INTENSIVIST 8巻3号 (2016年7月)

特集 管/ドレーン

ドレーン総論 窪田 忠夫
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飲み薬がメインであったかつての医療と異なり,現代医療では治療に“管”は必須のもので,医療と管はまさに切っても切れない関係となっている。ちょっと前には“スパゲッティー症候群”などと,管だらけの行き過ぎた治療を揶揄する言葉もあった。本特集では,管のうちドレーンと称するものを扱っていくが,この“ドレーン”という用語は,ドレナージの担い手となる管自体を指して言う場合もあれば,ドレナージする(されている)という行為や状態を指すこともある。我々が日常診療で「ドレーン」と言うとき,多くの場合にはデバイスとしての管が存在するが,管のない状態としてのドレーンもある(瘻孔など)。

 ドレーン(drain)という言葉はdry(乾かす)と同じ語源からきており,意味はmake dry(乾燥する=水を取り除く)というところから始まっている。現在の使われ方としては,pour money down the drain(お金をどぶに捨てる)のように“排水管(排水溝)”を意味することが多く,日常用語でも医療用語でも,なにか“汚いものを流す”こと,もしくは“そのための通り道”としての意味が定着しているようだ。

 類似した言葉に“カテーテル”(英語:catheter,独語:katheter)がある。語源としては,kathienai(kate=下に,hienai=送る)とされ,医療では導尿を目的として膀胱へ送り込む細い管を意味するようになった。現在は血管内に用いる管を称していることが多い。ドレーンが内容物の排泄,もしくはその目的で(すでに)挿入されている管を意味するのに対して,カテーテルは(目的の位置に)入れる管そのものを意味している。したがって,ドレーンとカテーテルは単に視点が違うだけで,尿を出すという同じ行為に対しても,出すことを主眼にした場合は「尿道ドレーン」と言い,尿を出すために入れる管にフォーカスした場合は「尿道カテーテル」と言ったりする。ただし,ドレーンとは異なり,管が存在しない場合にカテーテルという語が用いられることはなく,血管内に用いるものなど,専ら体内に薬物などを入れることのみに使用される場合もある。

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頭蓋内圧intracranial pressure(ICP)管理において,脳室ドレナージは有効な手段である。また,水頭症,脳室内出血に対する緊急的手段として,さらにはICP測定のスタンダードとしても1),脳神経外科の基本的手技の1つである。脳外科周術期管理や神経集中治療を学ぶ者にとって,脳室ドレナージは理解しておくべき管理法であるといえる。しかし,脳脊髄液の産生や循環などの基本的な生理学,適応,合併症を理解しておかないと,脳室ドレナージの管理は難しい。本稿では,脳脊髄液を含む頭蓋内環境の解剖と生理,ドレナージ管理法の基本と注意点などについて概説する。

Summary

●脳室ドレナージは脳外科手術の基本的手技であり,脳外科周術期管理や神経集中治療を学ぶうえで理解しておくべきである。

●脳室ドレナージの適応は,ICP測定を要する疾患やICPコントロールを緊急に必要とする疾患となる。具体的には,頭部外傷,くも膜下出血,小脳出血などの脳卒中,脳脊髄液流出路の閉塞による閉塞性水頭症などである。また,その他の脳外科手術の際,アプローチを容易にするための脳脊髄液排出にも用いられる。

●頭蓋内圧は,脳室ドレナージで測定される脳室内圧が最も正確であるとされている。

●主な合併症に出血性合併症や頭蓋内感染症がある。特に抗凝固薬,抗血小板薬の内服や出血性素因をもつ患者に対しては注意が必要である。

●抜去のタイミングには明確な決まりはないが,1日の脳脊髄液排液量や頭部CT,神経症状の増悪がないことを確認して抜去する。

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脳神経外科手術は他領域と比べやや特殊であり,脳神経外科以外を専門とする医師が周術期管理に悩むことは想像に難くない。ドレーンに関しても同様で,例えば,脳脊髄液排出を目的としたドレナージ回路は,他領域ではほぼ利用されない特殊な構造である。また,開頭術後の皮下や筋層下といった軟部組織のドレナージでも,留意しておかなければならない点がある。神経集中治療が包括的な集中治療の一環として扱われる時代となり,集中治療医は脳神経外科術後の管理についても精通することが求められている。本稿では,脳神経外科領域で扱われるドレナージについて,システムと使用する意図および根拠について解説する。

Summary

●脳神経外科領域で術後に留置するドレーンとして,皮下ドレーン,筋層下ドレーン,硬膜外ドレーンがある。開頭術後は通常閉鎖式ドレナージシステムを用い,導出部は頭髪ラインの内側に位置するように心掛ける。

●待機手術におけるドレーンのルーチン使用については見直す必要がある。

●脳槽ドレーンは,くも膜下出血の開頭術後に留置し,脳血管攣縮を予防・軽減するために血腫排出を行う。

●スパイナルドレナージは,くも膜下出血,水頭症,髄液漏,大動脈手術などで幅広く利用される。ベッドサイドで留置することも可能だが,禁忌事項や合併症を理解しておく必要がある。

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胸腔ドレナージは,胸腔から気体および液体を排出することを目的として行われる処置であり,外来から手術室,そしてICUを含むさまざまなセッティングで行われる。その歴史は古く,紀元前5世紀にヒポクラテスが膿胸の患者に開窓術とドレナージを施行したという記録が残っている1)。その後は一部の外科医によってのみ行われる手技であったが,1917年のインフルエンザパンデミックの際,肺炎随伴性胸水に対して胸腔ドレナージを行った報告がなされて以降,一般臨床で広く行われるようになっていった2)。しかし,その長い歴史に反し,胸腔ドレナージの手技や管理に関する疑問に答えを出すことのできる臨床研究は限られているのが現状である。

 本稿では,胸腔ドレナージの基本的事項を示すとともに,この治療を巡る議論について文献を吟味しながら紹介していく。

Summary

●胸腔ドレーンの挿入にトロッカーは使用しない。

●ドレーン挿入時の予防的抗菌薬の有効性を示すエビデンスは存在しない。

●ルーチンでの胸腔ドレナージ陰圧吸引は推奨されない。

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気胸,血胸,膿胸は,ICUでよく遭遇する病態であり,集中治療に従事する医療従事者にとっては“日常茶飯事”と言っても過言ではない。その“日常茶飯事”である気胸,血胸,膿胸に対して行われている治療は必ずしも根拠に基づいて行われているとは言い切れず,経験により行っているところが多いのが実情である。すべての医療行為に根拠を求めることは重要であり,この気胸,血胸,膿胸も例外ではない。しかし,これらに対する根拠に基づいた治療・管理方法がまとまって解説されている成書は見当たらない。

 よって,本稿では気胸,血胸,膿胸の標準とされる3つの方法,①穿刺吸引,②胸腔ドレナージ,③手術,をどのように選択するのかということを中心に,可能なかぎり根拠を示しながら解説する。気胸,血胸,膿胸の治療を行うためには,それらの定義,分類,原因を知ることが重要であることから,まずは総論として各病態の治療に必要な分類,基礎知識を整理し,その後,各論として実際の治療に関して解説する。

Summary

●気胸,血胸,膿胸の治療を決める際には,原因や分類の理解が必要不可欠である。

●原発性気胸は穿刺吸引を施行,続発性気胸は胸腔ドレーンを挿入,その後5〜7日経過してもエアリークが継続する場合には手術介入を考慮してよい。

●血胸は胸腔ドレーンで管理するのを基本とし,排液の1日量または6時間当たりの排液量,患者の血行動態を考慮したうえで手術介入を考慮すべきである。

●膿胸の治療にはLightの分類が非常に有用で,Class 1〜3は抗菌薬投与のみで治癒可能だが,Class 4以上では胸腔ドレナージをすべきである。

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胸部手術後のドレーン留置の目的は,①空気や血液,体液のドレナージ,②胸腔,心囊内の状態を知る(インフォメーション)ことであるが,手術によって術後合併症の種類,頻度が異なるため,その目的も管理も異なる。本稿では,心臓手術,肺手術やその他の胸部手術の術後におけるドレーン管理について述べる。

Summary

●その手術におけるドレーンの目的を理解し,目的に応じたドレーンの種類を選択する必要がある。

●心臓手術後のドレーンは,特に出血の管理のために留置される。出血時の対応としては,体温管理,血圧管理(PEEPの管理),薬物療法,輸血がある。

●肺手術後の気胸を評価し,エアリークがある場合は化学的胸膜癒着術やHeimlich valveで対処する。

●乳び胸の鑑別疾患には,感染と悪性腫瘍が挙げられ,診断がつかないときにはリポプロテイン解析を行う。

第3章 腹部消化管領域の管

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癒着性腸閉塞adhesive small bowel obstruction(ASBO)に対する保存治療法として,米国では経鼻胃管〔short tube(ST)〕のみが減圧手段として使用されている一方,日本をはじめとする東アジアではイレウス管〔long tube(LT)〕が比較的多く使用されている。本稿では,減圧療法の歴史的変遷,STとLTの差異,日本でLTが多用されている現状について解説する。

Summary

●1995年の前向き無作為化試験において,イレウス管(LT)と経鼻胃管(ST)では小腸閉塞に対して減圧成功率に有意差を認めなかった。それ以降,欧米ではLTは使用されなくなっている。

●近年,LTのさらなる製品改良と挿入技術の進歩により,LTの有用性が見直されてきており,臨床的にSTよりも有効である可能性を示唆する文献が報告されている。

●内視鏡補助下での挿入を行うことでコストの問題はあるが,複数回の腹部手術歴があり癒着が高度なことが予想され,外科的介入が躊躇される症例はLTのよい適応となるかもしれない。

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コロレクタールチューブは,大腸癌などによる大腸閉塞の減圧目的で用いられる経肛門的に挿入される“管”であり,各社から発売されている(図1,2)。同チューブは,経肛門的腸管減圧術colonoscopic retrograde bowel drainageの一方法であり,“経肛門イレウス管”と呼称されることもある。本稿では,最も多い適応である,結腸・直腸癌に伴う大腸閉塞に対する同チューブの挿入法,管理法を中心に,適応疾患,合併症について,症例をもとに論じる。

Summary

●結腸・直腸癌に伴う大腸閉塞に対するコロレクタールチューブの挿入,留置,管理においては,大腸閉塞に伴う閉塞性腸炎を生じた脆弱な粘膜に処置を行っているということに注意すべきである。

●主な合併症は腸管穿孔であるが,挿入時のガイドワイヤーによる穿孔,留置したチューブの先端やバルーンによる圧挫性の遅発性穿孔がある。

●結腸・直腸癌に伴う大腸閉塞については大腸ステントに置き換わっていくと思われるが,今後も良性疾患でのコロレクタールチューブの使用は続いていくと考えられる。良性疾患ではバルーンを固定する狭窄部分がないこともあり,逸脱に注意する。

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ICUに入室となる重症患者は,疾患や治療のために安静を強いられ,床上排泄をせざるを得ない状況にある。また病態的にも,ICUにて行われる集中治療によって,下痢や便失禁などの排泄機能の障害をきたしやすい状態にある。しかし,下痢や便失禁の評価は非常に曖昧であり,特に医師は看護師から「下痢をしているのでなんとかしてもらえないか」と報告を受けて,初めて問題を把握することが多い。このように,下痢や便失禁に対して真摯に考え対応していないのでは,と思われてしまいかねない実情がある。

 消化管排泄物の管理方法に関して発表されている研究報告は極めて少なく,決してエビデンスレベルの高い文献が多い分野ではない。本稿では,導便チューブの使用方法,適応,有用性や合併症について,現在報告されている文献を吟味して概説する。

Summary

●肛門内留置型排便管理システム(FMS)の適応となり得る患者は非常に幅広く,特定の疾患群には限定されない。

●FMSの使用目的は主に,①便による創汚染・創感染予防,②便失禁関連皮膚障害(IAD)高リスク患者の発症予防,③カテーテル汚染予防などが挙げられる。

●Bristol stool chartや,King's stool chartなどにより,下痢・便失禁の程度を客観的かつ経時的に評価することが大切である。

●IADのリスクを考えた場合,1日3回以上の泥状・水様便がみられ,4日間程度の持続が見込まれるかどうかが,FMS導入の1つの判断基準となり得る。

●熱傷やFournier壊疽などに対して,ストーマ造設と導便チューブを比較した質の高い研究報告が期待される。

●非常にまれではあるが,FMS使用の重篤な合併症(有害事象)として,直腸のpressure ulcerから出血をきたすことがある。抗凝固療法を受けている患者は特に注意が必要であり,造影CT検査,内視鏡検査・処置,血管造影検査・処置,縫合止血処置といった迅速な対応が必須である。

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胆道ドレナージは,胆管や胆囊から胆汁をドレナージすることにより胆道内圧を低下させる手技であり,経皮的,内視鏡的に行うドレナージ(表1)と,手術時に外科的に行うドレナージ(表2)がある。本稿では,ドレナージ方法について概説し,その適応・管理方法,注意点について述べる。

Summary

●胆道ドレナージには,経皮的,内視鏡的ドレナージと,手術時の外科的ドレナージがある。

●Tokyo Guidelines 2013(TG13)における中等症以上の胆囊炎,胆管炎にはドレナージを検討すべきである。

●胆囊炎に対しては,腹腔鏡下胆囊摘出術が第一選択である。全身状態に応じて経皮的ドレナージも選択し得る。

●胆管ドレナージでは,内視鏡的ドレナージが第一選択である。

●胆管の内ドレナージには,プラスチックステントとメタリックステントが用いられる。

●手術時の胆管ドレナージでは,経腸的にドレーンを留置することが主流である。

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There are those who ardently advocate it, there are those who in great part reject it, there are those who, Laodicean-like, are lukewarm concerning it, and finally, some who, without convictions, are either for or against it, use it or dispense it, as chance or whim, not logic may determine. Joseph Price (1853-1911)

体腔のドレナージの歴史は古く,ヒポクラテスの時代にまで遡る1,2)。1800年代になると術後にもドレーンが用いられるようになり,1855年にはPeaslee ERが初めて卵巣腫瘍切除後に経腟的にDouglas窩にゴム製の管を留置している3)。19世紀の後半になると,1881年には再建法にも名を残すBillroth4)が胃切除後に,1884年にはSims5)が婦人科術後に予防的なドレーンを留置するようになった。ただし,その時代から批判的な意見は存在し,Kelly HAやHalsted WSは盲目的なドレーン留置を戒め,死腔を残さず滲出液や血液を出さないような精密な手術の必要性を説いた2)

 1880年代のドレーンは脱灰された雄牛の骨,腸線,ガーゼ,ゴムなどであり,現在とは大きく異なるものであった。その後も是非をめぐって論争を重ねながら,材質もシリコン製のものに変わったり,吸引や閉鎖陰圧システムを採用したりと,時代の変遷に伴いドレーンも進化を続けた。

 20世紀後半にもなると,消化管術後の予防的ドレーンの有用性は認めないとの報告が,相次いでなされるようになった。さらに,2004年にPetrowskyら6)が,肝切除,結腸・直腸切除,虫垂切除後に関しては,予防的なドレーン留置は省略されるべきであるとのメタ解析を報告してからは,これらの領域に関する議論は主要な雑誌からは姿を消し,現在は膵切除後のドレーンの是非について検討が重ねられている。

 このような趨勢のなかにあって,日本でも結腸や肝切除後についてはルーチンでの予防的ドレーン留置は不要7〜9)とする報告も散見されるようになってきたが,直腸低位前方切除や肝切除,膵頭十二指腸切除後には,ほぼルーチンでドレーンは留置されている10)ようである。はたして,腹部術後のドレーンは,どのように位置づけられるべきであろうか。各臓器ごと(主に予定手術)と,腹膜炎時(緊急手術)に分けて知見をまとめていくこととする。

Summary

●結腸・直腸切除,肝切除,虫垂切除後に,ルーチンでのドレーン挿入を支持するよいエビデンスはない。

●胃切除,膵切除後については,議論のあるところである。

●肝切除後には胆汁瘻に,また,膵周囲の郭清を伴う胃切除後や膵切除後には膵液瘻に注意する。

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尿道カテーテルは,集中治療分野のみならず,内科系・外科系ほぼすべての診療科において使用される。医師だけでなく看護師も扱うデバイスの1つである。急性尿閉や血尿などの泌尿器科疾患に対して使用する以外に,周術期や重症度の高い疾患における経時的尿量モニタリング,骨盤骨折など患者を動かせない場合の管理,脊髄損傷に伴う神経因性膀胱の急性期管理,Fournier壊疽など会陰部の創管理などにも使用される。

 本稿では,泌尿器科医以外の医療従事者,主にICU従事者にとって尿道カテーテルに関して必要と思われる項目について述べる。また,ICU従事者が対応に苦慮するのは,尿道カテーテルの挿入困難もしくは抜去困難に遭遇した場合かと思われるので,泌尿器科医以外の医療従事者がどこまで対応すべきかについても述べたい。

Summary

●状況に応じた適切なカテーテルの選択が重要である。

●尿道カテーテルの挿入が困難な場合に選択するカテーテルを知り,状況に応じて判断する。

●挿入が困難な場合に,膀胱鏡以外にガイドワイヤーを用いた方法がある。

●尿道カテーテル抜去が困難な場合への対処方法をを知り,慌てずに対応する。

●男性における医原性尿道損傷の予防に,以下の2点が当たり前だが重要である。

 1.尿道カテーテルを分岐部まで挿入する。

 2.尿流出をきちんと確認してからバルーン固定水を注入する。

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膀胱瘻・腎瘻カテーテル,尿管ステント・カテーテルは,前稿の尿道カテーテルに比べるとICU医療従事者が遭遇する機会は限定される。しかしながら,尿道カテーテルの挿入困難例や骨盤骨折に伴う尿道外傷の患者には膀胱瘻が造設されるし,腎後性腎不全や気腫性腎盂腎炎,敗血症性ショックを呈した閉塞性腎盂腎炎では尿管ステント・カテーテルや腎瘻カテーテルを留置されてICU入室となる状況もあろう。本稿では,ICU従事者がこれらのカテーテルに遭遇する状況を想定して述べる。

Summary

●膀胱瘻は,キット製品が販売されているが,安全な膀胱瘻の造設法を知っておくことは集中治療医にとっても重要である。

●腎瘻カテーテルは,尿管の閉塞が高度で,尿管ステントによるドレナージが有効でない場合にも留置される。

●尿管ステントにはシングルJ,ダブルJなどがあり,合併症としては頻尿などの尿路関連症状や感染症などが挙げられる。

第5章 別な視点からの“管”

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集中治療医,特に内科を背景にした医師にとって,瘻孔やストーマは馴染みが薄く,いったい何をどう管理すればよいのか皆目見当もつかず,畏怖の対象となってしまっている読者も少なくないのではなかろうか。ストーマは,まだ馴染みのあるものかもしれないが,外科医にとっても瘻孔は,その管理の困難さから,ひとたび発生するとがっくりと肩を落としたくなるものである。

 エビデンスベースで語ることはなかなか難しい分野ではあるが,本コラムでは別な視点からの“管”として瘻孔とストーマについてその概要を述べる。その苦手意識払拭の一助となれば幸いである。

Summary

●瘻孔の多くは手術に関連した合併症である。

●瘻孔の治療には時間を要するが,まずは循環管理,感染のコントロール,栄養療法,排液のコントロールと周囲組織の保護が重要である。

●瘻孔が自然閉鎖するまで待つか,手術に踏み切るかは,患者の全身状態や瘻孔の性質によって左右される。

●瘻孔・ストーマの管理は外科医,集中治療医,消化器内科医,放射線科医,皮膚・排泄ケア認定看護師など多職種の協力が不可欠である。

●管理困難なストーマとなることを避けるためには,早期合併症を予防し,ストーマ創を一期的に治癒させることが理想である。

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膿瘍は,何らかの原因の結果として生じる病態である。さまざまな症状を引き起こすため治療が必要であるが,膿瘍への直接治療で改善できるのは惹起された症状のみで,原因の診断と,それに対する治療が最終的にカギをにぎる。そのことをまず念頭におく必要がある。

 膿瘍は血流がなく,抗菌薬など内科的治療だけでは治癒が難しいことが多々ある。その場合には排膿が必要であるが,経皮的なドレナージチューブ挿入は比較的低侵襲で有効性の高い優れた治療である。しかしながら,膿瘍ごとに使用する穿刺ガイドのモダリティ,穿刺経路やデバイスの選定,その後の管理などが異なり,臨機応変な対応が求められる。また,外科的排膿のほうが適した症例もあり,どちらが優れているというものではない1)。患者の状況によって,適した方法を選択することが重要である。

Summary

●臨床的に炎症による病態が存在することが重要で,炎症所見がなければ液体貯留があっても,必ずしもドレナージの適応とはならない。

●抗菌薬などの内科的治療に抵抗性の膿瘍は適応となるが,経皮的穿刺ルートがない場合には,外科的治療を考慮する必要がある。

●腸管や神経,血管といった穿刺が禁忌となる臓器を避けてルートを選択し,穿刺を行う。実質臓器を経由する場合は十分な距離を通過するようにルートを選択する。

●穿刺ガイドのモダリティも進歩し,各種チューブも豊富となったが,患者の安全性を担保するために,個々の病態に応じた選択が重要である。また,可能ならば,ダイレータは避けるほうがよい。

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重症外傷をはじめとした外科救急疾患のマネジメントは,過去20年間で大きく進歩してきた。そのなかでも患者の予後改善に大きく影響したのが“ダメージコントロール手術”の概念である1)。それ以前は,開腹術後には腹壁を閉鎖するのが当たり前であったのに対して,①外傷,その他の原因による重篤な腹腔内出血,②腹腔内重症感染症,③腹部コンパートメント症候群,などにより患者の全身状態が著しく悪化している症例において,腹壁(筋膜)を閉鎖しない,いわゆる“open abdomen”の状態でのICU管理が行われることが多くなってきている。open abdomen症例では一時的腹部閉鎖temporary abdominal closure(TAC)が施行され,近年ではTACの方法として,陰圧閉鎖療法negative pressure wound therapy(NPWT)が用いられる例が大部分となっている。

 本コラムでは,集中治療医に必要なopen abdomen症例の実際に加えて,壊死性軟部組織感染症や熱傷などにも頻繁に用いられるNPWTの使用方法,実際に管理するうえでのピットフォールについて述べる。

Summary

●open abdomenの症例に対する一時的腹部閉鎖法(TAC)が発展し,その多くに陰圧閉鎖療法(NPWT)が用いられている。

●TACは,市販のキットもあるが,自作することも容易である。

●TACの症例をICUで管理する場合は,申し送り時に,適応,方法,NPWTの有無,次回開腹手術予定を外科医に確認し,創部の状態と排液の性状を観察する。

●一般的なICUにおける合併症に加えて,NPWTに関連した腹部合併症は約15〜20%の症例で認められるため,NPWT施行決定と同時に最終的な腹壁(筋膜)閉鎖までの方針を立てる必要がある。

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不整脈治療に用いられる植込み型デバイスcardiac implantable electronic device(CIED)のなかにペースメーカをはじめ,植込み型除細動器implantable cardioverter-defibrillator(ICD),心臓再同期療法cardiac resynchronization therapy(CRT),両室ペーシング機能付き植込み型除細動器cardiac-resynchronization therapy-defibrillator(CRT-D)がある。これらは,不整脈に対する非薬物療法として位置づけられており,ICDは心室頻拍,心室細動に対するショック(除細動)治療機器であり,CRTはペーシング機能を利用した心不全治療機器,CRT-Dは除細動治療機能の付いた心不全治療機器である。本稿では,ICD,CRT-D機器の押さえておくべき機能,作動,管理について述べる。関連する用語については,表1を参照いただきたい。

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連載 Methodsを読むMethod

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前回は,論文を読むための基礎知識として,EBMについて,その概略をお話ししました。

今回は,まず一般的な“Methods”の概要を解説します。

続いて,JAMA誌に掲載されたThe CRISTAL Randomized Trialを取り上げ,

その“Methods”を詳しく見ていきます。

連載 Journal clubをやってみよう

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前回は“Introduction”の読み方,つまり,リサーチクエスチョンを評価する重要性について論じた。

リサーチクエスチョンはその研究/論文が生まれた原点ではあるが,いわばまだ原石そのものであり,

そのままではまだまだ漠然としているものが多い。次に必要なことは,

リサーチクエスチョンをさらに掘り下げてより可視化する作業,「臨床問題の定式化」が必要となる。

実は,この臨床問題を定式化することは非常に重要であり,建築で言えば基礎工事のようなもので,

ここが明確にされていなければ研究全体に歪みが生じることになる。すなわち,

論文において最も重要な点の1つである研究の内的妥当性も外的妥当性も損なわれることになる(表1)。

リサーチクエスチョンが同じであっても,臨床問題の定式化の手段によっては

まったく異なった研究デザインが成り立つために,臨床問題の定式化が妥当であるかを評価することは,

その論文の質を評価することと同義でもある。“Methods”を評価するポイントの1つが,

この内的妥当性と外的妥当性が保たれているかを意識することにあるために,

今回は「臨床問題の定式化」を評価する方法について解説する。

連載 Lefor's Corner

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This ongoing series will provide the readership of Intensivist with an opportunity to read concise reviews of current topics in Critical Care Medicine, in English. It is hoped that these reviews will stimulate the pursuit of other literature written in English.

連載 JSEPTIC簡単アンケート

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基本情報

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INTENSIVIST
8巻3号 (2016年7月)
電子版ISSN:2186-7852 印刷版ISSN:1883-4833 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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