Empirical EYE
「HPVワクチン接種後」の症状に苦しむ患者が受診した時、総合診療医としてできること
鈴木 富雄
1
1大阪医科大学附属病院 総合診療科
pp.352-355
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203067
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HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは定期接種でありながら積極的勧奨を差し控えるという状態が続いているが(p.308)、2018年12月に日本プライマリ・ケア連合学会は3つの声明を発表した。1つは厚生労働大臣に向けての「積極的勧奨の即時再開の要望」、2つ目はプライマリ・ケアを担う医師に向けて、3つ目はワクチンの接種対象者とその家族に向けてであった。その経緯は『週刊医学界新聞』(2019年7月29日発行)に掲載され1)、声明の内容は日本プライマリ・ケア連合学会のホームページ上で閲覧可能である2)。これは、HPVワクチンの有効性と接種後の多様な症状の出現頻度が非接種者と差がないことを示したうえで、接種率を上げるための「積極的勧奨」の即時再開を訴えると同時に、接種後の多様な症状に苦しむ患者に対して、プライマリ・ケアを担う医師による「真摯で積極的な診療サポート」が必要であると謳っている。
筆者は、そのような患者の診療を少なからず行ってきた。その経験を踏まえ、HPVワクチン接種後の多様な症状を訴える患者に総合診療医はどのように対応するべきなのか、実際の症例を改変して提示し、私見を述べてみたい。
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