Editorial
「女性診療」を軽やかに深く
片岡 仁美
1,2
1岡山大学病院 総合内科・総合診療科
2ダイバーシティ推進センター
pp.271
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203024
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わが国に初めての「女性外来」が設立されてから、約20年が経過しました(p.281)。しかし、そのニーズはますます増えることはあっても、完全にニーズに応えられているとは言えない状況ではないでしょうか。一方で、産婦人科・総合診療科の連携の動きや、サブスペシャルティ領域としていっそうの認知が進んでいることなど、「女性医療」の注目度は高まっています。しかしながら、「何となく苦手」と感じている方もおられるかもしれません。私も、女性診療に積極的に関わる前はそうだったようにも思います。
私が「性差医療」に導かれたきっかけは、1冊の本との出会いでした。糖尿病専門医として臨床・研究に従事していた医師6年目に、新設された総合診療内科に移ることになり、同科の初代教授の小出典男先生が、天野惠子先生(p.280・314)編著の『行き場に悩むあなたの女性外来』(亜紀書房、2006。p.375)を下さったのです。性差医療の歴史から臨床事例集まで非常に充実した内容でしたが、なかでも「微小血管狭心症」(p.280・329)の概念は印象的でした。私が実際に微小血管狭心症の患者さんに出会うのはその数年後でしたが、本で読んだ記憶と目の前の患者さんの訴えが一致する忘れがたい経験であり、のちにNHKの「総合診療医 ドクターG」でも症例提示させていただきました。
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