Stage 2)を経由して、ドパミン神経の中脳黒質(Stage 3)へ上行し、最終的には大脳皮質へと進展する1)(Braak仮説、図12,3))。病理学的進展については、末梢臓器を含めた他の仮説も存在するが、Braak仮説に多様性を認めたものである。
主に黒質緻密部に存在するドパミン神経の変性(Stage 3)に関連して、動作緩慢、筋強剛、安静時振戦といった運動症状が現れる。運動症状が出現した時点では、黒質のドパミン神経細胞はすでに50〜70%失われており、この時点での治療介入では病態の進行を抑えることが困難とされている。

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