特集 心原性ショック診療:エビデンスに基づく最適化への挑戦
❶ それはSHOCK試験から始まった—心原性ショック管理の歴史的変遷
香坂 俊
1
Shun KOHSAKA
1
1慶應義塾大学病院 循環器内科
キーワード:
SHOCK試験
,
CULPRIT-SHOCK試験
,
DanGer shock試験
,
早期血行再建
Keyword:
SHOCK試験
,
CULPRIT-SHOCK試験
,
DanGer shock試験
,
早期血行再建
pp.309-312
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330170030309
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はじめに
心原性ショックcardiogenic shock(CS)は,典型的には急性心筋梗塞acute myocardial infraction(AMI)に合併し(AMI-CS),極めて予後は不良とされる(院内死亡率40〜50%)。CSの病像は,従来は「心拍出量の顕著な低下によって臓器への血液灌流が不足する状態」と理解されていたが,実際には多彩であり,正常血圧型CSや混合型CSといったサブタイプも近年提唱されている。そのため,現在に至るまで「これが決定打」と言える治療法は確立されていない。
そうしたなかで,数少ない例外と言えるのが,早期再灌流療法の重要性を初めて示した無作為化比較試験(RCT),SHOCK試験1)である(発表は1999年)。この試験と関連するレジストリは,以降のCS症例における定義や病型の整理に大きく貢献してきた。さらに,このSHOCK試験を皮切りとして,いくつかのRCTから有益な知見が得られている。
本稿では,SHOCK試験およびその後に蓄積されたRCTからの知見を概観し,本特集全体の方向性を示す。

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