特集 管/ドレーン
第2章 胸部領域の管
2.気胸・血胸・膿胸に対するドレナージ—治療のなかでのドレナージの位置付け
岸原 悠貴
1
,
安田 英人
2
Yuki KISHIHARA
1
,
Hideto YASUDA
2
1武蔵野赤十字病院救命救急センター
2鉄蕉会亀田総合病院集中治療科
pp.557-570
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200296
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気胸,血胸,膿胸は,ICUでよく遭遇する病態であり,集中治療に従事する医療従事者にとっては“日常茶飯事”と言っても過言ではない。その“日常茶飯事”である気胸,血胸,膿胸に対して行われている治療は必ずしも根拠に基づいて行われているとは言い切れず,経験により行っているところが多いのが実情である。すべての医療行為に根拠を求めることは重要であり,この気胸,血胸,膿胸も例外ではない。しかし,これらに対する根拠に基づいた治療・管理方法がまとまって解説されている成書は見当たらない。
よって,本稿では気胸,血胸,膿胸の標準とされる3つの方法,①穿刺吸引,②胸腔ドレナージ,③手術,をどのように選択するのかということを中心に,可能なかぎり根拠を示しながら解説する。気胸,血胸,膿胸の治療を行うためには,それらの定義,分類,原因を知ることが重要であることから,まずは総論として各病態の治療に必要な分類,基礎知識を整理し,その後,各論として実際の治療に関して解説する。
Summary
●気胸,血胸,膿胸の治療を決める際には,原因や分類の理解が必要不可欠である。
●原発性気胸は穿刺吸引を施行,続発性気胸は胸腔ドレーンを挿入,その後5〜7日経過してもエアリークが継続する場合には手術介入を考慮してよい。
●血胸は胸腔ドレーンで管理するのを基本とし,排液の1日量または6時間当たりの排液量,患者の血行動態を考慮したうえで手術介入を考慮すべきである。
●膿胸の治療にはLightの分類が非常に有用で,Class 1〜3は抗菌薬投与のみで治癒可能だが,Class 4以上では胸腔ドレナージをすべきである。
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